携帯電話

「で、諒ちゃんは今日もお店に行くのね?」

「当然っ」

 鞄を肩に掛けた俺は掃除当番のヒロにじゃあなと手を振った。今日は定休日だけれど、いつものように千紘が店にいるかどうかを確認しにいくのだ。

「それじゃ諒ちゃんは年中無休じゃない」

「テスト前は怒られるから休んでるよ」

 呆れたように肩をすくめたヒロに背を向けて、俺は校舎を出る。


 ウキウキ気分で校庭を横切ると校門付近がざわついているのに気がついた。主に女の子の黄色い声だ。何事かと門の向こうを覗き込んでみれば、どこぞの王子様が女子の視線を集めていた。

「あ、諒くん」

 王子が俺の姿を見つけてにっこり笑って手を挙げると、ひときわ大きく周りがざわめく。

「七生じゃん。何してんの?」

「諒くんを待ち伏せ。よかった、会えて」

 いつでもどこでもムダにキラキラしている七生は人の視線を気にする事もなく感動的に俺の手を握った。

「なんだ、この、他校の彼氏が彼女を迎えにきましたみたいな展開…」

 俺だって目立つ方だしあれこれ言われるのには慣れているけれど、この展開はちょっと不本意かもしれない。王子様みたいな彼氏が迎えにきてた、なんて寒すぎる。

(別に何言われたって構わないけどさ、どうせ噂されるなら千紘さんとが良かった)

 そんな事を思いながら、絡みつく指をはずしてやんわりと押し返した。

「どしたの?わざわざこんなとこまで」

「そこの可愛い彼、俺と遊ばない?」

 七生は芝居がかった口調で俺にウインクなんかしてくる。なんていうか、こいつは本当に残念な王子だ。もしかしたら女の子はこんなんでキャーキャー言うのかもしれないが、男の俺から見たらどうにもため息しか出ない。イケメンの無駄遣いだ、もったいない。

「ナンパかよ」

「イエス。何か用事とかあった?」

「あ、いや、べつに…」

 本当は店に千紘がいないかどうか覗こうと思っていたのだけれど、それを七生に言うのはためらわれた。言えば絶対それなら俺も一緒に行くと言い出しそうだし、そうなると千紘と二人きりになれる貴重な場を失う事になってしまう。

(そんな事バレたら毎週やってきそうだしな、こいつの場合)

 会いたい気持ちと天秤にかけて、残念だが今日一日だけ店に行くのを諦める事を選択した。

「じゃあ決まりっ。行こ」

 七生はめげずにもう一度俺の手をぎゅっと握ると、大きなストライドで歩き出した。

「手はつながなくていいんじゃないかな、七生くんよ」

 ぐいぐい引っ張られながら俺はささやかな抵抗をする。

「だって、デートだもん」

 七生は勝手なことを言って幸せそうに微笑む。

「ナンパなんじゃなかったの?」

「細かい事は気にしない。ナンパだって手つなぐだろ?気が合えばキスだってするし、それ以上だってなくはない」

「何、七生って結構遊び人?」

「ん?まあどっちかっていうと俺がされちゃう方かな。肉食女子って言うの?あれ、すごいよねー」

「知らねえよ。さらっと爆弾発言してんなよ」

「諒くんだってモテるでしょ?」

「俺のはなんかそういうんじゃないし」

「そう?俺は諒くんにいろいろしたいと思うよ?」

 言葉とは裏腹に七生はそれまでがっちりとつないでいた手を離す。それが逆に本気さをアピールしているようで俺は言葉に詰まった。七生の事は嫌いじゃないが、恋愛対象で見られるかと問われれば答えはノーだ。


(だって、俺が欲しいのは千紘さんだけ)


 どんな美人に迫られようと、千紘でなければ全てがノーだ。

 七生に対しても俺は何度となくそれなりにお断りをしているのだけれど、どうも諦めてくれる気はないようで少し困っている。せめてもう少し真面目に告白でもしてくれたらけじめがつけられるのかもしれないが、七生は本気だと言いながらいつも冗談めかした事しか言わない。今みたいに態度で示したって、決定的な言葉は告げない。きっと俺の答えがわかっていてわざとそうしているのだ。


(俺が千紘さんに告白できないのと一緒か)


 言ってしまえば終わってしまうとわかっているから。

 何も言えない俺と違って七生はあからさまにアピールしてくるけれど、それでも決して最後の一線には踏み込まずにいる。そこを踏み越えるにはとてつもない勇気と覚悟が必要なのだと俺も知っている。

「で、どこ行くの?」

 その事実が、もしかしたら俺の認識を甘くさせているのかもしれない。どれだけ七生が俺にあからさまな好意を寄せようが、どうしようもなくなるほど踏み込んでくる事はないだろうとあぐらをかいている。同じ職場で働いているわけだし、面倒事は避けて楽しくやれればなんてずるい事を考えているのだ。惚れたはれたで店に迷惑をかけるわけにもいかないし。

(実際、本当に本気なのかどうかもわかんないじゃん)

 そんな失礼な事を心の中で呟いて、七生と肩を並べる。自分がもし千紘にそんなふうに思われていたのならとても悲しいと思うのに自分勝手だ。


「実は特に考えてないんだ。急に思い立ってここまできちゃったから」

「勢いだけで派手な事するなよ」

「ごめん」

「だいたい、俺がもう帰った後だったりしたらどうしたわけ?」

「大丈夫、うちの学校今日早く終わったから、諒くんの授業が終わるだいぶ前からあそこで待ってた」

「げっ、マジで?」

「だって諒くんメアドとか教えてくれないじゃん。店以外で会おうと思ったらこうするしかさ」

 口を尖らせた七生は、だから教えてと自分のスマホを出してせがむけれど、俺は今日は持ってないからと嘘で誤摩化した。なんとなく、予防線だ。必要以上に深入りしてはいけない気がするのだ。

 そんな俺の内心を知ってか知らずか、七生はたいして深追いもせずに諦めてくれた。

「じゃあ、とりあえず街まで出ようか。買い物でも買い食いでもゲーセンでもカラオケでも、気分でさ」

 軽く背中を叩かれ、駅までの道を歩く。

 もっと思いっきりデートみたいなプランを告げられたらどうしようかと思っていたけれど、案外ただの男友達ムードで安心した。友人としてであればすごく楽しいし、いいやつだと思うのだ。俺を好きだなんて言わなければきっと、もっと親しくなれていると思う。気持ちに答えてやれない事への後ろめたさが俺を一歩引かせる。もっとがっちりぶつかりあえたら、きっともっと楽しいのに。




 実際、七生と遊ぶのは楽しかった。一歩引いている事なんて正直すっかり忘れてしまっていた。

 もしかしたら七生の作戦だったのか、いつもみたいに好きだのなんだのという事は一切口にも態度にも出さなかった七生は、まるで古くからの友達みたいだった。

 ゲーセンでバカやって腹ごしらえしながらくだらない話で笑って、俺の中の警戒心なんてすっかりなくなってしまった。

 うっかりまた行こうななんて言いそうになって、寸でのところでこらえる自分に苦笑した。


「そろそろ帰ろうか」

 時計を見て七生は残念そうに呟いた。いつの間にかずいぶん日が傾いてしまって、空がきれいな茜色に染まっていた。

「あ、ちょっとあそこだけ寄っていい?」

 ペットボトルのコーラを煽った俺はツンツンと七生の袖を引っ張る。俺としては純粋に買わなきゃいけないものを思い出しただけで、七生ともう少し一緒にいたいとかそんな事を思ったわけではないのだけれど。

「いいよ」

 七生はびっくりするぐらい嬉しそうな王子スマイルを見せた。

(やっべ、こいつあんな一言でこんな顔するんだ…)

 しくじったなと一瞬後悔したが、今更撤回するのも変なので仕方がない。


「わるいな、すぐすませるから」

 何も気付かなかったふりで店に入ろうとしたその時、電話の着信音が小さく響く。音の出所は俺の鞄の中だ。先ほどスマホを持っていないと嘘をついてしまった手前知らぬふりで放っておこうかと思ったのだけれど、七生の耳はしっかりそれを聞き分けたようで、非難めいた視線で俺を見た。

 引きつった笑いで誤摩化しながら、俺は鞄からスマホを取り出した。ディスプレイに表示されるのは知らない番号だったが、微妙な空気に耐えきれず思わず電話の向こうの誰かに助けを求めてしまった。

「もしもし?」

「俺だ、諒」

 耳に当てた携帯から胸の奥の方に響いてくる低い声は、名乗りもしない不遜な物言いだったが、俺にはすぐにわかった。

「えっ、千紘さん!?」

 驚きとトキメキとで一気に心拍数が跳ね上がる。

 働く上でこちらの番号は店長である千紘には教えてあるし、店から電話がかかってくる事はたまにあったけれど、これはおそらく千紘のプライベートな番号だ。これまで何度かさりげなく教えてよとねだったけれど教えてもらえなかった千紘の携帯番号、まさか千紘の方からそれが明らかになる事をわかっていてかけてきてくれるなんて思いもしなかった。

「何してんの?」

 耳元で囁かれているみたいに近くで聞こえる声はいつもより少し低くて、もしかしたら少し機嫌が悪いのかもしれない。

「え、何って別に…」

「七生と二人で楽しそうだな」

「はっ?」

「後ろ向いてみ」

 くすっと笑う気配がして、俺は勢いよく体を反転させる。

 10メートルぐらい先で耳に電話を当てた男が軽く手を挙げた。

「うっわ」

 電話を切るのも忘れて俺は千紘に駆け寄った。今日はもう会えないと思っていたのになんという幸運だろう。

「今日は店来ないと思ったらこんなとこで遊んでたのか」

「あれ?もしかして待っててくれたとか?」

 約束しているわけではないけれど、結局毎週足を運んでいるのだから、千紘の方もその気でいるのかもしれない。少しは俺が来る事を期待してくれていたりするのだろうかと目を輝かせれば、千紘はふいと白々しく目を逸らす。

「いんや、今日は俺も行ってねえし」

「ええーっ」

 ひどいやと頬を膨らます俺を見て千紘は満足そうに笑った。

「まあ、わざわざ行ったのに店閉まってたら気の毒だなあとは思ってたけど」

 膨らんだ俺の頬を千紘の分厚い掌がなだめるようにポンポンと叩いた。

「おまえ、七生とバイト以外でも会うんだな」

「今日はたまたまだよ」

 おそらく千紘としては事実を確認しただけなのだろうが、まるで嫉妬でもされているみたいだと勝手な妄想を繰り広げて浮かれていると、千紘は少し顔を近づけて声のトーンを落とす。

「大丈夫なのか?」

「何が?」

「いや、だってあいつおまえのこと狙ってんだろ?」

「ああ……でも、普通にこの辺ぶらぶらしただけだし」

「まあ、あいつはヤバい事するやつじゃないとは思うけど、こじれられても厄介だからな」

 心配しているのは俺の事なのか店の事なのか、千紘の心の中なんていつもわからない。

「俺だってそれなりに気遣ったりしてるんだよ。結構いろいろ…大変なんだから」

 仲間だから無下にも出来ず、けれど気持ちに応える事は出来ず、俺だって辛いのだと目で訴える。ただのんきに遊んでいるわけではないのだ。まあ、最後の方はちょっと遊びに夢中になってしまったところはあるけれど。

「そうか。それならいい」

 千紘はクシャと俺の頭を撫でる。

 いつも千紘は俺以上に七生の事を警戒する。千紘から見たらきっとじれったいほど子供な俺を心配してくれているのだろうが、この心配が親心的なものでなく七生への嫉妬だったらいいのにと思いながらその手の温かさを受け止めた。だってそんな夢を見てしまうぐらい千紘は時々とても優しいのだ。本当に時々、だけど。


「何してんですか、店長」

 ひとときの幸福感に浸っていると、急に背後に人の気配がして俺は顔を上げた。千紘の手がまだ頭上に乗っかっていて思うように頭は動かなかったが、それがもちろん七生である事は見ずともわかる。申し訳ない事に千紘の顔を見たとたん七生の存在なんて頭の中からすっかり抜け落ちてしまっていて、声をかけられて初めてそういえばそこにいるのだという事を思い出したのだけれど。

「少ない休日を謳歌してるんだが、何か?」

「諒くんは今日俺とデートしてるんです。横取りしないでください」

 七生は千紘の手を俺の頭から払い落とし、俺の手をぐっと引っ張る。

「…別に誰のもんでもないだろうが」

 いつになく敵意むき出しの七生に千紘は小さくぼやいて肩をすくめた。

「へいへい、お子様たちはそろそろお家へ帰りなさいよ?」

 七生のふっかける喧嘩を買う気なんてさらさらなく、千紘は俺たちに背を向けて軽く手を振った。

 あんまりあっさりした去り方で俺は切なくなる。せっかく出会えたのだからもっと一緒に、と思うのは俺だけで、千紘にとっては俺との出会いなんてどうだっていい些細な出来事の一つなのだと痛感する。俺に優しくしたのなんてただの気まぐれか、監督者としての責任感か、そんなものでしかないのだろう。俺が夢見るような事なんて、どこまでいってもただの夢であり妄想でしかないのだ。

「行こ、諒くん。結局買い物まだでしょう?」

 うつむいて唇を噛んでいると、七生は俺を励ますみたいに背中を押した。


 答えなんて最初からわかりきっているのに夢を見る自分が悪いのだという事はわかっている。いつも、何度も、同じ事で俺は後悔する。けれど恋しているのだ。どうしたって夢を見て期待してしまう。

 拒絶するくせに優しくする千紘はずるい。

 だけど、告白する覚悟もない俺の方がもっとずるい。

 ただ想像するばかりで、現実を見るのが怖いのだ。怖いから幸せな妄想をする。それで後から傷つくのだとわかっていても。

(ガキだな、俺…。こんなだから相手にしてもらえないんだ)

 もっと強くなりたいと思う。怖い事にだって立ち向かえる勇気が欲しい。もう少し大人になれば、それは手に入るのだろうか。いつになれば千紘や晋平みたいな強さを持てるのだろうか。

 俺は少し大げさなぐらいの角度でくいっと顎を上げた。強がりでも上を向く。そうやってちょっとずつでも強くなれたらいい。

 どんなに心が悲鳴を上げる事があったって、俺は千紘の隣にいる事が幸せだと感じるのだから。

 どんなに後悔しても、やめる事なんてできないのだ。

 こんなにも必死な心の欲望に勝てるわけがない。

 性懲りもなく俺は千紘を求める。心の中で千紘を思っただけですぐに全身の温度が上昇する。

(へこんでたら千紘さんの相手なんて無理だもんね)

 気合いを入れて笑顔を見せると、七生が一瞬だけほっとした表情を見せた。




 七生と別れた家への帰り道、俺は道の端を歩きながらスマホの着信履歴を見た。そこにある今日初めて知った千紘の番号を心の中で何度も読み上げる。番号を覚えようとかそういうつもりではないけれど、浮ついて居ても立ってもいられないのだ。

 プライベートの電話番号を知ったというそれだけで、何がこんなにも嬉しいのだろう。

 少しだけ、深いところへ入り込めたような気がするのだ。

「かけて、みようかな…」

 ふとそんな欲望がわき上がる。はたして俺からの電話を千紘はちゃんと受けてくれるのだろうか。

(あの人の事だから、無視しそうな気がしないでもないな…)

 別に何か用があるわけでもないのだから、出なかったら出なかったで困りはしないが、少なからず胸は痛むだろう。けれどそれ以上に、もしちゃんと出てくれたら、話が出来たらと思うと我慢が出来なかった。

 えいっと画面をタッチしてしばし呼び出し音に耳を傾ける。だいぶ長く待たされて諦めかけた頃、ようやく「はい」と低い声が耳に届いた。

「あの、千紘さん」

 妙にドキドキする。なんだろう、この緊張感は。ただ電話で話す、それだけのことなのに。

「何?」

「いや、あの、べつに、なんでもないんだけど。…あー、その、念願かなって千紘さんの番号をゲットしたので嬉しくてついかけてみたくなったというか…」

 話す事なんて何も考えていなかったので、思ったそのままを暴露するしかなく、言いながら自分でそれはちょっとどうかと情けなくなってくる。


「しまったなあ、ついうっかり自分の携帯使っちまった」

 電話の向こうで千紘は困ったようにため息をついた。

 後悔しているのだろうか。迷惑だっただろうか。やっぱり千紘はプライベートな部分に俺を踏み込ませたくないのだ。いつだって千紘はやんわりと俺が深入りすることを拒むのだ。

 やっと少し許されたのかと思ったけれど、千紘の意志とは違ったのならば俺はどうしたらいい。

「…ごめんなさい。不本意だったなら削除しとく」

 泣きそうになりながら強がった。千紘が嫌だと思う事はしたくない。顔は見えないから大丈夫だと思うが、声は震えていなかっただろうか。いつもみたいに軽い調子で千紘の失敗を笑い飛ばせているだろうか。


「いや、いいよ。消さなくていい」

 思いがけず優しい声が俺の耳をくすぐって、本当に涙がこぼれそうになったが、ここが往来である事を思い出してぐっとこらえる。

「ただし、用があるとき以外はかけるなよ?」

「はい、すいません、意味なく電話して」

 素直に謝ると電話の向こうで少し笑った気配がして胸がすーっと楽になった。

「ま、今は暇だからいいけどな」

「あの、千紘さんは今何してんの?」

「今帰ったところだ。お前は?一人か?」

「うん、七生とは電車で別れて今家に向かって歩いてる途中」

「そうか。さっさと帰れよ?もうずいぶん暗い」

「うん」

 なんだかずいぶん甘いことを言われている気がして頬が緩む。電話だから、なのだろうか。いつもの意地悪なところが抜けて優しい部分だけが届いているような気がする。

「ん?何?」

 嬉しくて微笑んだのが向こうにも伝わってしまったらしい。千紘は怪訝そうな声を出す。

「なんか千紘さんが優しいなあと思って」

「何言ってんだ、俺はいつだって優しいだろう?」

「うっそだー」

「ふーん、お前がそういうなら嘘ってことで。明日はしっかりいじめてやるから覚悟しとけ」

 そんな捨て台詞と笑い声を残して電話は切れた。きっと今ものすごい悪い顔をしているんだろうなと想像したらおかしかった。


 少しだけ、踏み込めたような気がする。電話の向こうが見えるわけではないけれど、自分の部屋にいて俺と電話する千紘の姿を想像したら急に距離が近く感じるから不思議だ。

(ただの妄想だけどね)

 通話の切れた電話を愛おしく握りしめ、俺は胸の中から勢い良く溢れ出してくる気持ちに叫びだしそうになるのをこらえながら家までの道を全力でダッシュした。



 妄想だっていいんだ。また傷ついたって。

 それが俺の恋だ。

 傷ついた分だけ強くなる。

 強くなって、大人になりたい。

 いつか千紘をときめかせてやるんだ。

 それが俺のささやかな野望。



<終>

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