第11話【アクセサリー】


「いらしゃいませ、ごゆっくりどうぞ」


 店員さんが挨拶する。

 ほぼ街並みも現代感がする、と言っても、ちょっと田舎な方だけど。


「お姉様、これなんてどうです?似合うと思います」


「でも、これ結構良い値段だけど」


 ショーケースの中のものを見て言ってくるが、値段を見ると桁が普通のものと違ってこれ1つ買うだけで財産破綻するほどだった。


「あっ、本当だ、でもお姉様のためなら頑張ります」


「そこまで、頑張らなくても大丈夫だよ」


「そうですか、ならこれなんてどうでしょ?」


 メナがショーケースの上に置かれていた【宝箱】から選び渡してくる。

 値札の隣に小さく、アタリハズレあり、と書かれていた。


「こちら鏡になります」


 静かーにこっそりと背後から店員さんが持ってきた鏡を見ながら、首飾りを受けていく。忍びかって思うほどに、サイレントだった。


 転生してから、自分の姿を初めて目視する。

 朝の雫のように清涼感があり、透き通った蒼目、銀細工職人が作った様な白銀の髪、シミ一つなく雪の様な白い肌、あのいつも冷静のスネ夫が驚く訳だ。

 神が手間を掛け創造した様な姿だと思える、転生チートやべぇ。

 総合的な見た目は可愛いと言うよりクールだ。


「綺麗」


 自分少しに見とれポカンとなる、断じてナルシストでは無いのだ。


「そうですね、綺麗ですね、この模様とか特に」


 ナルシストだと思われなくて済んで良かった。

 確かにこの模様は綺麗だ、だか何処かで見たことがある気がする、いや気のせいか。


「あっ、そうだいっその事、お揃いにする?」


「いいですね」


「あっ、お金はいいよ、私からのプレゼントだと思って」


 これまでとこれからのよろしくとありがとうの2つの意味を込めて私がそう言う。

 あと何だろう?値札の説明書きに、危険回避にオススメ、って多分運気上昇のお守りだろうか。


「良いんですか、ありがとうございます」


 ちなみにアクセサリーはクリスタルを削った様な感じで中に幾何学的模様がある。


「ええ、もちのろんよ」


 アクセサリーショップ『真珠』(異世界に真珠の概念はない)、での買い物を済ませ、カフェ店に寄り昼飯を済ませた。

 その間、メナが私からのプレゼントを喜んでいいて、すぐ身に付けた。

 何故かしばしば視線を感じた、やはり異世界でも銀髪は珍しいだろうか、正直渋谷にいたらナンパやモデルの勧誘が来てもおかしくない、と思う、そう言えばユドにモデルとかあるのかなぁ。

 でも本当になんで女性になったのだろうか?最強に繋がるのか?まぁ、いいや。

 しかし最強って言っても、ゴーレムに苦戦をしていたし修正が入ったのだろう。

 そんな時


「君たち学校は?」


 ふと振り向くとスーツを着た、自分よりも高いガタイの良い男性が立っていた。

 手にボードらしかものと木製で鉛筆らしきものを持って立っていた。

 そう言えば、さっきのアクセサリーショップや冒険者組合でも、石油製品と思われるものがない、この世界には石油がないのだろうか?もし、石油があり、それの私有化が出来たなら大儲けが出来ると思った。

 そして学校と言われ、今日何曜日だったのかを探ろうとする、が異世界転生して学校に行く必要ある?と言う概念に至る。


「もう、卒業しています、ほらこれ」


 メナがそう言うと冒険者カードを男性に見せた。


「ふむ、これは失礼した」


「ええ、構いません、昨年卒業したばかりでたまに声を掛けられます」


「それでは」


 一礼をして何処かえと向かう。

 どんな事なのかついていけない。

 メナに聞くのが一番早いと思い、聞いてみることにした。


「どういう事?」


「学校卒業してないと思われたんですよ」


「ろr、幼く見えるからでは?」


 急いで言葉を取り繕い、会話を続けた。


「そうですか?」


 そんなやり取りやりながら、足は止めなかった。

 しかし、演劇部でたまに着替えているとは言え、女性の服はなれるが下着はやはり慣れない、でも多分そのうちしれっと慣れだろう。

 そう思いながら、ボーリングを?どうしよう?とも思った。

 そして心の隅で、果てしない何かが始まるとふと、この瞬間不吉な予感が脳内を過った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る