第16話 ペリー土産の機関車(1854年)、実物の「2/3」?「1/4」?(メモ)

「アメリカのプレゼントは、電信機や汽車の模型だった。とくに汽車は、実物を3分の2の大きさでリアルに小型化したもので、実際に乗ることができた」(『日本史の雑学事典』河合敦/日本実業出版)



《以下は、全て「4分の1」説》

「ペリーの献上品の中に、模型の蒸気機関車があった。機関車は長さ約2.5メートル、幅約1.5メートル、客車は、長さ3.5メートル、幅1.5メートルあった。それは実物の4分の1大のものだ」(『世界で一番おもしろい日本史』武光誠/青春出版)

「嘉永7年2月15日(1854年3月13日)、ペリーがもってきたおみやげは、24艘の小舟にのせられ、横浜に陸上げされました。そのなかで、もっとも大きな品物は、約4分の1のスケールの蒸気機関車でした」(横浜開港資料館)

「嘉永7年(1854年)…3月10日、ペリー側からアメリカの土産を献上したいと提案があり、3月13日に献上品の目録と返礼品の目録が渡された。蒸気機関車の4分の1モデルをはじめ、献上品は全部で140点にのぼった」(ウィキペディア)

「蒸気機関車は実物の4分の1のサイズの模型で、蒸気車の長さは2.4m」(或るネット記事)


⇒この鉄道模型は現存しないが、瓦版などの「絵」が残されている。また、『鉄道博物館』(埼玉県さいたま市大宮区)などに模型も展示されている。しかし、アメリカの設計図は紛失したらしい。


「1854(安政元)年3月13日(旧暦2月15日)横浜に陸揚げされた模型…11日後の3月24日に幕府の横浜応接所裏の麦畑で 1周約60間(110m)の2呎ゲージの円状軌道が敷設され、試運転された」「本物の蒸気機関車の1/4サイズで、組立てて実際に石炭を焚くと約30kmのスピードで走る精巧なものだったといわれる」「蒸気機関車の大きさは、現物を四分の一に縮めた雛形で、機関車だけの大きさが約3メートル、長さ約3.5メートル、これに…炭水車と客車が連結されていました。模型一揃は、その後江戸城内に運ばれて、将軍の上覧に供せられ、三家諸侯も陪観したと云います」(『ペルリ提督から献上された蒸気機関車』http://www.lcv.ne.jp/~kawahara/site1022/Perry.html)


「仙台藩士大槻磐渓らは、藩主の命を受けてこの蒸気車を「金海奇観」という図巻に描いている。それによると、この軌道の構造は、軌間一尺八寸一分四厘、軌条幅五分七厘、高さ四分、軌条の下に幅一寸五分六厘の受板を置き、枕木の間隔は七寸九分、枕木そのものの幅は一寸八分となっている。そして、蒸気車の煙室扉に表記されているNORRIS MORKS〔MはWか〕1853は、一八五三年フィラデルフィアのノリス兄弟商社が製作したことを示している。

 また、応接所の守備の任に当たった松代藩士樋畑翁輔(号は雪湖)も、藩命によってペリー来航に関わる図巻を製作しており、そのなかに「四分之一雛形」と注記した蒸気車の絵図が見られる。それによると、蒸気車は長さが八尺、先輪二軸と動輪二軸の炭水車付きの2Bテンダ型機関車であり、客車は一丈一尺五寸、線路の幅一尺八寸一分四厘となっている。この絵図は、『日本鉄道史』(上編)に「嘉永年間渡来蒸気車」として掲載され、「明治四二年六月、横浜開港五十年記念史料展覧会に出品された張雑屏風(下岡蓮杖蔵)に、蒸気車を描いた絵が二枚ある。この絵の説明によると、機関車は長さ八尺、横五尺、動輪円周六尺、従輪円周三尺となっている。客車は長さ一丈一尺五寸、幅七尺二寸、高さ一丈で…車輪の直径は六~七寸で、炭水車の車輪直径は一尺三寸と考えられる。」といった主旨の説明がある」(『ペリー将来の蒸気機関車模型』日本財団図書館)



⇒ところで、この模型は、アメリカで実際に走っていた「実物」の模型ではないらしい。一般論として「何分の一」と言うことは出来るが、比較対象がないのであまり意味をなさない。それでも、「3分の2」は、調べた限りでは他に見当たらない。但し、結論ではなく無論未検証だが、「3分の2」の方が正確であろうという印象が強い。

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