036 信じてるから
「2分!」
びしっ、と。
音が出るのでは無いかって勢いで、私は人差し指と中指でサイン。
ピースではない。
ベルとジーンさんに待っていてもらいたい時間。
そして同時に、カウントダウンだ。
頷くジーンさんが見える。
ベルはそれどころじゃなさそう、けど、あの人は大丈夫。
信じてるから。
私の周りにふわふわと浮かんで、今か今かと私を見る精霊さんたち。
彼らは素直だけど、ちょっぴり気まぐれ。
とても大事なお願いをする時は、少し時間がかかる。
でも、それは裏を返せば。
時間をいっぱいかけてお話しすれば、彼らはちゃんと応えてくれる。
目を閉じて、集中。深呼吸。
薬で忘れかけてた寒さが、肺を通して体に伝わる。
大丈夫、私達なら出来る。
目を開く。
腰から更に3本、尻尾が生える感触。
澄み切る五感が、世界をしっかりと感じさせてくれる。
赤い光――――最初は火の精霊たちに呼びかける。
主旋律は、君たち。
その強大な炎で、何もかも。
焼いて、溶かして、消し去って。
火の精霊たちが踊り出す。
おれがしゅやくだ、まかせとけ
ぜんぶまとめて、やっつける
赤い輝きはどんどん増して、ほんのりと暖かい。
黄色い光――――風の精霊たちに囁く。
大事な伴奏、引き立て役。
その鋭い刃で、何度でも。
切って、破って、斬り捨てて。
風の精霊たちが沸き立つ。
われらがちからを、ふるうとき
そのたいやくを、はたそうぞ
金色の輝きは雄々しく強まり、しっかりと頼もしい。
青い光――――水の精霊たちへお願い。
貴方達は、対旋律。
その慎ましい氷で、彼らだけ。
優しく、包んで、守護をして。
水の精霊は歌い出す。
あなたのねがいは、やさしくて
わたしがあなたを、まもるから
青白い輝きは静かに大きく、おおらかに世界を包む。
緑の光――――僕は僕はと大地の精霊はせがむ。
大事なベースを、任せるわ。
その頑強な大地で、何時までも。
支えて、耐えて、乗り越えて。
大地の精霊は喜び跳ねる。
そいつはぼくの、とくいわざ
どーんとまかせて、くれちゃいな
緑の輝きはまたたいて、今か今かと待ちわびる。
時間はジャスト2分。
ジーンさんを中心に、ゾンビの群れ。
その円にタイミングよく、ベルが死神もろとも突っ込む。
やっぱりすごいな、あの二人は。
「おまたせ。ふたりとも。」
信じた分だけ、返してくれる。
「【
だから私も、それに応えるんだ。
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