第5話【起因】

 清々しいと言えるほどの良い目覚めでおき「ふぁ〜」とあくびを出して支度をした。がここは自宅ではなかった。


「やっぱり異世界転生したんだなぁ」


 私はそんなことを呟き、また寝ていた2人見て起こそうとした。


「おーい朝だぞ、起きろ」


「母上今日は日曜日のはずでは?」


黒磯くろいそもう朝食の時間なの?」


 2人は寝ぼけているようだ。

 って言うか、私はアンタらのオカンでも執事でもない、そんなにことを思いながら頭を抱え「はぁ〜」とため息を漏らしたす。


「全く、今日はクエストをしに行くよ」


「ああ、そうでござった」


 クエストという単語で気づいてくれたようだ。

 そして、私たちは色んな物が入っていた袋にあった寝巻きを動きやすいのだが多少恥ずかしいチャイナドレスに着替え、朝食を摂るべく、1階に降りた。


「おう、起きたようだなぁ、朝飯のメニューはどうする?」


 宿のおっちゃんは厨房で、他の冒険者の注文した料理を作り、挨拶してくれた。

 僅かに香る、煮込み料理に使われる、八角はっかくの香り、その香りが食欲をそそる。

 私たちはそれを聞き、脳に思考を巡らせる。


「あちし、スクランブルエッグとワッフル」


「拙者は鯖の味噌煮定食」


「私はオムライス、ってさすがにないか」


 異世界に地球の物があるとは限らない、話している間、そう気づき、料理の存在を否定した。


「あるよ」


 呆気なく言うおっちゃんに思わず、「あるのかよ」と、つっこんだ。


「確かに、どんだけ〜、正直あちしもあるとは思わず言って見たけど本当あるとはね」


 どうやら、スネ夫も同じ考えのようだ。


「だがよ、あんちゃんら渋いねぇ、マリアさんのメニューを頼むとは」


「マリアさん?」


 マリアさんのメニューと言われてつい疑問に思った。


「マリアさんだよ知らないのか?」


「ええ、まぁ」


 何か聞いた事ある気はするけどな、例えば、聖母マリア、昔の日本の歌手マリアなど、だが、どれも料理に関連付けることは基本的にない。


「しゃぁーない、教えたるか。50年ぐらい前、マリアさんという人があってな。その人はこのユド共和国の首都に、つまりここだわな、一つの酒場を開いたんだ。俺が初めて出会ったの17の時だったな。そこの酒は普通にうまかったがよ、そこのつまみや料理が不思議でな、特殊な作り方で味がとても美味しいだよ。見たことも無いものをたくさんとな、気になった奴らは作り方とか聞いて、今やこのユド共和国でマリアさんを知らない人が居ないってぐらいだ。でもマリアさんを知らないのに、メニューは知ってるって事は、外でもそのメニューは人気だったてことだなぁ」


「まぁ、そんな所です」


 この話で、この国は、ユド共和国といい、ここは首都だということを、分かった。


「おっと、長話もいけねぇ。嫁にどやされるからよ、ほんじゃあ作ってくるわ」


 名前のセンス、日本食と日本発案洋食メニュー、まさか他に異世界転生者がここに来ている可能性があるかもしれない。


「なぁ、スネ夫これって」


「ええ、あちしも思った」


「首のホクロから毛が出てる」


 衝撃を受けたような顔になってスネ夫が言った。


「あったの?ホクロ、てか、そうじゃなくて、この世界に他に異世界転生者ができているってこと」


「ああ、それならとっくに気づいていたわよ」


 サラッと大事な事をスネ夫が言った。


「だって、地球人が転生でもしないとないような服装や名前、更に、門から入ってきた時に【文明開化者 サイトウ カズオ】って言う像があったし、まぁアンタらは喧嘩していたから見えていなかったと思うけどね」


「ま、マジか」


「マジよ」


 こんな話をしている時にふと海の方を見ると海が寝ていた。


「海、寝ちゃったよ、どうする?」


「まぁ、ご飯が来れば起きるから大丈夫よ」


 宣言通り海は寝た。して、しばらく経ち、美味しそうな匂いと共に料理がきた。その時、海が目覚めた。


「全く、海ってば食いしん坊なんだから」


「腹が空いては戦が出来ぬと言うから仕方なかろう」


「まぁ、それもそうだねぇ、それでは」


「いただきます」


 私たちは手を合わせ、そう言った。

 銅製のスプーンで一掬ひとすくいで濃厚なトロトロの卵の味が口の中に広がりの喉を通り胃に広がり、トマトに似た酸味の効いたご飯がしつこく味を残さなく、卵を陽、ご飯を陰とした太極図が成り立っていた。

 単品で食べても美味しいけど、やはりソースをつけるのもいいよな。

 オムライスの横に別で取り分けてあったデミグラスソースだと思われる、ソースをオムライスに満遍なく垂らし、また一掬ひとすくいして口へと運ぶ。

 これは確かにデミグラスソースではある、けど旨みが段違いだ、使われいる出だしが濃いのか分からないが、とにかく美味い。

 そしてみんなと10分もしないうちに食べ終わる。


「ご馳走様でした」


 と、2人に揃えて言った。


「あんちゃんらマリアさんに似ているなぁ。食べる前に、いただきますと食べて、ご馳走様でした、を言うなんて。マリアさんは言っていたが俺らは慣れないから言わないけど、食べ物に感謝ね、偉いよ」


 異世界は自分で、命を賭けて、食うか食われるかの世界なら、感謝は薄れていくのもおかしく無い。


「いえいえ、家訓みたいな感じです」


「へぇー、マリアさんを見習うみたいな家訓ねぇ」


「あっ、お勘定、いくらですか?」


「合計で9ネリーだよ。宿の特別価格だ、サービスしておくよ」


 おっちゃんは気前よく、ウィンクで微笑んでグットサインをしてくれた。

 3人で900円ぐらいは安く思える、料理の量は断じて少なく無く、少し大盛りと言っても過言では無い量だった。

 そして、クエストをやるべく、私たちは北門の前に、移動していた。

 移動に時間は意外に掛かった。

 多分この街は広いのだろう。


「似ているわねぇ、私たちが入った所に」


 構造が入ってきた場所に似ているため、そうスネ夫が呟いた。


「まぁ、同じ国だからね」


 私だちは軽い雑談をしてユヨンがある、と言われる【ホグリーの森】にきていた。途中、他の冒険者と出会う、最大人数の6人パーティ、1人のパーティ、2人のパーティ、3人のパーティにも、ベテランや私たちと同じ研修、様々な人にあった。

 他の冒険者は話しかけてくれたりと優しい人が多がった。

 そしてなぜ6人がパーティの最大人数になっているのか、私も疑問に思った。がそれは報酬が少ないクエストで報酬を分けてもギリギリ問題になりにくく、一人一人の持ち味を発揮できなく戦力が分散することがなりにくくからであった。

 6人以上だと、互いが互いの戦闘スタイルを邪魔して、戦闘をしにくいことになり、報酬を分ける時も揉め事になりやすい。もちろん例外はある、例えば6人以上が基本となるギルドクエストや人手がいるクエストだ。


「確か、聴いた話によると、【青い葉っぱが咲く木】の近くにあるらしい。途中モンスターにも出会うらしいから装備を整えてからがいいと言っていたね」


 私たちはそれぞれ覚悟を硬くした。死ぬかも知れないから、みんな承知でやっているんだ。

 森に10数分進んでいくと、それらしき木を見つけた。


「ねぇ、青い葉っぱが咲く木ってこれじゃないかしら」


「うん、確かに少し青い」


「然り、あおにござる」


「さて、周りに赤いくて大きい花があるはずよ」


 不思議なその木に近付こうとしたその時


「きゃぁぁぁ!」


「ぬっう!今の悲鳴は」


「やばいかもしれない。助けに行かなきゃ」


 受付の人は魔物や魔獣、獣があった絶対に逃げるか、他の人が近くにいれば呼んで助けるようにする、そうふう達は言われた。けど悲鳴を聞きつけ、逃げることなど脳内に存在しなかった。

 この声はそれらの類にあった時の声だろう。しかし、ふうは人を助けることで魔獣などに臆し足を止まるということはなかった。


「確かにやばいかもしれないわねぇ。悲鳴の音源は確かにあっちからしたわ。行きましょう」


 似た者募る、類は友を呼ぶ、そのようにスネ夫や海も心優しい人であった。

 悲鳴の方に直ぐに駆けつけた。


「きゃぁぁぁ!た、助けてぇ!」


 少女の声のような叫び声が近くになってきた。

 そして、金髪の幼い中学生ぐらいの少女に、狼が数匹囲んでいた。


「大丈夫でござるか?」


 私とスネ夫は少女を守るように囲んだ。


「大丈夫じゃないです腰が抜けて動けないです」


 少女は緊張と焦りで体を震えさせ、早口になっていた。


「あちしが背負って行くわ。元凶の対策を頼んだわよ」


おう!」


「わかった」


 そう私と海が返事をする、武器がある私たちは戦闘で、武器がなかったスネ夫が背負って行く、素早くいい判断だ。


「ダメです、逃げましょう、相手はあのムーンウルフですから」


 私だちは聞き覚えがない名前だ、と思ったそんな時に「(*`ω´*)ガルルル」と、唸り声を出し数体のムーンウルフが私たちを襲いかかろうとした。その中でも少女以外で1番小柄な私を襲い掛かってくる。

 戦闘態勢に私が入ると、あれ?あまり早くない、そう相手の動きが遅くすら思える。


「おりゃぁー」


 感覚的にムーンウルフの腹回りの殴った。

 バシッ、とそんな衝撃音が鳴り、ムーンウルフという狼が木にぶつかった。

 微動だにしないで、死んだのだろうか、少し同情はした。


「へぇ」


 と少女が驚きの声を上げる。

 隙を逃さず、ムーンウルフがまた襲ってきた。

 同じように殴り、バシッ、とそんな音だけが響いていた。

 この一連の動作は体が勝手に動いた気がした。


「(*`ω´*)ガルルル」


 危険と思ったのか残りムーンウルフが逃げ出した。


「なんとか、なったみたい」


「そうね、ふうちゃんグッジョブ」


「済まない、拙者がいながらすべてまかせてしまって」


「大丈夫よ、それより女の子は」


 私が狙われるのは必須になる、まずは弱いものから、だから私は大丈夫。だが少女はそうもいかない、悲鳴をあげているからには何かがあったということだ。


「ええ、大丈夫よ、今は疲れて気絶してるみたい」


「そう、良かった」


「それにしてもふう殿さっき、動きのキレはの何でござったか?」


「さあ、私にもさっぱり、狼の動き遅く見えて、動いたような感じ」


「遅く見えたって、あの動きを?早かったわよ、あの動き」


「そぉ、でも今はあの女の子を見なきゃね」


 そして10分ぐらいで少女が目を覚める。


「うぅ、あ、あれは?ムーンウルフはどうしたんですか?」


 少女は私の膝枕から起き上がり、気絶する前のことを心配になる。


「大丈夫、心配しないで撃退したわ」


「あっ、あのプレート、やっぱり研修の人なんですか?」


 受付の時に渡された、銅のプレード、それに特別な模様が刻まれていて、見れば研修生と分かるそれを見て、そう少女は言った。


「ええ、まぁ」


「嘘、普通はランク9で撃退出来るのに」


 研修生はランクで言えば、11ランクになる。

 9ランクに上がるためには、12ヶ月は冒険者をする必要があると受付のお姉さんが言っていた。それと同時に「実は12ヶ月ってはただ、冒険者として働くかを見る一種の試用期間よ。大人なら本当はこれぐらいはあるのよ」共に言っていた。しかしそれを知らない冒険者も居る。逆にこれはこれだけ、忠告を聞いてくれたからとも言えた。


「そうなの?」


「もし良かったら、パーティ組みませんか?」


 有難い誘いだが、少し考え時間を貰いたい、そう思い、言葉に出す。


「ええ、考えて置きます、今はまだ研修中だからね」


「分かりました。返答を待ちます」


「貴女は何故襲われていたの?」


「私は収集クエストでフェヌの樹液を集めていて、ちょうどターゲットにされました」


「はて、フェヌとは何でござるか?」


「青い葉っぱが咲く木です。でも浅い所でムーンウルフが出てくるとは思わなくて」


「それで、そんなことになったのね」


「はい」


 少女はそう言って、落ち込みんだ。


「まぁ、気にしないことが一番よ、こうして助かったのだからね」


 スネ夫のポジティブ優男スキルが発動し、少女を慰めた。


「あっ、青い葉っぱが咲く木ってまさか」


 そうして、目的が類似している事もあり、共に行動することになる。


「あったあった、これでござるか?」


 そう言って、青い葉っぱを咲く木を指した。もし、似ている木を示しているのかもしれない、海が確認を取った。


「これです!ありがとうございます!」


 少女を案内して私たちもその近くでユヨンを探した。


「あっ、あったわ。木の根っこの周りにあったね」


「サクッと取って行くとしょうぞ」


「この花何かラフレシアみたいね」


「確かに言われてみれば」


 スネ夫に言われてみれば、確かに似ていると思った。

 ラフレシアは確かに臭い匂いを出すはず、たがこの花は臭い匂いがしなかった。


「確か、中に琥珀みたいのがあったはずよね」


「これでござるか?見た感じ結構ある様に見えるでござるよ」


 私たちは要る分だけを取って少女と一緒に冒険者組合に戻った。

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