第1話 異世界へ転移してしまったようだ2

「あぁ〜…あと何分後なんふんごぐらい?」


 魔法陣まほうじんのようなものがはじめて三人さんにん足元あしもとあらわれてから二時間にじかん経過けいかしていた。ち、あたりはすっかりくらくなっていた。

 相変あいかわらず三人さんにん足元あしもとあらわつづけているが、段々だんだん間隔かんかくながくなっていき、いまでは20ぷん一度いちどのペースでなっていた。


「あと5ふんあらわれるよ〜」


 そのころには三人さんにんれてしまい、晩餐会ばんさんかいはじめていた。いがまわはじめ、足元あしもと覚束無おぼつかなくなっていく。

 それでもれるため、三人さんにん各々おのおのかんチューハイやかんビールなどをす。


「なんだろうな〜♪アレ〜☆」


「あぁ……達巳たつみ完全かんぜん出来上できあがってしまった…」


 達巳たつみはそのでクルクルとまわる。酒によわい上に達巳たつみはワインをむことに固執こしつし、結果けっかものすごいいきおいで出来上できあがる。

 いつも三人さんにんむと達巳たつみ一番いちばん最初さいしょ出来上できあがってしまうのだ。

 しかしさけよわいが理性りせいはしっかりあると本人ほんにんうので、いつものように放置ほうちする。

 慎慈しんじ談笑だんしょうしていると、しげみのおくから警備員けいびいん懐中電灯かいちゅうでんとうってちかづいてきた。


「おまえたちなにをやっている!!!」


 突然とつぜん大声おおごえおどろき、けい狼狽ろうばいする。 


「ヤバイぞ!げろ!!」


「え〜〜〜?いつもみたいにおじさんをくるめない?」


「ワァ〜ほしまわってる☆なんでだぁ〜?」


 ダメだ二人ふたりとも使つかものにならない!

 予想外よそうがい警備員けいびいん至近距離しきんきょりまでちかづいていたのでげることができなかった。ぱらっている影響えいきょうだろう。

 三人さんにん観念かんねんしてその大人おとなしく………



「アレ?中谷なかたにさんじゃない?」



 慎慈しんじ警備員けいびいんかお記憶きおくにあるものとちがうことにづき、自然しぜん疑問ぎもんこえた。


正和まさかずさんは今日きょうからべつ場所ばしょだ。……なるほど、あのひとってたのはおまえたちのことか」



「「「???」」」



むかしからここらであばまわってる三人組さんにんぐみがいるってはなしさ。一応いちおう注意ちゅういしとけってわれたが、まさか初日しょにちからおがめるとはな………」



あばまわってない!まわりで問題もんだいこりぎてるだけだ!!」


「そうだよ?余計よけいなことに首突くびつんでるだけで問題もんだいは……こしてないよ?たぶん」


面倒臭めんどくさそうなやつらに声掛こえかけられたらとりあえず、ア゛ァ゛?とはってるよ〜♪」



「ハァ………とりあえず敷地内しきちないから——————」



 その瞬間しゅんかん四人よにん足元あしもとかこ魔法陣まほうじんあらわれた。


「クソ!!!最悪さいあくだ!!!!!」


 咄嗟とっさ三人さんにん動揺どうようして身動みうごきのれない警備員けいびいんそうとふくる、別々べつべつ方向ほうこうに。

 結果けっか三人さんにんあしまり、たがいを見合みあう。



「「「あっ………」」」



 四人よにんともひかりまれえてしまった。そののこったものはえたかん数個すうこみかけのワインびん、それに懐中電灯かいちゅうでんとうだけだった。


            ※


なんだ………これ」


 眩暈めまいがするほど強烈きょうれつ閃光せんこつえ、四人よにん見開みひらく。

 そこには自分じぶんたちのうたがうようなしんがた光景こうけいひろがっていたのだ。

 四方しほう大理石だいりせき支柱しちゅう何本なんぼんならび、左右さゆう天幕てんまくけられている。天井てんじょうにはルネサンスえがかれたような絢爛豪華けんらんごうかひろがっている。

 どうやらパルテノン神殿しんでんのような構造こうぞうをした建物内たてものないにいるらしい。

 そして自分じぶんたちの眼前がんぜんに、修道服しゅうどうふくのようなものをている女性じょせい数十人すうじゅうにんほどいた。あまなのだろうか?

 そして彼女かのじょたちの先頭せんとうには、青白あおじろいドレスを女性じょせい漆黒しっこくのローブでつつんだ女性じょせいがいた。

 全員ぜんいんべたにすわみ、かた上下じょうげさせながら呼吸こきゅうととのえていた。

 あまたちのうしろには甲冑かっちゅうをきた、いかにも騎士きしべるような格好かっこうをしたひとたちが大勢おおぜいいた。

 しかもかれらはこちらに武器ぶきけている。

 けいほか三人さんにん目配めくばせしたが、困惑こんわくしきった表情ひょうじょうをしているだけで、現状げんじょうめていないのが一目瞭然いちもくりょうぜんだった。

 四人よにんうつ光景こうけいしんじられず、っていると、おもむろ先頭せんとうにいるドレスを女性じょせいがった。


「おたせしてしまい、もうわけございません」


 うやうやしくお辞儀じぎをした女性じょせいは、つぎ四人よにんの顔を順繰じゅんぐりにつめる。


召喚しょうかんおうじていただき、ありがとうございます。異世界いせかい勇者ゆうしゃさま」


 四人よにん女性じょせい言葉ことば意味いみ理解りかいできず、ほうけてしまう。

 もしかしてアレか?よくある別世界べつせかいばされて世界せかいすくえって無理難題むりなんだいけられるアレか?

 けい女性じょせい発言はつげん意図いと理解りかいしようと、必死ひっしあたまはたらかせる。

 ……ダメだ!いがまわぎてかんがえがまとまらない!!


「それであの……おきしたいのですが……」


「…………なんですか?」


 けいおそおそ女性じょせいかえす。

 いや予感よかんがする。この解答かいとつ自分じぶんたちの今後こんご左右さゆうしかねないものになるがしてならない………



「どなたさま召喚しょうかんおうじていただいたのでしょうか?もしかしたらのこりのかたまれた可能性かのうせいが……」 


「このひとです」



 けい即答そくとうした。ついでに警備員けいびいんの腕をつかげさせる。

 警備員けいびいんはものすご驚愕きょうがく表情ひょうじょうかべる。


ぼくたちこのひと足元あしもとひかるのをたよ!」


たねぇ……ひかってたねぇ……」


 達巳たつみ慎慈しんじちをかける。

 二人ふたりいや予感よかんがしたのだろう。躊躇ためらいが一切いっさいかんじられなかった。さすが親友しんゆうたち、容赦ようしゃがない。


「そうですか…………」


 女性じょせい警備員けいびいんちかづき、かおのぞむ。

 警備員けいびいんはこれまでたことないほどったみをかべる。

 いや初対面しょたいめんだけどね……


べつ場所ばしょくわしい説明せつめいおこないますので、わたくしいててください」


 よこから漆黒しっこくのローブを女性じょせい進言しんげんし、われるがまま四人よにんあとをついてった。

 そそがれる視線しせんからすように、四人よにん歩調ほちょう次第しだいはやくなっていった。

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