第一章 吸血鬼【バンパイア】
心を無に…そう思えば思うほど、気持ちは焦り、不安が込み上げてくる。
「くそっ……!」
両手で頭を抱え、光龍は、身を丸めた。静かすぎる部屋の中、光龍は、不安な気持ちに、押し潰されそうだった。
「光龍さん。」
突然、部屋の外から、声を掛けられ、光龍は、ビクッと身体を震わせ、身を起こした。
「何をそんなに、恐れているのです?」
「白狐様……。」
光龍は、瞳を震わせ、声のする方を見つめた。障子に、人影が映っており、その髪が風に靡いていた。
「白狐様…僕は…。」
頼りない光龍の声に、白狐は、クスクスと笑う。
「光龍さん。もっと、自分の力に、自信を持ちなさいな。」
「しかし…。僕は、不安なんです。みんなの前、強がって、あんなことを言ってしまいましたが、僕に…僕一人に、妖魔が倒せるのか…と。」
光龍の言葉を聞き、白狐は、黙って頷いた。
「誰でも、最初は不安なものです。この私でさえ、恐れたことがあるのですよ。でもねぇ…光龍さん。いつまでも、恐がっていると、貴方は、いつまで経っても、半人前のまま。それでも、良いのかえ?」
白狐の言葉に、光龍は、キュッと唇を噛み締めた。白狐は、クスクスと笑う。
「光龍さん。貴方に一つ、お話をお聞かせしましょうか…。これは、もう、随分と昔の話ですがねぇ。」
白狐は、静かに、ゆっくりとした口調で、話を始めた。
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