第14話【初めての歩】

 対戦カード1724VS1582

 ふうVSシューシ

 武道家VS双剣士


 闘技場への入場手前には鎧があり、【ご自由にお使いください】と異世界の文字で書かれていた。

 私は安全のため、そして匿名になっていて顔も隠せばバレにくいため、軽装な鎧と顔を全て隠せる兜をつけた。

 鎧は思ったより軽いが、その分耐久が少し弱いようだった。


「本トーナメントCブロックで司会進行担当、テンションタカイです!」


「解説担当のアルドイルです。よろしくお願いします」


「よろしく頼むぜ!さぁ、皆さん続いての対戦カードは今日の新入者1724と万年ビギナー、シューシ!」


 闘技場に入ると、真ん中に立っていた闘技場の司会者がそう実況する。そしてお互いの入り口から真ん中へと集まった。

 相手はみんなから人気はあるようだ。しかし万年ビギナーってなんだろう。まさか、ずっとビギナーカップに出続けたとか、そんな思いを抱きなが、戦いの場に向かう。

 そして野次や声援で


「シューシ、女の子負けたら情けないぞー」


「とうとう、万年ビギナー卒業かぁ?」


「危険な真似はよせよ、いくら相手があのシューシでもな、ガハハ」


 闘技場が賑わい笑いながら皮肉ぽいことを話す。

 体つきや身長、そして兜では隠せない長い髪から女性とわかったのだろう。


「うっせーし!」


 言われるたことを受け流す、シューシという人は、結構観客者と仲はいいみたいだ。


「それでは、ファイト!」


 プロレスのチャンの音がなり格闘が始まる。

 その音を聞いて、短髪黒髪の170cm近くある薄い茶色の革鎧を着た細身のシューシは私に向き直す。


「おっとぉ!いつもの突進か?!」


 持っていた2本の短剣を強く握ってシューシがこちらに向かい走ってくる。

 多分、懐に入り、一撃で決める気だ。

 しかし、私も身を低くして立ち向かう。

 正直の話し、遅い、あれでなくとも。

 相手が片方の短剣を横から切ろうとする。

 木製のガントレットでそれを左手の部分で掴み防ぐ。


「しかしぃ!簡単に防がれるぅ!」


 その上のガントレットが防いてない所を2つ目の短剣で切ろうとする。

 右手でシューシの左腕の手首を掴み、左向きに回す。

 シューシが次の瞬間、体が宙に浮いていた。

 そして、ニュートンの法則、万有引力で地に引っ張られる。


「勝負あり!」


 審査員の声で試合は決定した。


「まさかのまさかのすぐに負けてしまったぁ!あだ名は絶対敗北シューシだったかぁ?!」


「これは力の差が多く出ましたね、はい。これに対応出来なったシューシ氏の徹底敗北でしょ、はい」


 試合が終わり気を抜き、ふう、と息を吐く。

 ふと周りをギャラリーたちが口をあけ、驚ていた。

 そしてギャラリーたちは一斉に騒ぎ出し歓声が上がった。

 俺なんかやりました?と、どこか聞き覚えのあるセリフが脳裏を横切った。

 シューシがあっさりと負け、背が地面につき「えっ?」と言った。

 万年ビギナーとは言え、それなりに強いみたいだ。しかしそれを私が簡単にけりをつけた、いや多分私みたいな小娘が思ったよりも強かったしれない。いくら万年ビギナーとは言え、小娘ぐらいは勝てる。しかし転生チート(?)とかあったのでそう簡単には行かなかったといったどころだろう。

 取り敢えず、入場口に戻り、次の試合に備えるようにした。

 戻る途中、倍率表があって、見てみると私の倍率がとんでもなく高かった。

 流石に小娘の見た目だと、なめられまくりだなぁと思った。

 そして、海は相手がそこまで弱くなく、少し時間をかけて勝負に勝った。

 次の試合で呼びされた時、倍率表を見ると、私の倍率は少しだけ下がった。しかしそれでも高い、シューシさんが弱いせいだろうか?

 そんなことを思いながら2試合目を行い始めた。


 ちなみにシューシさんは格闘場の優秀な医療室で治療を受け、後遺症、ギズなどは残らず、素早く治療された。

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