幕間 ナリアの憂鬱で大変な日々
挙式、パレードと無事に終わり、披露宴は少しありましたが、まぁ、無事に終わりました。
リュンヌからの刺客は鬱陶しかったですが。
ですが、リュンヌはともかく、シンビオーシス貴族の中でも、ブラックリスト入りの貴族を処罰できるとは思いませんでしたね。
……何者かの意思が介在したようにも思えますが。
リエル様も陛下に内緒で動く時がありますから、もしやと思いましたが、事後報告はされる方ですし、無いという事は、今回は違うのでしょう。
さて、そんな披露宴後ですが、これからが大変です。
陛下と妃様方の初夜です。
王侯貴族には必須な話なのですが、いざという時に手助けが必要な事です。
大抵は、男性が経験を積んで、女性をリードするのですが……陛下はお立場がありますので、そういった事も中々に難しかったので、筆頭侍女たる私がという訳です。
「特に、正妃様との初夜は成功させなければ」
気合いを入れて、ミリアンヌ公王正妃殿下の準備をして、手を取って寝室へと案内します。
その後、陛下を案内して、寝所の前で待機です。
防音はしっかりとしていますが、ドアまではそうもいかず、少し音が漏れます。
聞き耳を立て、無事に出来ているか確認しますが、心配なそうで安心しました。
ええ……本当に、心配など皆無でしたとも。
途中から激しかったですから。
聞き耳を立てる必要などない位に。
しかし、これはこれで問題ですね。
(防音魔道具が必要でしょうか? ……とりあえず、発注はしておいても良さそうですが、初夜の期間は設置不可ですね)
寝ずの番で護衛も兼業し……いつまでするのでしょうか? そろそろ寝て欲しいのですが。
結果は、朝まで――もしかして、これが17日ですか? ……覚悟を決めましょう。
任せられる侍女がいないわけではありませんが、条件もありますので、私が適任でしょう。
……気が重いですね。
少しだけ意地悪をしても、罰は当たらないでしょう。
と言うか、いつまで寝ているのでしょうか?
侍女らしい意地悪で、鬱憤を晴らしましょう。
陛下も、いずれ気付くでしょうから。
そう考えの元、布団を粗っぽく剥ぎ取って、叩き起こします。
「もっと優しく起こさんかいっ!」
「そうですか。ではガウンを着て、お風呂に行ってください」
「お前、ホントにブレねぇなぁ」
「それが仕事ですので」
「は、早く行きましょう、あなたっ」
お二人共、足早に浴場へと向かわれましたね。
さて、ベッドメイキングですが……今後、私一人では手に余りそうですね。
恐らくですが、体調も万全とはいかないでしょう。
昨夜の事を考えれば。
(この惨状を見せても良い人手は……あまりいませんね)
既婚者組でも、流石にこれは少々……。
そうなると、自ずと候補は絞られるわけで、彼女しかいませんでした。
「イルリカ、暫くの間、私の補佐をしなさい」
「えぇ……。この惨状を見せて、それですか?」
「あなたしか、適任者がいないのですよ。夜は任せられませんし。それに、いずれあなたも加わる事です。見ておくのも良いですよ」
「侍女長、地味に嫌がらせしてますよね、私に」
「何の事でしょうかね」
そんな日々が続いて、七日目、少し事態が変わりました。
ランシェス貴族であり、陛下の義父でもある、ドバイクス家夫妻が訪ねて来たのです。
そう、陛下に会う前に、私へ。
貴族用の挨拶をして、席へと案内し、座るように促されました。
これは……厄介事ですね。
「それで、侍女たる私に話があるとの事ですが」
「謙遜しなくて良いし、君はシンビオーシス貴族家当主の妻なのだろう? シンビオーシス王からの信も厚いのだから、堂々とするべきだと思うがね」
「まぁ、そんな侍女長筆頭だからこそ、私達も話しが出来るのですけどね」
「ありがとうございます」
さて、かなりの厄介事だと認識できます。
詳しい理由は、陛下の前で話すとの事で、もしも話が上手く進んだ時の保険を、私に託したいのだとか。
その説明の後、手紙を渡されました。
命令書だったら、即座に破り捨てようと、心に誓って受け取ります。
「今、お読みしても?」
「話しが終わってからにして欲しい。もしかしたら、必要無いようになるかもしれないからな」
「今、一つだけ言えるなら、シンビオーシス王と我が娘に関してですかね」
…………そういう事ですか。
なんとなく、手紙の内容を理解しました。
そして、17日連徹が18日連徹になる可能性があるのですね。
いえ、下手すれば19連徹も……イルリカ、せめてあなただけはズラして下さい。
そんな私の読みは、見事に当たりました。
18連徹確定です。
ただ、シア妃の年齢もあってか、その日は護衛しながら仮眠する事が出来ましたね。
ええ、1時間程ですよ。
少ない? 後は魔法でごり押しですが、なにか。
侍女業はブラックですか? いえ、普段はもっとまともですよ。
残業はある場合もありますが、基本は決められた時間での交代ですから。
今回は特殊事例です。
後で休みは貰いますが。
そして朝ですが、それは優しく起こしましたとも。
1週間ぶりの仮眠時間、大変ありがたかったです。
「そんな、蔑んだ目で見ないでくれ……」
「いえ、見てませんが?」
何か勘違いをされている陛下がいますね。
優しく、叩き起こしましたとも。
ええ、単なる八つ当たりです。
昨日、話が終わった後、頂いた手紙を見て、思わず床に叩きつけて投げ捨てた程でしたから。
手紙の内容ですか? 必ず、シア様を抱く方向に持って行くから、孫が出来そうな雰囲気かどうかの確認を――との事でした。
一介の侍女が、確認できる内容では無いのですがね。
そんな事もあって、優しく叩き起こしました。
布団を引っぺがさないのが優しさです。
それから四日間……ええ、これは聞かせられませんね。
駄目なやつです。
陛下がドSなのは知っていますが、これは駄目です。
……完全防音寝所を作るべきだと、ブラガス宰相に進言すべき案件です。
…………ちょっと、勉強をしておきましょう。
これからの旦那様との情事の為に。
あ、1日はまともでした。
「過去一、酷い惨状ですね」
「「面目ないです」」
流石に翌朝、ベッドの惨状を見た私は、リア妃と陛下に一言申し上げました。
何事も、やり過ぎはダメです。
「侍女長、どの口が言ってるんですか?」
「何か言いましたか、イルリカ」
「いえ、何でもありません」
二人して冗談を言っていましたが、翌朝、二人して顔を引き攣らせました。
ヴェルグ妃の日です。
リア妃を凌ぐ、酷い惨状でした。
ええ、次点のリア様なんてぶっちぎりする程の。
完全防音特殊寝所の手配を提案すべきか、真剣に悩むほどでした。
ちょっとくらい、毒を吐いて注意しておきましょう。
「絶倫鬼畜陛下だったとは知りませんでした」
「言い方ぁ! いや、そんな蔑んだ目で見んなっ!」
毒吐き注意喚起はしておきましたし、少しはマシになると良いのですが。
その反動でしょうか? リュール妃の夜はとても穏やかでしたね。
……妻の緩急は必要なのかもしれないと、考えさせられてしまいます。
今度、試してみましょう。
今日は更に長く仮眠を――2時間程です――取れましたし、優しく起こして差し上げました。
「今日で世界滅亡っすか?」
「優しく起こしたらこれですか。明日からは元に戻しましょうか」
「明日も今日と同じでおなしゃすっ!」
冗談が言えるほどには、陛下も回復なされたようです。
問題は、フェンタイ三妃ですね。
一妃は矯正可能でしょうが、残る二妃は手遅れですね。
……やはり、完全防音特殊寝所の用意は必要ですか。
相談できる相手がいないので、単独判断になりそうです。
最悪の場合、少し懺悔しに行きませんと。
幸いにして、教皇様がおられますし、内密に連絡を取りましょう。
リジア妃は、激しかったですが、仮眠時間はしっかりと頂ける時間だったので、本日も優しく起こしてあげましょう。
「天変地異でも起こったか?」
「明日は叩き起こすとしましょう」
「嘘です。サーセン」
陛下も、存外失礼です。
しかし、起こし方が幾度か変わったので、どうやら気付き始めたご様子。
まぁ、スノラ妃の朝で完全に気付いたみたいですが。
翌夜は……イーファ妃、グッジョブですっ!
親指を立てた後、寝所にご案内して、陛下を通してドアを閉めると、開口一番のやり取りが聞こえてきました。
「お主、こっちの方が好きじゃろ?」
「人をロ◯コン呼ばわりすんな」
いえ、陛下、あなたは立派なロ◯コンです。
恥ずかしがることはありません陛下、私の旦那様もロ◯コンの気がありますから。
風評被害ですか? 妻の私が言ってるのですから、間違っていないと思いますが? たまにそういった感じの服を着て、する事もあるので間違いないです。
…………コホン、それは一先ず置いておきましょう。
というか、イーファ妃は少しズルいですね。
肉体年齢を自由に変更可能とか、それは卑怯です。
是非、ご教授願わなくては。
そろそろ二人目も欲しいですし。
ただ、朝方までは勘弁して欲しいです。
今日も叩き起こしです。
「侍女長、最近はマシで良いですね」
「言われてみればそうですね」
八日目と十日目が酷過ぎたとも言いますが。
そう言えば、聞き耳がバレました。
イルリカにも伝えますが、返答は黙秘で返しましたね。
後で口を割らせましょう。
とは言え、後4日か5日です。
頑張って務めあげなければ。
そう思っていると、序列達から差し入れがありました。
何人かは、休日返上で私の昼番を変わると。
首を傾げますが、それが良くなかったようです。
「侍女長が壊れてる……」
「侍女長、お休みって、分かりますか?」
「あれ? 目の焦点ヤバくない?」
「……誰かっ! 医療班呼んで来てっ! 侍女長がぶっ倒れそうよ!」
私、そこまで酷いのでしょうか? 旦那様に聞いてみます。
「1日くらい、誰かに変わって貰えよ。マジで顔色ヤバいぞ。まぁ、ナリアの事だから自己管理できていると思ってた俺も、旦那として不甲斐ないけどよ」
「ウォルド、そこまで悪そうですか?」
「……死相が出てるって言われても、否定できねぇくらいにはな」
本気でヤバいみたいですね。
今日の昼はお休みを頂きました。
陛下も、快く認可されたとか。
……厄介払いじゃないですよね? 後で問い詰めましょう。
昼間、ぐっすりと寝た私ですが、夜の務めに来ると、シフト表が変わっていました。
今日から四日間、昼の業務が無くなっています。
……問い詰めましょう。
「陛下、寝所に行く前にお話があります」
「シフト表の事か? あれは侍女達からの嘆願が凄くてな」
「どういう事でしょうか?」
一桁ナンバーの序列侍女、二桁ナンバーの準序列侍女、クロノアス家当時から仕えている古株侍女、侍女見習いと、交代嘆願が凄かったそうです。
……彼女ら、サボる気ではないでしょうね。
「もう少し、部下を信じてやれって話だよ。なんでもかんでも一人でやり過ぎ」
「陛下にだけは、言われたくないですね」
「俺は頼るところは頼ってるから。ブラガス然り、妻達然りな。一人でやるのは、戦争と喧嘩だけ」
考えてみます…………確かに、ぐぅの音も出ない程、言われている通りでした。
少しため息を吐き、了承します。
「今、少し笑ったな。それで良いんだよ。肩の力を抜け、肩の力を」
「ご心配をおかけしました。そして心配ついでに、一つお願いが」
「休暇だろ? 10日やるから、ウォルドと遊びにでも行って来い。あいつも休み、取ってねぇから」
「夫がですか?」
「妻が働いてる時に、爆睡してんだから、せめて休みは取らないんだとよ。惚気られて困るわ、ホント」
これは、陛下と夫に言われてしまいましたね。
遠回しにですが、体調管理も仕事の内と。
では、感謝を込めて。
「恐悦至極にございます」
陛下は照れた顔で、寝所に向かわれて行きました。
今日だけは、お見送りしてから向かいたいと思います。
陛下のご厚意に感謝して。
そんな理由なのかは知りませんが、桜花妃の夜はとても穏やかでした。
翌朝に、自然と優しく起こせるほどに。
翌日の優華妃も同じでしたが、その翌日の詩音妃には衝撃を受けました。
ええ、陛下に嘆願するほどに。
「(陛下、シオン側妃様に、昨日の夜の技の伝授を頼みたく)」
「いや、自分で頼めや」
「(身分差は必須ですので)」
「はぁ……。詩音、ナリアが頼み事あるってさ。主に昨日の夜の……おい、待てナリア。なんで知ってる?」
嘆願後、鬼ごっこが開始されてしまいました。
逃げるのは、私です。
鬼ですか? 陛下と詩音妃です。
途中から増えましたが。
妃様方全員は卑怯だと思います。
ですが、これで終わりではありませんでした。
お説教の時間がありました。
はい、妃様全員からです。
「ナリアさんの仕事は、十分に理解しています。ですが、覗くのはダメですよね? それと、上手く出来ているなら、聞き耳も最低限にするのがマナーですよね?」
「聞き耳はしていません。聞こえて来るだけで……」
「知らないフリも出来ますね。ナリアさん、ランシェス王城で、その辺りの再教育をしてきますか?」
「リリィ妃のお手を煩わせるのは……」
「では、皇国で」
「帝国でも良いですよ」
「……申し訳、ありませんでした。ですが、妃様方も、詩音妃の夜を聞けば、ご納得いただけるかと」
「どうされるのです、ミリア」
「判決は保留にしましょう。ですが、全員が終わって、聞いて、納得できなかったら、再教育で良いですね」
「はい」
「ヴィオレも良いですか?」
「私はミリアの判断に従いますわ。みなさんもそうですわよね?」
全員が頷いて下さり、何よりです。
そして後日ですが、情状酌量の余地ありと判決を頂きました。
但し、今後は気を付ける事と釘は刺されましたが。
そんな日のあった夜、もしかしたら最終日になるかもしれない蛍妃の夜ですが、大変に苦労しました。
ええ、逃げようとしましたから。
我がシンビオーシス公王家は、実力者揃いの妃達ばかりですので、本気で逃げようとしたら、大変に労力を使います。
こちらも余力無しで対処しないといけませんから。
結論から言えば、本気で対処した結果、逃げられないように簀巻きにして、寝所に放置です。
着替えさせるのも一苦労でしたよ、本当に。
そして、予想通り、陛下に助けを求めましたね。
「見てないで、早く解いて!」
返答後に陛下は解いて……お喋りですか。
ん? 少し、捨て置けない話が……。
怒られたばかりですが、流石に聞き耳を立てます。
妃様方全員に、共有しておくべきだと考えた為ですが……しくじりましたね。
陛下の前世の話でしたか。
……妃様方に共有した後、リエル様を交えて話すべきでしょうか。
今晩中に考えを纏めましょう。
後は……不機嫌は装わなくても出来ますので、理由付けですね。
……本日の鬼ごっこにしましょう。
叩き起こすのも忘れずにしないと。
後は、詩音妃のテクニックについて聞く許可でしょうか。
最後のは本音ですが何か?
色々と考えていたら、起こす時間になっていました。
早速、イルリカが来ますね。
今日は別の仕事です。
「妃様全員を、ですか?」
「そうです。そして、その中にはあなたも含まれています」
「そこまでの話、なのですか?」
「下手をすれば最重要案件になりかねません。なので、妃様全員に話した上で、リエル様を交えて話し合い、判断を下して頂きます」
「承知しました。では、ベッドメイキングをしてから――」
「正妃様には、直ぐに話へ行きなさい」
「えぇ……朝早くは駄目な気もしますが」
「イルリカ」
「Sir, yes sir! 」
どこで覚えて来た言葉か知りませんが、本気度は分かって貰えたようですね。
さて、仕事です。
それから月日は流れ、現在。
侍女軍団は、私を筆頭に忙しなく働いています。
ブラガス宰相のせいで。
「そこ、雑に扱わない。外遊ですから、派手過ぎはダメです」
「侍女長、今日は残業ですかね?」
「無駄口を叩く分、残業率は上がりますね」
「必要最低限の事だけ話します。あ、貴金属類はどの程度必要ですか?」
1日だけでも残業回避のために、一生懸命に準備します。
最速最短で準備します。
でも、ブラガス宰相は、後で〆ます。
全侍女代表として、後で必ず〆ます。
真っ直ぐに、一直線に、〆に行きます。
陛下に関しては、特に何も。
そもそも、急な休みの許可を出したのは、宰相の独断ですしね。
先にこちらへ話を通して欲しいものです。
「お疲れ様です」
「お疲れ様です。そちらは良いのですか?」
ノーバス執事長と話をしますが、問題無いとの事。
調整はランシェス王家で慣れていると。
苦労なさったのでしょう。
「まだ可愛いものですよ。先代の時は殺意を込めて説得したものです」
「それは恫喝――いえ、なんでもありません」
一瞬、目が据わりましたね。
時には物理も必要との事でしょうか?
「そういえば、宰相に関してはどうされるので?」
「後で〆ますよ。先代と同じではありませんが」
最終的には、物理も辞さないと。
「一緒に如何ですかな?」
「お付き合いしましょう」
陛下の出立前日の夜、ブラガス宰相とOHANASHIしておきました。
流石に物理は無しです。
納得せざるを得ない部分があったので。
ですが、文句は言っておきました。
こっちは大変だったので。
そして、何故か同伴者に私が指名されています。
どういう事でしょうか?
「陛下のご指示ですので、私には分かりません。憶測ならお話しできますが」
「陛下のご指示なら、随伴するしかないでしょう。城は誰が?」
「ノーバス執事長にと、言伝をされています」
「妥当な判断ですな。しかし、下が育たないのでは?」
「そこも懸念しての、執事長指名です」
「なるほど。この際だから、育てろという事ですか」
「多少、手荒でも良いとは、羨ましいですが手加減は忘れないでくださいませ」
「侍女長は手厳しい。どれ、老骨に鞭を入れますか」
本当に大丈夫でしょうか? 帰ってきたら、死屍累々になっていませんか? そこまで酷くはしないと。
何人か辞めている可能性はある? それは勘弁して下さい。
こっちに皺寄せが来ますので。
不安が残る中、陛下に随伴して出発します。
序列も半数が随伴です。
既婚者ばかりですが、何か意図があるのでしょうか?
そう言えば、イルリカも既婚者に入りますね。
ああ、そういう事ですか。
陛下も存外、人が悪くてお優しい。
こうして、出立します。
文官達にも、何かしらあるのでしょうね。
では、少しだけ羽を伸ばしましょう。
仕事はしっかりしながら。
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