第二章
「旦那様ぁ。ご飯ができましたよう。」
私は大声で叫んだ。あの日を境に私は、笑うようになった。泣くようになった。感情が、だんだんと表情に現れるようになったのだ。
「おっ。待ってました!」
旦那様ともあれから仲良くなって、最近は叩き込まれた家事を役に立てたいと言ったら、使用人がいるにも関わらず、私にも家事をさせてくれるようになった。
旦那様には、私のご飯も味わって欲しいもんね!
「旦那様、今日はどこへ出かけますか?」
今日は、旦那様とのデートの日なのだ。
「うん。今日は泊まりだから準備して。」
私の頭を撫でながらいう旦那様。って、え!?
「と、泊まりですか!?きいてないです。」
そういうと旦那様は君のために用意したんだよと笑って私を膝の上に乗せた。うーん、正直溺愛されてると思う…。
準備をしなきゃ…と焦って立ち上がると、もう旅行の準備は済んでいるよと旦那様が声をかけてくれた。
「そうですか。ありがとうございます。」
そう言ったものはいいものの、また旦那様の膝の上に座るのは恥ずかしくてとてもじゃ無いけど座れない。
「私、下がりますね?」
自分が旦那様の上に座っていた姿がどうしても頭に浮かんでしまう。それだけで恥ずかしくて、だんだん顔が熱くなって行くのがわかる。こんな顔では、旦那様の前にはいられない。
にっこり笑って自分の部屋に戻ろうとすると、旦那様が私の腕を掴んでこう言った。
「どうして?お昼、一緒に食べないの?」
私は焦った。確かに一緒に食べる約束はしていた。でも、腕を掴まれたことによってさらに私のほおが熱くなるスピードは速くなっていった。
「す、すみません。出直しますから、一度下がらせてください!」
もう顔は真っ赤だろう。煙でも出るんじゃないかと思うくらい、ほおが熱い。
着物の袖で隠すにも、限界がある。
けれど、それでも旦那様は腕を離してくれなかった。
「いやだよ。一緒にいて。」
腕をグイッと引っ張られる。
そして、私はまた旦那様の膝の上に戻ることになるのだった。
「あれ?顔、真っ赤じゃ無いか。」
「だ、旦那様のせいです!」
旦那様の方を見れずにそう言うと、旦那様はにっこり笑って、
「そうか、それは嬉しいな。」
と、嬉しそうに言った。
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