017 「それなら僕がお役に立てそうだね!」
「ミカちゃんだ!」
どうやらルカの知り合いらしい。
「やっほーおひさー。といっても写し身だけど。」
「うんうん、ちっちゃくてかわゆい。」
しゃがんで目線を合わせ、撫で始めるルカ。
「こんなところでどうしたんだい?」
くすぐったそうにしながら、ミカと呼ばれた少女は尋ねる。
「えっとね―――」
ルカは一部始終を彼女に話す。
うんうん、うんうんと頷きながら彼女はそれを聞く。
一通り聞き終え、彼女は未発達の胸を張って、俺たちにこう言った。
「それなら僕がお役に立てそうだね!」
ーーーー
「・・・・ありがとうございましたー。」
管理局を後にする、物理的に小さい少女。
その後ろから、涙声の係員の声が聞こえてきた。
「三人分で良かったよね?」
その手には越境許可証が3枚、握られていた。
ジーン、ベルベット、ルカ・・・しっかりと俺達の名前が記載されている。
どうやら間違いなく正規の許可証だった。
「どんな手を使ったんだ?」
受け取りながら、当然の疑問をミカにぶつける。
ウインクをしながら、小さな少女は自慢げな顔をこちらに向ける。
「乙女にはひとつふたつ、秘密があるものさ。」
どうやら教える気は無いらしい。
「まぁ、いいか。感謝する。」
「もっと敬ってもいいぞー。」
「ミカちゃんすごーい!」
囃し立てるようにルカが褒める。
「わははー」
もう一度、彼女を見る。
その身長は俺の腰にも届かない。
先程”写し身”と言っていただろうか。
「【クローン】っていう人工魔術だよん。本物の僕は自分のオウチさ。」
どやっ、と声が聞こえそうな程自信満々に、少女は言った。
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