#21
「……いろいろ言いたいこと、聞きたいことがあるけど……これを先に言うわね。御子神さん、もう勝手なことはしないで!」
「はーい」
「修正だー、歯、くいしばれー」
「えー、私たちって今でも民間人だしー、近くの物を使って正当防衛しただけだしー」
「過剰防衛じゃないかなあ。いやでも、相手は軍人か……」
「そうそう。井上くんもカッコ良かったよ!」
「あ、ありがとう」
「カッコいい正当防衛ってなんだよ」
今回は、さすがに怒られてしまった。以前の時と比べて、素直に逃げることができたからねえ。ごめんなさい、森坂特務司令官殿。
「霞、本当にもうやめてね? おうちに帰れなくなっちゃうよ……」
「ごめんね、みこちん」
「田町には素直に謝るのかよ」
うん、そうだよ。謝ったよ。謝った
「それじゃ、次は私だ。なんだよ、あの『
「えーと、事前に『ハルト』からそういうコマンドがあるって聞いてたっていうかー」
「え!? 霞、それ、どういう意味!?」
「ハルトがヒューム侵攻を妨害したってのは聞いたけど、御子神が『フェザーズ』の制御コマンド教えてもらってるって、どういうことだよ!」
「あー。えーと、森坂さん、みんなにも話しちゃっていいですか?」
「もともと、あなたが黙っていたいっていう話だったわよね?」
「あ、そうでしたね。それじゃあ……」
かくかくしかじか
……っていうほどの説明は必要ないね。
「えっ、霞、『ハルト』本人と知り合いなの!? ファンってだけじゃなくて!?」
「うん、リアルでしょっちゅう会ってるし。一緒に踊ったりもしてたよ!」
「おいおいおいおい! AHCのお偉いさんでさえ正体不明で困ってるっていう、あのハルトの中の人とか!?」
「そうだよー」
「そんなあっさりと……。もちろん、それならいろいろと納得できるところがあるけどね……」
「だな。『感染源』は井上じゃなくてお前じゃねえか!」
めんご。
「……で? それでも今の段階では『ハルト』が誰なのか教えたくないと」
「そうですね。理由は、まあ、わかりますよね?」
「ああ、まあ、そうだな。めぐりめぐって『ヒューム』側に知られたらたまったもんじゃないな。ハルトはやつらにとって最大の脅威だろうから」
「ヒュームの技術をも凌ぐ……というか、ヒュームの技術と類似しているのは、気になるんだけど」
「私はその理由も知ってるけど……ごめんね、やっぱり話せないや」
話せないというか、話さないことが最大の武器となっているからねえ。
「……わかった。今は何も聞かない。だがな……」
がしっ
「『ハルト』から聞いた制御コマンドを洗いざらい話せ。いいか? 全部だぞ!」
「はーい」
まあ、そろそろ頃合いだよね。明日には『特務プラン』が本格発動するから―――
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