第三文 「ジレンマと疑問」

自分は、操られているのではないか?


という疑問を抱き始めてからの僕は、言い知れぬ不安におびえる・・・というよりは、妙なジレンマを感じていた。


だとしたら、どうすればいいのか。そもそも、誰が僕たちを操っているんだ?


そして。


「やつらが僕の疑問に感づいてしまっていたとしたら・・・」


恐らくは、先生と同じ末路になるのだろう。起爆スイッチを押され、この世界から消されてしまうのだ。一見自殺に見せかけたある種の他殺である。そして怪しい点は何も無いという、正に完全犯罪が成立するのだ。


「・・・・・・・何のために、そんなことを・・・一体、誰が・・・」


それを先生から聞きだす前に事件が起きてしまったのだった。


一見して自然死・・・しかし、先生から直接あの話を聞いていた僕だけは、引っ掛かりをおぼえずにはいられなかった。



そう。


真相の手がかりを知るのは僕だけなのだ。





「これを・・・どう生かせばいい?」






だが。



気づいたというだけで消されてしまうのも納得がいかない。


「・・・・・もしかすると」




先生は、他にも何らかの秘密を知ってしまったのかも知れない。



僕はまだ、そこまではいっていないかもしれない。


ただ単に、「操られているのではないか」という疑問を抱き始めたばかりの段階だ。


とは言え、あまり時間の猶予も無いかも知れない。



マークはされるだろう。



何より僕は、先生と近しいつながりを持っている人物なのだから。

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