第一章 吸血鬼【バンパイア】


唇を片手で軽く押さえ、クスクスと笑う白狐。二人は、庭にある満開の大きな桜の木を見上げ、春風を受けながら、にっこりと笑みを浮かべた。


 その頃。街にショッピングに出掛けていた、光龍と冬夜は、公園のベンチで一休みをしていた。買い物好きな光龍が、いろんな物を買い過ぎた為、荷物が沢山になってしまい、予定よりも、遅くなってしまった。


いつものこととはいえ、冬夜は、少し呆れていた。シャツの胸のポケットから、煙草を取り出し、口にくわえると、火をつけ、大きく吸い込む。


肩までの柔らかい髪を風になびかせ、足を組んだ冬夜は、買い物に満足して、機嫌の良い光龍をチラリと見ると、溜め息混じりに言った。


「あんたさぁー…買い物好きなのも、いいけどよぉ。よく、金がもつねぇ?」


冬夜の言葉に、光龍は、にっこりと笑い、少し乱れた前髪をかき上げ、応えた。


「お金?そんなもの、いつまでも、あるわけないでしょ。」


「何だって?それじゃ、何で、そんなに、買い物出来るんだ?」


「買い物は、僕の生き甲斐なんです。お金が無くなったら、借金しても、買い物します。」


あっさりという光龍に、冬夜は、ますます、呆れて息をついた。


「そんなことして、困らねぇのかよ。」

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