第一章 吸血鬼【バンパイア】
夕霧の話を聞きながら、みんなは、眉を寄せた。白狐は、薄紫色の着物の胸元から、手鏡を出すと、鏡の中をじっと見つめ、唇をペロリと舐めた。
「今回の、お客さんは、吸血鬼さんのようですねぇ。さて、私達も、10代の若い男…。お客さんが放っとくはずがありませんよ。ミイラ取りがミイラにならないよう、気を付けて下さいね。」
クスクスと笑うと、白狐は、スッと立ち上がり、静かに、居間を出て行った。白狐があっさりと、引き下がる時は、その仕事に、興味が無いということだ。冬夜は、一息つくと、チラリと夕霧を見た。夕霧は、腕を組み、瞳を閉じ、黙っている。沈黙が続き、やがて、光龍が口を開いた。
「今度の満月の夜は、いつですか?」
光龍の声に、夕霧がゆっくりと瞳を開け、顔を上げた。
「三日後の夜だ。」
「三日後……。」
光龍は、しばらく考えたが決心したかのように、息をついた。
「この仕事、僕が引き受けます。」
「…………。」
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