第五章「わかりました。『中の人』が誰なのか、教えますよ」
#22
ざざーっ
「ええええっ!? これから空母ごと『ヒューム』支配圏に向かうんですか!?」
「正確には、支配圏に限りなく近いところね。具体的には……ここよ」
森坂さんが地図上で示したのは、パナマ運河である。ここはヒューム支配圏に含まれていない……つまり、パナマ市を制圧したフェザーズ部隊は『ハルト』が無効化できた範囲なのである。
「ここで、みんなを降ろすわ。
「そして残りはカリブ海で別の戦艦に乗り換えて……ヒューム本拠地に向かうわけか」
「……博士は御存知でしたね、そういえば」
「ああ。大西洋……といっても、フロリダ寄りの海上にある人工島、通称『アイランド』」
人類統合組織『ヒューム』の前身となった研究組織のある島。実はミーアさんがヒュームさんと話をするため突き止めたのがきっかけだったのだが、どうやら島自体が極秘だったらしい。だからだろうか、固有名詞の類はなく、単に『
「だが、我々がそこに向かうのはすぐにバレてしまうぞ? なにしろ、上陸まではGNNのクルーが乗り込んでいるんだからな」
「だからこそよ。おそらく、ヒューム側はフェザーズ部隊をカリブ海に向けて出動させる」
「ああ、そこを『アレ』で一網打尽にするのか」
ミーアさんが『アレ』と呼んだその装置は、人型搭乗兵器フェザーズの制御の
「『結晶体』の素性が未だよくわからないからアレだが……少なくとも、ほとんどの動きは抑えられるはずだ。コマンド群を基にしたケースバイケース対応だから、『ハルト』やカスミが知らないコマンドがあった場合はアウトだがな」
『私』が知らないコマンドかあ。実は、その可能性もあるんだよねえ。たとえば……ヒューム側には『結晶体』がたくさんあるんだよね? 数や量が圧倒的に多い場合の効果、というのは、さすがの私もわからない。この辺を見誤ったら『特務プラン』は失敗するかもしれない。まあ、その時はその時でなんとかするしかないだろう。
「じゃあ、早くもこの空母とお別れかあ。ほっとするような、さびしいような」
「早くもって、2週間は経ってるよ? おいしい御飯が待ち遠しいんじゃないの?」
「おおっ、そうだった! スシ、テンプーラ」
「なんでエセ外国人のような反応なのよ……」
「そうだぞー。私もそんな喋り方はしないぞー」
だよねえ。あの言い方って、どこから広まったんだろ?
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