#07
翌日朝は予定通り、学校の体育館でバスケの朝練だった。まあ、ランニングとシュート練習で終わったけど。シュートは全部パワーショット決めたよ!
「はー、終わった終わった。さてと、HRに遅れないようにしないと……」
「御子神、着替えたら、職員室に向かってくれないか?」
「これからですか?」
「ああ。担任には伝えてあるから、HRは出なくていい」
顧問の先生にそう伝えられた私は、よくわからないまま職員室に向かう。HR出なくていい、という言葉に訝しがりながら。
ガラガラ
「失礼しまーす。あのー」
「ああ、御子神か。……あの、彼女がもうひとりの生徒です」
「……そうですか」
先生以外で職員室にいたのは……軍服を来た女性だった。その胸には、最近制定された『
え、もうバレた?
……と口には出さず、ついて来るよう指示されたので、おとなしくついていく。乱暴な態度がないのは比較的好印象ではあるのだが。数週間前にあれこれやらかしていたパイロットを思い出しちゃったからねえ。
◇
到着したのは、なぜか理科実験室だった。そしてそこには、もうひとりの軍人の男性と、
「あ、霞も……」
「みこちーん!」
がばっ
いつものノリで
そういうわけで、私は無難な言い方でアドバンテージをとっておくことにした。
「あの、もしかしてまた『判定チェック』ですか?」
「……察しがいい娘ね。私たちは、
そう言って差し出された名刺―――女性の方は『
「あの兵器の解析に協力してほしいってことですか? えーと、『同調』できる人がほとんどいないから」
「そうなの。あの侵攻の日に、日本で『同調者』として判定されたのは、あなた達を含めて4人。つまり……」
「都庁前の私たちだけだったんですか!?」
「あの場所が、最も人が多かったのが理由のようね」
うわあ、さすがにそこまで希少だとは思わなかった。というか、みこちんが判定チェックに引っかかったのって、どう考えても私の影響だよね。思考パターンというか、ハルトの動きのあれやこれやを語り続けたせいというか。ごめん、みこちん。
「だから、まずはこの装置で再確認させてほしいの。実のところ、他のふたりには既に再確認したのだけれど……無反応だったから」
「「えっ」」
「まだよくわからないのだけれども、どうも心理的な影響が大きいらしいのよ。萎縮……というのかしら。すっかり怯えてしまって」
いや、それってたぶん、ハルト経由で提供したアルゴリズムを適用すれば、ちゃんと検出できると思うよ? そりゃあ、精神感応なんてSFちっくなもの、自信がないとうまく制御できない可能性は高いけどさあ。……あれ、『ヒューム』内の同調者がやたら承認欲求高めなのって、もしかしなくてもそういうこと? なんだかなあ。
「もし、あなた達が依然、この装置に反応するなら……協力をしてもらいたいのは本当だけど、同時に『保護』もしなければならない。理由は、わかるわよね?」
「「……」」
明らかに、『ヒューム』に狙われる。今はまだ膠着状態だが、いずれはスキを見て旧国家群にスパイを潜り込ませ、『
「あの、森坂さん。この装置の反応って、今の気分とかで変わるんですよね?」
「そのはずだけれども……。確か
「そっ、そうでしたが、もしかすると、今は……」
「そうね。それじゃあ、早速お願い」
あの時と同じように設定された感応パネルに、恐る恐る手を置くみこちん。ちなみに、さすがに『フェザーズ』本体を持って来たわけではなく、判定チェックに必要な部分のみを取り出して組み直し、電源ユニットと併せて持参したようだ。
ぽーん
「レベル1……だいぶ消極的になっているみたいだけど、それでも『同調』はするようね」
「うう……」
ごめん、みこちん。いやもう、マジごめん。あーもう、調子ぶっこいてた成瀬くんあたりが反応したなら、なんの罪悪感もないんだけれども。っていうか、成瀬くんや井上くんにも、ハルトのなんたるかを熱く語ってきたよね? なのに、どうしてみこちんだけが……。
などと、考えていたからだろうか。見事なまでのお約束が部屋に踏み込んできた。
ガラガラガラッ
「ちょーっと待ったー! 俺にも、もう一度判定チェックやらせてくれ!」
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