第121話 新たなる原初と救済

封印刀・無名から、頭の中へ鳴り響くように怒鳴るゼロ

外へは一切声は漏れない

内緒話にはうってつけであった


捕捉すると、封印刀に封印された相手と話せるのは、俺の任意だったりする

つまり、俺が許可しないと喋れないわけだ

ちょっと五月蠅いので、思わずリンクを切ろうとして思い留まる


俺は『救ってやる』と言った

ただ、ゼロの手助けは必須だったりする

知識とは最強の武器になりえるからな

問題は、どうやってゼロを宥めるかだが……

説得させる方法は用意してるんだけどなぁ


『あ~、聞こえるか?聞こえたら、とりあえず落ち着け』


『うるせぇ!さっさと消滅させろ!』


聞く耳持たず

仕方ないので、いきなり最終手段を使う


『この世は弱肉強食なんだろ?俺が強者でゼロは弱者になったんだ。勝てば官軍とも言うし、敗者は少し黙ろうか』


『てめぇ……チッ!後で必ず消滅させろよ!……で、俺に何を聞きてぇんだ?』


話が早くて助かる

ゼロのこういう所は好めるんだけどな

思考が別の方向に行きそうだったので、元に戻す

やることやってから、他は考えよう


『アカシックレコードについて聞きたい』


『お前も知っている内容だ『嘘だね』……』


以前シルから聞いた話


『アカシックレコードには、隠された機能があります。私には干渉権限が無いので、詳細は不明ですが』


これが本当なら、ゼロは俺に隠しているんだよな

アカシックレコードは世界の記録と記憶の保管装置

しかし、隠された機能が、俺の考え通りなら?

多分だが、一番良い結末を迎えられる気がする

後は、ゼロに話す気があるかだが


『で、話してくれるよな?』


『クソが!ホント、てめぇはツクヨのそういう所だけは受け継ぎやがって…いや、今の両親の部分もか』


『俺に隠し事は不可能なのだよ。まぁ、そう拗ねるな。最良の結果を持ってくるからさ』


『てめぇ…何を考えていやがる?』


『今は秘密。もう少し、情報が欲しいからな』


『わーったよ!話してやるよ』


ゼロから聞いた話は、俺の想像通りでもあったが、同時に予想の上も行った


アカシックレコードは原初が造った、完全記録装置

それは、世界の始まりから終わりまで、世界の根幹から全ての歴史に魂、遺伝子すら記録する

では、記録して終わりなのか?と言う疑問が生まれる

その疑問に対しての答えは


『んなわけあるか。裏の干渉権限は2神。原初と創世神のみだ。全智に表の干渉権限を与えているのは、創世神を補佐するためだ』


『理解した。だけど、なんで創世神なんだ?世界を作るなら、創造神でも良いと思うんだが?』


『生命神に魂を新たに造る能力はねぇ。それすらも含めての創世神と言えば、お前ならわかるだろ?』


なるほど、そういう理由ね

生命神の仕事は、転生の管理

生み出す事については、全て創世神の管轄なわけか

ああ…だから、創生なわけか


魂は摩耗する

最終的に行きつく先は、原初への回帰

回帰した魂は、エネルギーへと変換され、創世神が新しい魂を生み出す時のエネルギーに使われるわけか


あれ?ちょっとおかしくないか?

この仮説が正解なら、原初の力を使える前提で無いと成り立たなくね?

この考えに至った時、ゼロのニヤケ顔が浮かんだ

うん…ちょっとイラっとするな


『気付いたようだな。原初を継いだお前には、知る必要があるから伝えるが、創世神は原初の使徒でもある。これを知っているのは、本人と原初のみだ』


『ゼロ、お前……創世権限を渡してるだろ?』


『お!わかったか。あんな面倒なの、誰がやるかっての!原初っつっても、一人で全部出来ねぇからな。役職は必要なのさ』


『ちなみに、俺への役職は?』


『この世界の安寧。初めはって言葉はつくがな』


『で、今は継承者かよ』


ここで一つ納得してしまう事が出来てしまった

あんたは正しく、俺の父親の部分があったよ…と

俺とゼロの共通部分


面倒くさがり


やれることはやるし、基本は一人で解決させる

但し、面倒事は極力避ける

尤も、自分が大切だと認識した者達への手助けは、面倒くさがらずにやる

完全に似た者親子であった


魂に根付いた面倒くさがり

何とも業が深いと思ってしまう

勿論、血の繋がりがある両親の教えも守っている

両親の教えは『上に立つ者の責務は全うせよ』だ


矛盾してるとも思うが、これが今の俺であった

尚、ゼロにこの考えを話すと、大爆笑された

しかし、何処か納得もしている模様


『ぶはははは!納得したわ!お前は、原初を継ぐべくして生まれた存在だな!俺よりも原初に相応しいわ。ははははは!』


笑い過ぎである

ちょっとイラっとしたのは言うまでもない

無名に神気を通わせて、軽くお仕置きしておく


『あばばばばば』


電撃に似せた、神気攻撃

ゼロのあばばばとか笑える

まぁ、後で物凄くキレられたが

攻撃もそうだが、笑い過ぎだと怒ってる方が強かったのはご愛敬


さて、話を戻そう

とりあえず、第一関門は突破した

では次に、解放条件だ


『で、アカシックレコードの取得条件は?』


『教えねぇ…』


『まだ拗ねてんのかよ……てめぇの女の救済だろうが!さっさと吐けや!』


『てめぇ!後で覚えてろよ!…アカシックレコードの取得条件は原初神格の取得だ』


何とも簡単な…いや、今なら簡単だが、普通なら不可能か

原初神格を継ぐには、相当な精神力の持ち主でないといけない

俺にそれがあるのは、今でも不思議だと思うが、きっと、未だ眠る原初の力だと思っておく


さて…正式に原初神格を受け取る事にしよう

ゼロをわざわざ封印した理由もここにあるのだから


本来ならば、互いの消滅をかけて、継承が行われる

今回の場合は、ゼロが消滅を望んでいたこともあって、そこまで過激ではなかった

ゼロ曰く、『本当なら、100%の原初との奪い合いだぜ』

との事であった

尤も、原初の継承は今回が初めてらしいので、ゼロ本人すら良く分かっていないらしい


次に封印神刀・無名にわざわざ封印した理由だが、無名には封印した相手の改変や抽出が行えるようにしてある

つまり、ゼロを生存させたまま、原初神格とゼロを分離出来るわけだ

更に、原初神格にすら一部改変が可能だったりする


と言う訳で、早速実行


ゼロから原初神格を分離させる

次に、原初神格を分割

半分は俺に移し、もう半分をとある者に移す

とここで、もう一つやることを思い出した


全智神核の名付けである

ゼロが言ってた名付けだが、良い名前が思い付かなかった

しかし、半分とは言え、原初神格を受け継いだ俺はアカシックレコードの裏の名前を知ることに成功した

と同時に閃いたので、早速名付けをしようと全智さんを起動させるのだが


『今更ですか?散々放置して今更ですか?もう一度言います。今更なんですか?』


全智さん、完全に拗ねていらしゃった

宥めるも話を聞いてくれない

こうなると、本音で話すしかないんだよなぁ

ゼロに聞かれない様に、一度リンクを切っておく


『マジで悪かったって。良い名前が思い付かなったのは本当なんだ。ただ、ゼロの話を聞いて思った事もあるんだ』


『何をですか?散々放置して』


『俺と全智って、兄妹なのかなって。多分、同時期に産まれて、共に成長していってると思う。これは絆だと思うんだ』


『マスター……』


『双子みたいな関係かな?それとも、俺が兄で全智が妹『私が姉です!これは譲れません』お、おう』


全智さん、姉は譲れないらしい

俺はどこまで行っても弟から抜け出せない運命の様だ


『もしくは、第3の母親で『そこは勘弁で!』……では姉で』


『弟が姉に名付けとか、可笑しくね?』


『今まで放置していたくせに……放置していたくせに!』


振出しに戻ってしまった

10分ほどかけて宥め、話を戻す


『え~と、まぁ、話を戻すと、やっとこれだって名前が決まったんだ』


『マスターが考えた名前は何ですか?』


『リエル。教える、知りえるなどからエルを取った。リはアカシックレコードからだな』


『それだと、レエルになりませんか?』


全智さんの言う事はごもっとも

だが、このリはREともかけてある

アカシックレコードの裏…否、真の名前


アカシック・RE・コード


記録した世界・魂・遺伝子・その他全てを再現できる能力

記録はあくまでも記録

重要な部分が隠されているので、似せることは出来ても、再現には至らない

だが、RE・コードは必要な情報を全て開示可能だ

個人の記憶すら再現可能

いや、違うな…再生や復元と言った方が正しいかもしれない

原初にのみ与えられた、最強の権限である


では何故、ゼロはこの権能を使えなかったのか?

簡単な話だ


制御不可能だったから


RE・コードを使用するには、膨大な演算能力と処理速度が必要になる

それは原初であっても一人では制御できない

何故、こんな機能があるのかも不明だ

ゼロの言葉では『記録を目的とした権能』との事だった

となると、アカシックレコード自身が、自ら進化か改変した疑惑が出る

では、アカシックレコードには自我がある?との疑問が出るのだが、『それはない』とゼロは言う


完全に謎であった


とは言え、全智さんなら制御できるのでは?と思った

と言うか、俺はある仮説を立てた


全智=RE・コードなのでは?と


理由は全智さんの自我の目覚め

これはシルから聞いた話になるが『全智に自我は生まれませんよ。あくまでもスキルなので』との回答を貰っている

となると、全智さんは劣化アカシックレコードだったのでは?との考えが浮かんだわけだ


もし、原初神核になれば、完全制御…否、完全覚醒するのではと考えていた

それも含めて、全て全智さんに伝えると


『そこまで私の事を…マスター!私は頑張りますよ!』


元気よく、返事が返ってくる

そして全智神核は名を受け入れる

それと同時に、半分に分割した原初神格も分け与える

メインの権限は俺が持っている

これは、全智…いや、リエルからの提案だった


『私はマスターの為に存在するのです。私がメインを持つなど、存在意義に関わります。私の全てはマスターの為に』


この言葉の後、全智神核は原初神核リエルとなった

RE=エルとも呼べるがな

リエルにこの事を言うと


『リ=エルでも良いですよ』


と、おちゃめな回答が帰って来る

人間味に更に磨きがかかった模様


リエルとのやり取りも終え、無名とのリンクを回復させる


『おせぇ!いつまでダラダラやってやがる!』


ゼロからの怒号が飛んでくる

こっちの苦労も知らないで!

しかし、俺がOSIOKIする前にリエルが手を打った


『黙りなさい!この劣化原初が!』


そして始まるOSIOKI

ゼロは二回目の『あばばばばば』を受けた

俺がした時よりも長めである

リエルを怒らせると大変になると胸に刻んでおこう


ゼロが無名の中で煙をぷすぷすと立て、呻きながら寝ている姿を見せられながら、リエルからの提案でスキル改変を行っていた

当然だが、俺は許可を出しただけで、リエルが行っている

ただな、ちょっと怖いんだ


『改造♪改造♪マスターを最凶に改造♪』


な?怖いだろ?

しかも、最強じゃなくて最凶だぜ?

更に改変じゃなくて、改造とか言ってるし

リエルは俺をどうしたいのだろうか?


ドキドキしながら待つこと3分

カップラーメンが出来上がった様にリエルから終了の声がかかる

…カップラーメン並みの時間で改変…いや、改造?

超不安であった


不安はあるが、確認しないと先に進まない

イヤな予感がヒシヒシと伝わるが、確認する

…………うん……こいつはやべぇわ

とりあえず、変わった所だけを伝える




まず魔力


Error/Errorがー/ーになっている

リエルに聞くと、有限から無限に近くなったとの事

完全な無限では無いので要注意らしい




次に加護


12神あった加護が軒並み消えている

そもそも、加護自体が消えていた

代わりに増えたのは庇護

どうやら、俺が与える側になった模様

リエルさん曰く『12神の加護もマスターの任意で付与可能ですよー』との事

原初の権限……恐るべし!




次に称号


こちらもかなり消えた

残っているのは【神々の寵愛を受けし者】のみだった

逆に増えたのは【原初を継ぎし者】【原初】【絶望と救済を与えし者】の3つ

リエルが言うには『他にも増えていきますが、今はこれだけです』と言われた

もう増えなくて良いです……




次に魔法とスキル


これは何のひねりもなかった

ただ一つだけ【原初】と書かれているだけ

説明プリーズ!

リエルの答えは『全部集約させて、統合しました!今まで通りに使えますよ』と言われる

簡単に言うと、一つに纏めただけらしい

尚、適正も原初のみになっていた

……なんでも原初は駄目じゃね?




最後に特殊スキルやスキルの詳細


これも酷かった

やはりと言うか、大半の物が消えて、代わりに原初が……

創世魔法も消え、原初魔法になっている

今の俺のスキルはこうだ

【原初魔法】【原初スキル】【アカシック・RE・コード】【原初世界】【原初の海原】【原初神核リエル

この6つである


スキルの詳細だが、【原初魔法】はアカシック・RE・コードにある全ての魔法が使用可能

他世界の魔法も使用可能と言うとんでもスキルだ

但し、他世界魔法は魔力消費が鬼高いので要注意らしい

【原初スキル】は【原初魔法】のスキル版で察してくれ


【アカシック・RE・コード】はさっき説明した通り

原初神核リエル】も今更だろう

全智神核の上位版だと思って貰えれば良い

但し、性能は段違いだが


そして残る二つ、【原初世界】と【原初の海原】だが、【原初世界】は空間収納の原初版

その収納量は現存する全ての世界と同義であった

……そんなに収納する物あるかね?

もう一つ変わった所と言えば、生きていても収納可能な所であろうか?

もうバグってやがる!


【原初の海原】は保有魔力に関するスキルだった

ただし、これもバグっているスキルである

現存する世界の魔力+世界の下地を作る魔力量との記載があったわけだが、これは無限と同義ではなかろうか?

だが、このスキルは一つだけ違っていた


原初の力を使用出来る分のみ可と書かれている


リエルに質問をすると


『マスターの場合ですと、4割は使えます。神刀・ゼロに力を相乗させて9割。残り1割は、あの艦の動力源ですね。まぁ、あの艦だけで、世界を滅ぼせますが』


どっちにしろ、制御できる自信は無いので、リエルにお任せだな

リエルの返答の後にそう返しておいた



ステータスの確認も終わったので、最後の仕事に取り掛かろう

無名に再びリンクして、ゼロを叩き起こす


『もうちっと、優しく扱え!』


『リエルを怒らせたゼロが悪い』


『そうです。この、劣化原初が!( ゚д゚)、ペッ』


『優しさ!優しさは大切だと教えろ!』


『リエルは優しいけど?』


『そうですよ。どこぞの劣化原初の態度が悪いだけでは?』


『この似た者姉弟が!』


とまぁ、一通りのボケとツッコミを終え、本題へ


『さて、遊びはこれくらいにして…と。ゼロ、ツクヨ=カシマの魂を渡せ』


『断る!ツクヨにも俺みたいなことをする気だろうが!』


『さっさと渡せや、劣化原初!マスターと私が救ってやると言ってるんですよ!』


『ラフィはともかく!お前は信用できねぇよ!』


『これだから劣化版は…私の力が分からないと?』


『あ!?こら!強制的に持ってくな!ちょ、マジやめ……ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!』


ゼロ…負けてから、とことん不憫だな

リエルによって、強制的にツクヨ=カシマの魂を持っていかれたゼロ

己の内に封印していて、半同化状態にあったせいか、魂を渡すのを渋った代償は相当に大きかったらしい

魂へのダメージもさることながら、相当な痛みを伴った様だ

なんかシクシク泣いてる感覚があるし

あれ?ゼロってこんなキャラだっけか?


とりあえず、ゼロは放置して、ツクヨ=カシマの魂にかけられた呪いを解いていくことにする

とここで、まともやリエルの口撃がゼロに降り注ぐ


『そこの劣化原初、寝てないでさっさと協力しなさい!また、OSIOKIされたのですか!』


『強制的に持って行ったから、普通に痛ぇんだよ!あ、やめ……あばばばばば』


『リエル~、話進まないから、もう少し優しくしてやってくれ』


『わかりました、マスター♪おら、マスターに感謝しろよ、劣化原初』


『もう、別の意味で消滅してぇ……』


ゼロ、不憫な奴……そして、救済が始まる…前に、一つ問題が発生

修復する魂の年代が不明であった

1万年以上前とは聞いていたが、詳しい年代を聞いていない

これだと、探すのに物凄く苦労する

そこの所をゼロに聞くも


『詳しい年代は俺も覚えてねぇ。年数が年数だしな』


『チッ、使えない劣化ですね』


最早、原初とすら言わなくなったリエル

先程から、ゼロへの毒が止まらない

ゼロの精神衛生上、これ以上はまずいのでは?と考えるが


『このクソ神核が!後でぜってぇ泣かしちゃる!』


『ぷぷぷー。劣化如きが、私に勝てるわけないでしょうが!』


どうやら杞憂の様だ

ただ、この2神の相性は最悪らしい

板挟みの俺は、酷く疲れてしまうな


『お~い、二人とも。喧嘩も良いけど、目的を忘れないでくれよ』


『大丈夫ですよ、マスター。使えない劣化に変わって、既に検索をかけてますので。候補は3人にまで絞られました』


『仕事はやっ!』


『てめぇ、俺に聞く必要無かっただろ』


『情報があるに越した事は無いですよ~。そんなことも分からないなんて…だから劣化なんですよ』


『コロス!!』


『返り討ちにしてんよ、ゴルァ!』


『リエル~、言葉が汚いよ~』


『これは失礼しました。姉として恥ずかしいですね』


『ラフィ、今からでもこいつリエルは破壊した方が良いと思うぜ。俺が性格良い奴の創造を手伝ってやるからよ』


『黙れ、クソ虫!マスターと私は一心同体!』


劣化原初>劣化>クソ虫

ゼロの格がどんどん下がっていく

そして、リエルの言葉遣いもどんどん悪くなっていく

俺の精神衛生上、そろそろ止めて欲しいのだが?

ここで一転して、リエルが真面目な声を出す


『マスター、少し厄介な事態が起こりました』


『何があった?』


『対象を検索、発見しましたが、このままでは、元に戻せないことが判明しました』


『対処法は?』


『あります。ですが、ひ……じょ~に不服ですが、クソ虫の手が必要です』


『クソ虫言うな!…で、何をすれば良い?』


『記憶の呼び起こしです。修復すると、記憶障害が起こる可能性があります。復元も同様です。長い時間が、魂に刻まれた記憶にも影響したようです』


『修復・復元ではなく、直に呪いを解くのか?』


『正解です、マスター。本当は修復・復元の方が楽なのですが、クソ虫の願いを違えてしまいますので。そうなると、マスターの顔に泥を塗る結果になりますから。クソ虫はどうでも良いんですがね!』


『もうやだ、こいつ……』


珍しく、ゼロが弱音を吐いた

そろそろヤバすなので、リエルに忠告を…するまでもなかった


『おら、ゼロ!さっさと働きやがれ!てめぇの女だろうが!』


名前は一応呼ぶ方向に切り替えた様だ

言葉遣いは相変わらずのリエルだったが


『マスター。申し訳ありませんが、呪い破壊の魔力を頂きます。オラ、ゼロ!チャンスは一度きりだ!失敗したら、永劫の時を無名の中であばばばばさせるからな!』


リエル、もう止めて上げて…ゼロのライフはもう0よ

これ以上は、overkillだから

そんな願いも虚しく、発破をかけるふりして、ゼロを貶していくリエル


結果だけ言うと、救済は成功した

ゼロの威厳と精神を引き換えにしてだが……

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