第17話【強者の高み】
……た。
薄い意思の中、会話声が聞こえた。
「その
「諦めが悪くてね、だから死ぬまで諦めない!」
自分の声と誰か知らない人の声が脳内で反復する。
身に覚えのない記憶が走馬灯ーー経験したことないけどーーのように横切る。
そして、ふと目覚める、そこは医務員の天井だ。
隣にメナが居た。どうやら看病をして疲れていたようだ。
ん?看病で疲れる、ということは結構長く眠っていたようだ。
<かれこれ、8時間ほどね>
<道理で>
可愛らしい寝顔だ。昔飼っていた柴犬のようだ。
そんな考えで私はメナをなでなでした。
コンコンとなり、スネ夫が入ってきた。
「目覚めたようね、どう?良くなった?」
「まあね」
「そうそう、闘技場で海ちゃんが2位、ふうちゃんが4位よ」
少し悔しかったが、世間の実力が分かった
「あとこれ」
そう言って、ずっしりと重みがある布袋を見せた。
紐を解き中身を見せると中はネリーの中でも、高価とされる、百ネリーが数十枚。
スネ夫はニコッとした笑顔を見せる。
「どうしたの?結構あるけど」
そう頭を傾げ、ん?みたいな表情になって聞く。
「当てた、大儲けよ」
ん?ああ、賭博で当てたのか。
一瞬、理解が追いつかなかった。
そう言えばスネ夫ってクジ引き運よかったなぁ、さらにそう言えばスネ夫が運対決で負けたこと見たことがなかった。
「で、誰にかけたのよ?」
試合が始まる前に、気になった事を問いかける。
「プロカップの乱闘にかけたわ」
日本円で言ったら数十万ほどだもの。
「あっ、そうだ、どう?プロは」
「一言で語ると、強い」
顔つきが少し険しくなった気がする。
「まぁ、乱闘で詳しくは見えなかったけど、みんなは早くて、力強かったとしか言えないわね」
「あの私と戦った人と比べるとどうなるの?」
もし、あの人がプロに敵わないのなら、もうおしまいだと思う。
「大差はない、だけど差はしっかりあるわよ」
「いつかはそれぐらいになれたいね」
「かもね」
「うにゃ?」
スネ夫との対話の声でメナが目覚めようだ。
小動物感があってめっちゃ可愛ええ。
「看病ありが…」
「すぅ、すぅ」
メナに笑顔で言うがこの反応を見るとあれは寝言のようだった。
「あはは、まぁいつかなれたないいわねえ、あっ、突然だけど教会に行ってみるのはどう?」
確か、受け付けのお姉さんに時間があったら、行って見るのも悪くないわよ、と言われてあったなぁ。
少し考えて、行くと決意した。
だが少し嫌な予感がした。
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