第19話 パパと残暑
「ただいま美哉ちゃん! 会いたかったにゃあ!!」
9月20日、帰宅すると喜びの涙をこぼす正宗が両手を広げて待っていた。
「おかえりなさいパパ!」
パパっ子の美哉が大喜びで抱きつくと、正宗がまだ短い毛皮で美哉を包み込む。
ゴロゴロゴロ…ゴロゴロゴロ……。
正宗の喉が鳴る。
「こっちは暑いでしょう?涼しくなるまで無理しないでね」
「ありがとうにゃ、美哉ちゃん。留守の間、露子ちゃんのお墓もお家もきれいにしてくれてありがとうにゃ」
「お参りしてきたの? 暑かったでしょう?」
「倒れそうだったけど1番に露子ちゃんのお墓参りに行きたかったにゃ」
なんだかんだ言っても、母のお墓参りを1番にしたかったという正宗の言葉を嬉しく感じる美哉だった。
「おかえり、おじさん」
「文治郎もありがとうにゃ。後で健太郎と咲にもお礼に行くにゃ」
「うちは大喜びだったよ。美哉がいると美味い飯が食えるって」
「美哉ちゃんは良い子にしていたようだにゃあ」
正宗の目とヒゲが波型に崩れる。
「すっごく良くしてもらったよ。ご飯は文ちゃんと一緒に作って食べてたから1人じゃ無かったし。夏休みの間はおじさんとおばさんも一緒にお昼を食べてたから大家族みたいで楽しかった。学校が始まってからは文ちゃんがお弁当を作ってくれてたの」
「おじさんの弁当には、まだまだ及ばないけど」
「文ちゃんのお弁当も美味しいよ」
「サンキュ」
いつも以上に正宗が美哉にデレデレだ。
毎日Skypeしていても満足出来なかったようだ。
「今日はおじさんの好きなものばかり作ろうって計画していたんだ。夕飯は期待してて」
「文治郎もありがとうにゃ」
「私たちで作るからパパは休んでて」
「ありがとうにゃ。お言葉に甘えて水風呂に入って来るにゃ」
9月下旬の気温は、全身毛皮の獣人には厳しい…。
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