第16話【初めての敗北】
対戦カード1724VS1698
ふうVSブレェム
武道家VS大剣使い
次の試合になり、相手もここまで勝ち上がった人なので油断は出来ず、拳に力を固めようとする。
相手の身長や髪は私と同じぐらい、近い色をしており、装備品は全身を隠すも軽装の革防具と、私のと同様な兜だった。
その下は薄い白いシャツ1枚に長ズボンで、動きやすさを重視していた。
「激戦を繰り返してきた選手たち、次はどんな戦いになるか楽しみですね!」
「ここからは見応えということですね、はい」
チャンと鳴り、試合が始まる。
拳に力を固めた瞬間、力が緩んだ。
それでも、力を固めようとしていく、けれども手が震えて固められなかった。
そして、相手を見つめると、瞬間的に怖いと感じた。
考えなくとも死とは何かを感覚で察せるぐらいに怖さを感じていた。
20mはあろう距離から、銀色の死神の鎌を首元にかけられていると錯覚する。
ロシアンルーレットのいつ、自分に弾が出るのか、分からない恐怖を感じた。
階段を躓いた時の怖さなどにすら思える。
一言で言えば、死を錯覚するほどの殺気を感じる。
死を具現化したらそれか、そんな気持ちになった。
そして、気づくと動けなくなってもいた、まるで蛇に睨まれた蛙のようだった。
「おっと!互いに動かないぞ!どうした?」
「これは相手の力量を探っているように見えますね、はい」
体を動かせないため、流石にマズいと思い狼牙に体の主導権を与えた。
<狼牙頼んだ>
<了解、マスター>
カチッと何かが切り替わった気がする。
体が素早く、今までとまったく違って感じる。
狼牙もわかっているのか、正真正銘、今出せる全力をここで出していた。
銀髪の前髪を少し伸ばしたベリーショートの髪型で、少年のような体型のブレェムに素早く近づき、峰打ちをお見舞いした。
狼牙が操作しているので、感覚はないので決まったかは分からない
そしてブレェムの体が霧のように消えた。
「残像だ」
静かにかつ力強く言った。
狼牙が声の方向の後ろを振り返った。
空中に浮かんでいるブレェムが大剣をこちらに振り下ろした。
狼牙が1歩後ろに飛び退いてギリギリ避けた。
そして、大剣を地に振り落とし勢いで刺してしまう
だが刺してしまった大剣を戻そうともせず、それを足場にし、かかと落としをお見舞いしてくる。
それを受けようとして両手でガードしょうとしていた。
受けた後、衝撃が強すぎて、後ろに倒れていくのを感じた。
<ごめん、マスター>
意識が薄れて行く中で、狼牙の声が聞こえた
痛みが無いのが幸いだと思えた。それにしてもなぜ、あれほどの恐怖を感じたのか、気になっ……
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