#20
大昔のスパイ映画の予告編で観たようなそれは、さほど高くない位置まで上がったミサイル
まあいいや、さっさとやってしまおう。
カシャッ
カシャカシャッ
ゴウッ―――
「飛行モード、準備完了! 『
ブオッ――――――!!
うわあああああっ、こっちもGがすごいー! そ、そりゃそうか、やってることは同じだもんね!
ビュッ―――
「くっ……右ライフル、照準設定! 目標、敵
ピッ……ピコン
「『
ドドドドドドドッ
ぼすっ!
「よし! っと、私の方は軟着陸しないと。『
ぼぼぼぼっ、ぼっ、……ぼっ
ズンッ
「うん、下を見ずに着陸できたよ! さてと……よし」
甲板に軟着陸した私の機体の前には、横向きで落下したフェザーズ機体が横たわっていた。あっ、コックピットのハッチが開いたけど、エアクッションのせいでパイロットが外に出られないし。そのまま捕縛してしまおう。
『御子神さん、危ない!』
「えっ……」
いつの間にか、別のフェザーズが間近に迫っていた。うわっ、潜水艦が空母に着艦してるよ! 直接乗り込んできたの!?
「くっ、回避!」
ぐらっ
だんっ!
ダダダダダダダッ
チュイン!
キンッ!
とっさに機体を背中側に傾けつつ、脚を使って後ろに踏みとどまる。その直後、敵フェザーズから放たれた銃弾が次々と横切る。二、三発ほど肩をかすった。危ない危ない!
『うおおおおおおおっ!』
「えっ、その声、井上くん!? っていうか、さっきのも?」
銃を装着していないフェザーズ機体が、バールのようなもの……いやあれ、でっかいバールだよね? たぶん、フェザーズ整備に使っていたものだけど、その先っぽの角を、銃を撃ったフェザーズ機体の頭部に突っ込んだ。
ボスッ!
……キュイーン、ウィーン……
ああ、メインカメラが壊れて右往左往しているのか。
ガチャッ
って、ちょっとまてーい! 目が見えないのに銃を乱射しようとするなあ!
「
ガチャッ
シュッ
ガシッ
「はあああああああっ!!」
シュバッ
ボンッ!
ガランッ、ドスンッ
よっし、銃弾が出る前に両腕を切り落とせた!
「そんでもって、いつもの腹パン!」
ごすっ
ドゴッ……
「ふう、終わった終わった。あっ、潜水艦も捕縛されたねー」
離脱しようとしていたらしい潜水艦だったが、空母に乗っていたAHC軍兵士の多くに乗り込まれていた。あ、TVクルーのひとりも捕まってるし。アレがスパイかあ。で、そのスパイのクルーを撮影しながらウキウキウォッチング(死語)でリポートしている武藤さん。なんだかな。
「あっ、そうだ、井上くん!」
かちっ
「井上くーん、大丈夫?」
『だ、大丈夫……』
「助けてくれて、ありがとー! 見直したよー!」
『そ、それは、嬉しいなあ……』
………………
あれ? なんか、反応なくなっちゃったよ? え、もしかして、気絶か何かした? 井上くーん!!
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