第242話 nameless――ネームレス――

 邪神誕生と言う、想定外過ぎる事態。

 と言うか、こちらが想定していたこと以外の予想外が多過ぎる。

 こちらの想定では、最悪の場合は神喰の欠片が暴走して、新たな神喰――いや、半神喰が生まれるであろう想定はしていた。

 それが蓋を開けてみれば、邪神の誕生である。

 どうして邪神誕生になったのか、原因を調べたくはあるが、更に悪い話が舞い込んでくる。


『聞こえっかっ? 皇国貴族の中で、功を焦りやがった奴らが突っ込んで行って、消滅しやがった。あの邪神は、一体どういうこった!?』


『俺の方が知りたいわっ! とにかく、不用意に近づけさせるな。見た感じ、まだ完全体じゃない。直ぐに対策を考えて、滅ぼすっ!』


 神喰からの念話に対し、簡潔な指示を出して念話を切ろうとしたのだが、やる事やったらこっちに合流すると言って来た。

【思考超加速】を使用して、リエル演算の元、最適解を叩きだす。

 結果は、神喰の提案を受ける事だったので、同意してから念話を切ったのだが、次はゼロからの念話が。


『おいっ、あれは何がどうなって誕生した!?』


『口で詳しく説明してる暇はないから、視覚情報を【思考超加速】を使って送る! ツクヨには、ゼロから説明してやってくれっ』


 対策を考えないといけないのに、次から次へと。

 更にゼロからも、神喰と同じ提案をされたので受諾しておいた。

 出向組が集まるのはあまりよろしくないのだが、非常事態なので勘弁してもらうとしよう。

 そして、ようやく念話が終わった所で、次はメナトとセブリーが話しかけて来た。


「さて……かなりの非常事態なんだが」


「ラフィが居れば、問題ねぇだろ。ただ、鑑定だけはしておいた方が良いと思うぞ」


 俺は二人の話を聞いてから、少しだけ逡巡する。

 何か嫌な予感はするのだが、相手の情報が無いと攻略方法も立てられないのは事実だ。

 俺達三人が全力を出せば、恐らくだが討滅は可能だろう。

 但し、世界に破壊の爪痕と、理の破壊をもたらしかねない。

 比嘉を抑える意味でも、鑑定は必須か。


「……セブリーの言う通りだな。ただ、俺だけじゃ敵の情報を見逃す恐れがある」


「そうだね。あれだけ強大な邪神だと、隠蔽関連も持っているかもしれない。私達で協力した方が良いだろうね」


「げっ。オレ、あんま鑑定って得意じゃねぇんだけどな」


「文句を言うな、セブリー。今は、この世界に起こる被害を最小限にすることが重要なのだぞ」


「メナトの言う通りだな。諦めて、鑑定しろよ」


 俺、メナトからのダメ出しに、少しだけ悪態を憑きながらも、協力する旨を了承した。


「合図は、私がするよ」


「「任せたっ!」」


「全く……それじゃ、行くよ?」


「「「【鑑定】!」」」


 鑑定を発動した俺達だが、直ぐに強制中断する羽目となった。


「ぐっ!」


「なん、だとっ!?」


「ぐぅっ! リエル! 介入して強制中断させろっ!」


『イエス、マイマスターッ!』


 俺、メナト、セブリーが行っていた鑑定に、RE・コードを使用して、経由、介入と行うリエル。

 次いで、強制的にスキルを中断させる。

 しかし、これは厄介な事になった。


「二人共、大丈夫かい?」


「結構喰われちまったが、どうにか無事だぜ」


「俺も問題は……無い訳じゃ無いけど、戦闘への支障は無いぞ」


 何故、【鑑定】を、わざわざリエルを巻き込んでまで使ったのか気になったウォルドは、直ぐに質問をしてきた。

 八木も不思議だと思っている感じの顏をしていたので、簡潔に説明する事にする。


「神力――ウォルド達なら、魔力って所か。それを大量に持って行かれた。正確には、鑑定を経由して、パスを繋ごうとしやがった」


 俺の説明に、ウォルドと八木は首を傾げたが、詳しい説明をしている暇はない。

 相手の情報を完全に読み取った訳ではないが、代償に見合う情報は見えたからな。

 後は情報を擦り合わせて、対策を練るだけ――。


「っ!? 本陣で【鑑定】を行おうとしてる奴の意識を断てぇぇぇぇ!!」


 いきなり大声で叫んだ俺に驚く二人だが、直ぐに行動を開始して、【鑑定】を行おうとしていた者達の意識を刈り取って行く。

 全員の意識を断つまでに十秒ほどで全員の意識を断つことに成功……してはいるのだが、それでもその十秒は被害を出すのに十分であった。

 本陣から戻って来たウォルドと八木は、俺にも被害報告を行うも、スマホもどきで陛下と話していたので、少し待って方向をする事になった。

 尚、陛下には、今は手を出さずに傍観していて欲しいとお願いした。

 いや、今回に限っては、軽く脅迫めいた事すら言ったな。

 体裁すら取り繕う余裕が無いと悟ってくれた陛下は、一時的にランシェス軍の指揮権を俺に任せてくれたのだ。

 これには感謝しかない。

 そして、話が終わった俺に、被害報告がなされた。


「【鑑定】を行おうとしていた10名の兵達だけどな、半数が死んだ。もう半数の内、衰弱はしているが命の危険が無い者は2名のみだ」


「残る3名は?」


「それは俺が説明するっす。残る3名っすが、内2名が魔力欠乏症でも重篤になってるっすね。助かるかは半々って所っす。残る一名は……助かったら奇跡っすね」


「……ミリアが担当か?」


「他にも何名かっすね。それとっすね、死んだ者達は、他の5名よりも魔力が少ないとの事っす」


 八木からの報告に、俺の判断は間違っていなかったと安堵する。

 しかしそうなると、俺の予測だとすげぇ大変なことになるのが確定してしまう等と考えていると、メナトの手が肩に置かれた。


「とりあえず今は、情報の擦り合わせを優先しないかい?」


 メナトの言い分に、それもそうかと思い、鑑定で見えた情報の擦る合わせを行おうとしたところで、二つのゲートが開いた。

 出て来たのは、皇国出向組の主力戦力陣と帝国出向組の主力戦力陣。

 俺に最も近しい人物たちなのだが、その中にはミナの姿もあった。

 情報の擦り合わせも大事だが、一番は家族である。

 素直にミナへと質問をした。


「良いのか? こっちに来て」


「はい。お父様からも、参加するようにと」


 皇帝からの参加要請か……つまり、情報共有したいのだろう。

 その話の中で、帝国と皇国もあれ邪神に対して、鑑定を行わせたらしいのだが、全員が死亡したそうだ。

 ギロッと、ゼロと神喰を睨む俺に対して、ツクヨとヴェルグが二人を擁護してきた。


「えっとね、神喰は、一人目が倒れた時点で、直ぐに行動を起こしはしたんだよ。直ぐに死亡判定が全員に出た訳じゃ無くてね、結果的になったんだよ」


「こっちも似たような感じよ。ただ、一つだけ疑問が残るとすれば、分かっていてさせたんじゃないかって事かしら」


 ヴェルグは完全擁護、ツクヨは疑念有りの擁護なわけだが、その辺り、どうなんだって話だ。


「こっちはよ、馬鹿が功績を焦ったせいで、初動が遅れたってのもある。あれがなければ、一人くらいは助けられたかもな」


「ふむ……で、ゼロは?」


「俺も鑑定持ちなのは知ってんな? だからよ、してみようとして、違和感にかられたんだわ。そのせいで、初動が遅れたってのが真相だ。と言うかよ、あれは一体何だってんだ?」


 二人の説明を、いつも通りの方法でリエルが精査していくが、嘘はないそうだ。

 ゼロに関しては、元原初でも仕方ないと、珍しく擁護に回っていたくらいだった。


「……俺達が見た情報を開示する。ただ、一部情報には制限をかけた方が良いと思ってる」


「私も同感だね。神喰もゼロ様も、それで良いかい?」


 全員からの了承を経て、情報の擦る合わせを行っていく。

 あ、いや、その前に、どこまでを開示するかだな。


「種族は開示しないと、説明つかねぇと思うぞ」


「……セブリーが、珍しくまともな事を言った……」


「驚くとこはそこかよ! あ、こらっ! 泣くなメナト」


「おーい。感動は後にして、擦り合わせすんぞー」


 苦労神メナトが、思わず泣くという、非常に稀有なものを見られたが、吉兆とでるか凶兆とでるか……。

 とりあえず、早よ擦り合わせしようぜ……。


「すまない。まずは私からの情報だ。名前は不明。種族は邪神?  魔力値はマイナス。他ステータスはError。これだけだね。スキル以下、他の物を見る前に、強制中断になったよ」


「次はオレ様だな。メナトと違う点、見えた点だけ言うぞ? 種族は神喰? 加護は無し。魔法関連も無し。これだけだ」


「最後は俺か。セブリーに倣って言うとするならば、称号は【全てを食らい、無に帰す者】【業が生み出せし厄災】【人知を超えし禍神】【成れの果て】だな」


 各々に見えた情報を開示して行くのだが、おかしい点が二つ。

 一つは種族に関してだ。

 メナトには邪神? セブリーには神喰? と見えていたのが引っ掛かる。

 俺は見えてないのでわからん。

 正直、種族欄を見るよりも、戦闘関連重視で見ていたからな。

 称号に関しては、偶々確認できたに過ぎない。

 次に二つ目だが、誰もスキルを確認できていない点。

 俺は最優先思考として確認に走ったのだが、全く見えなかった。

 セブリーもスキルに関しては、見ようとしたが分からなかったと主張している。

 メナトは間に合わなかったからと答えた。


「……妙だね」


「確かに、おかしいよな」


「あん? どこがだよ?」


「「はぁ……。これだからバカは……」」


 俺とメナトの言葉に、文句を垂れるセブリーであったが、完全無視で話を進めて行く。

 そんな中、ゼロと神喰から貴重な情報がもたらせれた。


「種族に関してだがよ。間違ってはいねぇだろ」


「そうだぜ。起爆剤は、間違いなく、俺の力によるものだろうしな」


「そうなるとな」

「考えられる可能性は一つだけだぜ」


 二人の言葉に意味を考えて、俺もメナトも、最悪の答えに辿り着いた。

 それは同時に、今までの戦いとは非にならないと分かった瞬間でもあった。


「おい、メナト」


「なんだい……?」


「うわぁ、疲れた声が返って来たわ。でもな、どうしようもねぇよ?」


「分かってるよ、はぁ……」


 神喰とゼロからの話で辿り着いた答え。

 それは、最凶最悪の邪神の誕生に他ならないから。

 いや、正確に言うならば、邪神と神喰が交じり合った歪神。

 それが、あれの正体なのだ。

 因みにだが、元神と神ですら、あんなのは初めてらしい。

 間違いなく、神の救済ではどうにもならないレベルである。

 では、どうするのか?

 普通ならば、神の一柱が世界の救済者の仲間となって共に戦うのが王道。

 勿論、普通の聖剣では不可能なレベルなので、神剣に限りなく近い聖剣を、救済処置として世界に安置するといった出来事らしい。

 但し、それでも、救われるかは分の悪い賭けらしいが。

 しかし今回に関しては、力だけ見ればそれ以上なので、緊急処置案件になると、メナトの言葉に頷く三人。


「君らさぁ、あんな化け物を俺に対処させる気だったのか!」


 思わず、素の本音が出てしまう。

 でもさ、言っても良いと思うんだよ。

 正直な話、普通に戦って勝てる気がしねぇし。


「私達だって、あんなのになるとか想定外過ぎるよ! 予想の斜め上過ぎて困ってるよ! ジェネス様だって、今頃は頭抱えて、掻き毟って、剥げてるに違いないよ!」


 メナト、サラッとジェネスをディスる。

 これもまた珍しい光景ではあった。

 まぁ、その話は横に置いて、次はスキルに関してだ。

 本来は急ぐべきなのだろうけど、どういう訳か動かないからな。

 時間があるならば、完全勝利する為に動くべきだろう。


「で、スキルに関してだけど、誰か意見は?」


 無反応。

 ……え、どうすんの?


「……一つ、確認させろ」


「ゼロ?」


「良いから確認させろ。誰か、あれの名前を見たか?」


 ゼロからの質問の意図が全く以て不明だが、先の情報を反復してみた。

 俺とセブリーは確認してなくて、メナトが不明だったはずだ。

 そしてもう一度、ゼロから同じ質問をされるのだが、全く意味が分からん。

 しかし、メナトが何かに気付いてハッとして、ゼロの方へと顔を向けた。


「ゼロ様、まさか……」


「ああ。もしそうなら、あれは神と神喰の力を持った、神以外の何かになる。……いや、正確に言えば、原初の使徒の資格を有する試練に失敗した、成れの果ての最悪バージョンって所か」


 ゼロの言葉の意味が分かる者達は、揃って青い顔になった。

 この話だが、言い換えると、原初の使徒の資格を有するに失敗した、力に特化した成れの果てであり、その力は現行の神を凌駕するって話だった。

 一対一で相対したならば、喰われて終わりらしい。

 なにそれ、こっわ!


「たった一度、世界救済に失敗した別世界の勇者が邪神に食われた時に、同じ現象が起こったのを確認している」


 ん?


「ちょっと待て。それだと、RE・コードに記録がある筈だろう」


「称号を確認してみろよ。表向きは記録媒体だけどよ、裏は違うのがREだろ? そして、あれの称号を考えると……」


「……おいおい、まさか」


「REも喰われるな。だからわざと、消去させた。変にパスが繋がっても困るしな」


「因みに、その時の倒し方は?」


「……言わせたいのかよ」


 最後のゼロの言葉で理解した。

 前回の同じ仕様の奴を倒した時は、その世界に人が残っていようがお構いなしに、強制的に世界を終わらせて、他の世界に被害が及ばなようにしたのだと。

 その因子さえも逃す潰したとの事なので、原初最強の手札でありながら、本当の最終手段を使ったのだと。


「原初魔法における禁忌魔法であり、始原魔法……」


「ああ。【虚無と生誕ゼロ】だ」


 原初ですら、使用を躊躇う最強であり最凶で最恐の極悪魔法。

 原初の切り札でもありながら、原初自身が何重にも封印をかけて、簡単には使用できない魔法。

 そして、それを使用せざるを得ないという状況。

 詰みゲーじゃねぇか。


「その、聞いても良いものだろうか?」


 メナトの口調がちょっとおかしいが、理解できてるだけマシなのだろう。

 セブリーなんかは、全く理解できてないし、神喰も少しだけ首を傾げていたし。

 そんなメナトの青い顔に、ゼロは一言だけ、聞くな――とだけ告げた。

 本当は話したくない内容ではあったが、今回においては話さざるを得ないと考えたからだろう。

 しかしそうなると、あれの正体――いや、名前も知ってるのではないのだろうか?

 この考えはゼロに読まれていたらしく、先回りで言われてしまった。


「あれに名前なんざねぇよ。強いて言うなら、namelessネームレスだろうさ」


 名無し――か。


「後な、今のあれにはスキルはねぇぞ。この後は分かんねぇが、な」


「ゼロ?」


 歯切れが悪いゼロに対して、何かおかしいと感じた直後、ゼロが膝から崩れ落ちて、片膝を地面につけた。

 顔は下を向いて、表情は分からない。

 だが、その顔から血が滴って落ち始める。


「ゼロッ!」


「ちっ。俺も、鈍った、なぁ……」


 両目からは出血して涙のように流れており、両穴からは鼻血も出ている。

 そんなゼロを支えていたのだが、遂には耳から出血し始めた。

 しかし、その時になって、ようやく気付いた。


「ゼロ、お前……なんで【暴眼あばきのめ】なんか使ってる!」


「バレ、たか。まぁ、ただの、おせっかい……だ」


 そして、遂に吐血し始め、ようやくスキルの発動が止まった。

 隠蔽までして発動とか、どんだけ負荷が掛かると思ってるんだ、このおバカ元原初は。

 支えていたゼロをツクヨに変わって貰う。

 変わるや否や、ゼロはツクヨに膝枕を要求し始めた。

 あ、うん、これは問題ねぇわ。


「はぁぁ……気持ち良いわぁ」


 ゼロの一言に、心配して損したと、溜息を吐くツクヨ。

 それも束の間、直ぐに真面目モードになったゼロが話し始める。


「先に言っとくぞ? あれの討滅作戦に参加できるのは一握りだけだ」


「遠回しに言うなよ。で、誰なんだ?」


 ゼロが発表した人物だったが、意外な人物も含まれていた。


「ラフィは当然として、メナトだけだ。条件付きで、セブリー、ウォルド、八木、ナユのみだ」


「私、ですか?」


「ああ。今回の作戦での回復は、ナユ一点に集約させる。セブリー、ウォルド、八木は遠距離攻撃か、注意を引くだけにしてくれ。でないと、ラフィが集中できねぇ」


「私に関しては?」


「ラフィのサポートが主体だ。一番危険な役回りだから、最悪の想定はしておいてもらう」


「ゼ「わかったよ」ちょ、メナト!」


 あっさりと了承したメナトに噛みつくも、ゼロがそれを止めて来た。


「どういうつもりだ!」


「良いから聞けよ。本当は神喰にする予定だったが、懸念事項がある以上は却下だ。消去法で、メナトしかいねぇんだよ」


「注意を引く人物は、多いに越した事は無い。メナトもそちらへ回すべきだろ」


「三人もいりゃ、数は足りるんだよ。だがな、お前がもしやられたら、被害はこの世界だけに留まらねぇ。リエルがいるから、人としては死を迎えるだろうが、原初として復活は可能だからな。但し、お前が復活する頃には、ジェネスたちが管理する世界の半数は消えてるだろうよ」


「ぐっ」


 正論で返されてしまった。

 優先順位を間違えるなと、遠回しに言われてしまうとは。


「後な、最悪って言っただろうが。多少のミスがあっても、挽回できるサポート役がメナトなんだよ」


「俺が上手くやれば良いってわけか?」


「お前ら、だな。まぁ、息も合ってるし、問題無いだろうって判断したわけだ。それにな――」


「それに?」


「俺はここで戦線離脱するからな。流石に、今すぐ戦闘ってのはムリだ。ツクヨ、お前は俺含めた護衛な」


「あら、珍しい。俺に守りは不要だ! とか言ってたくせに」


「流石にしんでぇ。今回は甘える。ただ、情報や攻略方法は教えてやるし、分からんかったら念話して来い。言っちまえば、今回だけは頭脳ブレーンに徹するって話だよ」


 そこ、軽くイチャつかないで貰えませんかね?

 本陣の方から嫉妬と羨望の気配が、これでもかと漂ってきてるので。


「お偉いさん方は任せておけ。どうせ、援軍も来るだろうしな」


「援軍?」


 ゼロが何を言ってるのか分からない。

 総力戦で搔き集められるだけ搔き集めて挑んだ結果、あれが生まれたのに、更なる援軍?

 どこに余剰戦力があるのか聞きたいわ。

 それ以前に、あれに対抗可能な戦力があるとも思えんのだが?

 なんて考えていると、ニヤッと笑ったゼロは、空を指差して一言。


「来たぜ」


 その言葉の後、4つの光が地上へと降り立つ。

 光が収まり、そこにいたのは――。


「は、はぁぁぁぁぁ!?」


 更なる神、四柱。

 龍神リュラ、獣神アシス、商業神レーネス、死神シーエン。

 まさかの神様援軍であった。

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