第262話 もう延ばさねぇよ!?

 四大諸侯との会議を終え、そのまま昼食を懇親会と変えて済ませ、諸侯達が会議場を出て行くのを見送った後、会議に不参加だった婚約者達が入れ違いでやって来て、午後からは家族としての会議が始まる。

 そう……今まで延びに延びた結婚式の話だ。

 来年には、なにがなんでも式を挙げたいと考えている。

 一部女性陣の年齢的な事もある――口に出すのは禁止――があるので、多少強引でも式を挙げてしまう腹づもりだ。

 ブラガス、ナリア、ノーバス、ウォルドの4人には、先に話を通してある。

 参加者への招待状の手配や警備の問題があるからな。

 それと、リュンヌ対策も。

 これ以上何かしようものなら、全力で潰す所存だ。

 ランシェス時は貴族であり、ランシェス王が頂点であった為に、国としての方針に従わなければならなかったが、今は違う。

 俺が頂点だから、何かあれば即応できる。

 だからこそ、憂いなく話が出来るわけだ。


「では次に、挙式についてですが」


 お、もう始まったか。

 序列三位メイドは、この後の話し合いも司会で行くようだ。

 必要か不必要かで言えば、どっちでも良いだな。

 とりあえず、ブラガスの説明を聞いてから、意見交換だな。


「それではまず、挙式の日取りに関してですが、候補は3つあります。但し、春頃次第では変わってしまう事をご了承ください」


 そして、ブラガスが上げた候補月は全部で3つ。

 夏と秋に加え、一部の婚約者からの要望で6月が追加されている。

 まぁ、誰かはわかるだろう? 6月に結婚する花嫁は幸せになれるジューンブライドだからさ。

 ただのゲン担ぎや迷信なんだけど、女性の心は惹かれるからなぁ。

 で、そんな話をミリア達にも話しているわけで、もう察してくれるだろ? 何時が第一候補か。


「えー、ただ、会議するまでもなく、奥方全員から、6月と要望が出ています。……陛下、どうするんです、これ」


「いや、叶えるけど? だから今、問題の粗探しをして、徹底的に解決して、憂いなく決行しようって話だと思うんだが?」


「あー、そうでした。陛下は家族バカでしたね」


「ブラガス殿」


「失礼ナリア殿。ですが事実ですし、はっきり言いませんと」


「ブラガス、お前、遠慮が無くなったなぁ」


 ブラガスも我が家の家風に染まったよなぁ……悪い方向にもだけど。

 だからイルリカ、ブラガスに殺気を向けるな。

 ブラガスも涼しい顔で受け流して煽るな。

 なんで我が家は武闘派だらけになってしまったのか、それだけが疑問だ。


「「「陛下の家臣ですから」」」


「三人揃ってハモるなっ!」


 ブラガス、ナリア、イルリカにツッコミを入れてから、問題点が無いか探していく。

 後は想定外の事が起こりそうな箇所もか。

 今の段階だと……工期と事故かな?


「資材関係もかと。冬ですから、北部からの輸送関連は弱くなるかと」


「だが、帝国の飛行船輸送があるだろう?」


「大型船の港はまだ建設中ですが。今は中型迄を主軸に回してましたから」


「完成は何時頃だ?」


「挙式の事も考えて、先に居城を優先的に仕上げていますから。それに加えて、城下街もある程度は完成させて、居住を第一に考えながら、あらゆる事を開始させて軌道に乗せませんと行けませんし、第二次開発計画もありますから」


「で、何時なんだ?」


 長く話すことで誤魔化そうとするのは、ブラガスの悪い癖だな。

 クッソ忙しい状態なら聞き流していただろうが、今は会議である。

 明確な答えが必要だろう。

 全員の視線に負けたブラガスは、素直に話し始めたが……割と想定外の事柄だったのが判明した瞬間だった。


「えー……っとですね、その、まだ読めませんというか……」


「読めない?」


「手が広がり過ぎまして……」


「つまり、管理容量を超えたと?」


「リーゼ様の仰る通りなのですが、それだけではなくてですね」


「吐け、ブラガス」


 ブラガスが観念して話した内容だが、喜ばしくもあり、暴走なのでは? と判断できるかもしれない話だった。

 簡単に言えば、現場が効率を重視して動き出したって話だ。

 勿論、優先順位は間違ってないから文句も言えず、でも想定外の動きを見せているから、資材運用が狂い始めてきている。

 休み? 全部終わってから長めに取りますけど? って感じらしい。


「それ、なんて社畜かしら?」


「少なくてもブラックでは無いわね」


「グレー辺りなんじゃない?」


「サビ残してる感じもするから、ホワイトでは無いわよね」


「君ら、俺の事ホントに好いてる?」


 蛍、詩音、優華、桜花からの言い分に、酷くね? と訴えてみるが、暖簾に腕押しだった。

 仲良きことは美しいのだけどね。

 まぁとりあえずだ、現状はわかった。

 さて、どうするかな?


「ねぇん?」


「ん? ……あ」


「わたしぃ、居て良いのかしらぁん? あとぉ、めっちゃ殺意がわくのだけど?」


「最後、素に戻ってますよー」


 ティアの指摘に対して、サッと元に戻すクッキーさん。

 流石だと思うが、本音ダダ洩れはどうかと思うよ。

 後ね、用事があるから参加なんです。

 だから我慢してくれぃ!


「まぁ、良いけどぉ、早くお願いねぇん」


「クッキー殿には、現場の一部をですね……」


「ブラガス……お前、そういう報告はなぁっ!」


 報連相はしっかりしろっ! って言いたいが、どうも俺が各国の宴に参加直前の顕在化だったようだ。

 相談しようにも、時間は取れず、聞き耳で流す状態の俺に言っても仕方ないと判断して、今になったそう。

 うん、これは俺にも原因あるな。

 ホント、解決案どうしようか?


「する必要性は無いのでは?」


「リーゼ?」


 リーゼのいきなりの回答に、全員が彼女に視線を向ける。

 それを待っていたかのように話し出すリーゼ。


「労働意欲と士気は高いのですよね? でしたら、わざわざ落とす必要はないのでは?」


「そこには同意するが、資材関連はどうする? 無ければ、いくら高くても何もできないぞ」


「そこだけクリアすれば良いのですよね?」


「まぁ、そうだけど……ん? なんか嫌な予感が」


 その言葉の後、にっこりと笑うリーゼ。

 察する俺。


「あー、うん。そういうことね」


「最悪は――ですけどね。無いのが一番です。下手に陛下が動けば、軽く見られ……はしないでしょうが、各国が何事!? ってなりかねませんから」


「あ、だから魔物狩りも自粛なのね」


 因みにだが、ある程度終われば問題無いとの事。

 今はまだ建国途中だから……と、いうことらしい。

 落ち着いてないのに動くから、問題だそう。

 前以て連絡がある場合は別とも言われた。

 とりあえず今は静観の体勢を取りながら、資材調達を多く早めに回すことで終了して、次の話へ……ん? あれ? 挙式の日取りは?


「6月で決定ですよね? だから問題の話をしたのでは?」


「ア、ハイ」


 6月で決定らしい。

 それと、婚約者全員+クッキーさんが、商会と何やら接触してると、ナリアからの報告を、何故か今この場で、小声で言われたよ。

 いやさ、俺にどうしろと? 悪いことではないんだよね? なら、止める理由なくね? うん、一応、警戒度は上方修正で頼むわ。

 で、次の話へ。


「城の完成度ですが、想定よりも早く3割です。冬でも建築は可能なので、6月には間に合う予定です」


「何もなければ、だな?」


「え? あっても間に合わせますよ。人海戦術で」


「それ、各国巻き込まないよな?」


 ブラガスはサッと顔を逸らした。

 いや、巻き込むなよ。

 各国も迷惑……俺が言えた義理じゃねぇな。

 でもな、敢えて言う――迷惑かけんな。

 注意だけはして、次っ!


「陛下の挙式は、国家の一大プロジェクトです。なので、資金に余裕が欲しいところです」


「足りないのか?」


「足りますよ。何も無ければ」


「何かあったら足りなくなるんだな?」


「その内容によります」


 そして、ブラガスから手渡される資料。

 最悪なのは反乱系。

 次に治水関連の洪水被害に飢饉や疫病関連。

 この辺りが起こると、資金の余裕は吹っ飛ぶとの事。

 但し、余裕が吹っ飛ぶだけで、足りないわけではない。

 しかしながら、文官とは資金関係には余裕を持ってあたりたいのが現実らしく、色々と大変らしい。

 で、どうしろと?


「追加って出せますか? 勿論、今後に差し支えるという話なら、却下で良いですが」


「因みにいくら?」


 指一本で応えるブラガス。

 なので、銅貨一枚出したら睨まれた。

 ちょっとした冗談なんだから怒んなよ。

 で、改めて大白金貨を出したんだが、何故か首を振られた。

 え? これじゃねぇの?


「足りません。最低でも黒金貨以上。出せるなら、王札です」


「うっそだろ、おい」


 冗談と言って欲しかったが、マジらしい。

 尚、挙式の費用に関して聞くと、思わず吹きそうになったわ。

 挙式費用、最低額でも黒金貨数枚。

 いやさ、どんだけ豪華にする気だよ。


「先程も言いましたが、一大国家プロジェクトですよ? 挙式だけで済むはずないでしょう」


「ラフィ様、ルラーナお義姉様とフェル王太子殿下の挙式を思い出してください」


 ミリアに言われて、ランシェス王が愚痴っていた金額を思い出した。

 確か、王札一枚弱消えたんだっけ? あ、結構ヤバいかも知んない。


「ブラガス、俺は出稼ぎに出る」


「ダメです。挙式までには、ある程度の税収が見込めますから、それは最終手段です。だからこそ、クッキー殿に参加して頂いてるのですから」


「そういうことぉん。良いけどぉ、ちょっと割り増しにはするわよぉん」


 緊急買取の為か。

 抜け目ないけど、やりたくねぇなぁ。

 あ、緊急買取とは、どうしても直ぐにお金が必要な場合に、算定額だけで買取するシステムの事だ。

 なので、獲物の状態について、買取価格がワンランク落としての買取をする代わりに、解体前の支払いをしてくれる。

 一応、両者に得がある様にはしているが、実際はどっちも損しかないっていうね。

 ギルドも損するんだから、お前もだよって事だ。

 だからあまり使いたくないのが本音。


「国としても使いたくないですね。なので、本当に最終手段です。だからクッキー殿、お手柔らかにお願いしますよ」


「ギルド規定に沿ってやるだけよぉん」


 手加減する気は無いらしい。

 仕方ないので、切り札を一枚切ることにする。


「ふぅん。そういやブラガス、クッキーさんの店って、税金はどうなってたっけ?」


「他と一緒……いえ、一年は免除でしたね」


「ひ、卑怯よぉん」


 税金免除を盾に、お手柔らかにをお願いしておく。

 こっちには損しかないが、緊急時の資金調達は考えておかないといけないからな。

 これは必要経費で割り切る。


「クッキーさん、頼むね」


「ある程度までよぉん。私だってぇ、全て管理出来ないんだからねぇん」


 交渉成立である。

 ん? 私物化してないかって? 冒険者ギルドにも恩恵は出すから、ただの交渉だよ。

 冒険者ランク特権だって使ってねぇし。

 だからリアとヴィオレ、蔑んだ目で見んな。

 これは国とギルドの交渉なんだから、割り切ってくれ。

 後ヴェルグ、慰めるように肩を叩いてるけどな、面白がってるのバレてっからなっ。

 あーもう、収集つかないから終わりにして次っ。


「警備関連です。これに関しては軍部も絡む話ですが、その前にお会いして頂きたい人物がいます」


「誰だ?」


 問うが返事は無く、少し待つとその人物が……ロギウス殿?


「なんでロギウス殿が?」


 問うと、手紙を渡された。

 しっかりと皇家の蝋封がされていたので、皇帝が絡んでる話かと思って読むと……は? マジで言ってんの!?

 そして、手紙を読み終わってミナに渡すと同時に、恭しく片膝をついて頭を垂れ、臣下の礼をするロギウス殿。


「このロギウス、陛下の覇業に付いて行きたく、皇家を出奔致しました。つきましては、一兵士からでも良いので、雇用して頂ければと」


「うん、その前に、覇業とか止めて」


 マジで思考回路ぶっ飛び過ぎ。

 どうしてそうなるのかねぇ。

 ミナはクスクス笑ってるだけだし。


「ミナ」


「はい、少しおかしくて。でも、気持ちは分かりますし、それとなく前に聞いてますから、遅いですねって言いたくもあって」


「だから笑ってんのね。で、どうする?」


「ラフィ様のお好きなようにして良いのでは? ただ、将器は持っていると断言しますよ」


「そっか」


 ミナの言葉を受けて、手紙の内容も加味して、受け入れることにした。

 ミナ曰く、ロギウス殿は家族間でも、割と雑な扱いだったらしい。

 ついでに付け加えると、皇帝は放任主義でもあったそう。

 だからという訳ではないだろうが、罪悪感はあるのかな? と考えながら、手紙の内容を思い出す。

 色々と書かれてはいるが、要点は三つのみ。

 一つは、軍事においては皇帝をも上回るとの主観。

 親バカで大変結構である。

 そこは見極めさせてもらうとして、もう一つは、息子を頼むとの言葉のみ。

 それと残るは、今のロギウス殿の現状。

 皇家を出奔したとの事だったが、皇族特権を全て返上して、一武人として旅立っていた。

 家族の縁を切った訳ではないので、手続きが必要ではあるが会う事は可能だが、時間は掛かるそう。

 だからこその、親としての最後の務めなのであろう。

 そこまでの覚悟ならばと、ミナに聞いてる通りなら可能だと判断して、とある役職に就けることにした。

 尤も、直ぐにではないけどな。


「ロギウスど……いや、ロギウス。貴公の覚悟、しかと受け取った。貴殿の武功は、貴公の妹君であり、我が婚約者のミナから聞いている。故に、貴殿にはある仕事を任せる予定だ」


 仰々しく喋っているが、しきたりらしいので仕方ない。

 お義兄さんではあるが、雇用や重用が絡むと、その辺りはシビアに行かないとダメとの事。

 後は個人の実力次第らしいので、コネで雇用されても、実力が無ければ即クビ。

 縁者であっても情け無用との事だ。

 とはいえ、ロギウス殿なら問題無いだろうと判断して、今回だけは強権を発動する。

 ダメなら、俺の評判が落ちるだけだしな。


「現在、ウォルドが軍部を仮で取り仕切っているが、他に任せたい仕事があるのが実情だ。故に、貴公には一度、ウォルドの副官として着任して貰い、将来的には、軍務の頂点をと考えている。出来るな?」


「陛下、それはっ――」


 ブラガスの反論を封じるが、実は演技。

 少しだけ視線を送っただけだが、上手く察した様だ。

 現在の我が国では、軍務卿を任せられる人材が欠如していた。

 そこに降って湧いた逸材である。

 重用しない手はない。

 まぁ、皇帝もそうなると分かっていて許可したのだろうしな。

 わざわざ皇家特権まで返上させる徹底ぶりだから、こちらへの干渉はしないという事だろう。

 手紙の頼むは、単なる親心と伴侶をどうかって意味合いだろうな。

 ロギウス殿、未だに独身だし。


「出来ないとは言わせない。返事は?」


「陛下からの勅命、しかと承りました。非才の身ではありますが、全身全霊で臨む所存にございます」


「それで良い。ウォルドから奪う気でやれ。貴公の軍部人心掌握術、しかと見せて貰おう。遠慮なくやれ。どうせ、軍部が束になったとしても、ウォルド1人に敵わないんだからな」


「ははっ! 陛下のご期待に、必ず応えましょうっ!」


「それとだ、将来は軍務を預かる身になるのだから、伴侶を得ろ。こっちで見繕って良いなら、挙式後の大お見合い大会への参加を許可する」


「では、褒美として参加権をお願いしたく」


「わかった。では、今日は兄妹水入らずで語らうが良い。誰かっ!」


 呼ぶと同時に、序列五位古株メイドがやってきて、ロギウスを天幕内から外へと連れ出して、宿泊場所へと案内していった。

 さて、ナリアとブラガス、睨み合うな。


「陛下は甘すぎかと」


「ナリア殿の言葉には同意しますが、一兵士からでは――とは思います」


「だから乗ったのですか?」


「一番の悩みの種が解消されましたからね。ロギウス殿なら、挙式までにはどうにかするでしょう」


「危険度は?」


「ないでしょう。だからこそ、陛下は強権を使われたのでは?」


「お前ら、ちょっと黙れ」


 軽く威圧して黙らせる。

 それから、全員に説明して納得……ナリアさんや、不機嫌そうな顔しないでくれんか?


「陛下の意図は理解しましたが、何故ブラガス殿かと。私の方が適任でしょう」


「序列統括か、宰相か。説得力はどっちがあると思う?」


 それだけ言うと、ナリアは引いた。

 自身で納得できたのと、反論の余地がなかったのだろう。

 これで警備問題も解決だな。

 後残すは……。


「花嫁衣装は決まっていますし、ヴェールも大丈夫です。ですが、披露宴用は作り直しが必要です」


「リリィ、理由は?」


「同盟盟主ではありましたが、それでも一貴族家の挙式でしたから。ですが今は……」


「王との婚姻ですしね。ラナもリリィに同意です」


「なので、クッキーさんに依頼しようという話ですわ」


「俺だけじゃなく、みんなもクッキーさんに用事があった訳ね」


 ヴィオレの言い分に激しく納得。

 クッキーさんって、顔とごつい手に似合わず、細かい作業が得意なんだよな。

 まぁ、だからこそ、引退後は服飾系なんだろうけど。

 変に信頼できるから怖いんだよなぁ。


「あ、ラフィ君も作り直しだからね」


「ティアさんや、初耳なんだが?」


「ん。クッキーさんのお手製にする」


「初耳なんだが!?」


 俺、貞操の危機! ヤバそうなら、全力で逃げよう。


「ちゃんとやるわよぉんっ! わたしぃ、服飾関係はふざけないわよぉん」


「他はふざけるんかいっ!」


 全く、これだから困る。

 一部信用が置けないのは、絶対に今みたいなのが原因なんだよなぁ。

 人としては信頼に足る人物だけに、残念だよ、ホント。


「そういや、他の問題は?」


「参加する貴族家でしょうかね。後は、ご実家への手紙に、各国への招待状。パレードに関してはこちらで煮詰められますし……」


「それもやんのか。ああ、あの慣習は、シンビオーシス国では撤廃するから。周知よろ」


「は?」


 あの慣習――嫁に行った家族は参列不可ってやつだ。

 嫁に行こうが、家族は家族である。

 それは譲れないので、完全に撤廃する。


「撤廃に時間が掛かるからって、延期はしねぇから。死ぬ気で頑張ってくれ」


「ラフィ様、それはあんまりにも……」


「だよねぇ。ブラガスの眼、死んだ魚みたいになってるよ」


 ミリアから優しさをと言われ、ヴェルグからは無茶過ぎないと言われるが、現実的に今の状況でしか出来ない。

 今を逃すと、何十年先に撤廃できるか分からないし。

 だから、悪しき風習や慣習関係は、しっかりと根絶やしにする。

 だからブラガス、頼むわ。

 え? マジで少し延期して秋にして欲しいって? ミリア達を説得できたらな。

 出来なかったら、延期しません!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る