第4話 なんか変だ

前のエピソードで、少しご紹介しましたが。

少し変なことに、お気づきになられたでしょうか。

ハイ。

筆者は、球脊髄性筋萎縮症という重症神経難病患者で、身体障害者手帳2級の障害者支援区分6段階の5。

介護保険での、要介護区分5段階の5。

つまり、制度上の判定は、ベッド上生活者、ほぼ寝たきりという判定を受けているのです。

もちろん、生活全介助とされております。

配偶者である妻と2人で、認知症で要介護者区分2の母親の介護をしております。

お察しいただけるとありがたいですが、大人3人の生活費は、相当なものです。

筆者の障害者年金と母親の年金だけでは、生活することはできません。

したがって、妻が働きに出て、頑張っていてくれます。

本来なら、筆者と母親などほったらかしにして、逃げ出すという選択肢もあるのに、頑張ってくれています。

変なこととは、これです。

認知症で、自分自身のことすら自発的に出来ないですが、歩くことができる、トイレだけは自発的に、自力で行けるという自立状態。

逆に言えば、トイレ以外、何一つ自分ではできない母親の介護を、ほぼ寝たきりの筆者がやらねばならないという制度の落とし穴です。

高齢者の夫婦だけで暮らす方々の、いわゆる老々介護問題と同じようになってしまったのです。

小泉純一郎前総理大臣の時代に、病院の制度改正で、長期入院が禁止になりました。

特別養護老人ホームは足りていない。

制度だけ改正して、対策は何も出来ていないという、いつもながらの体たらくで。

その煽りを、高齢者と障害者がモロに受けているのです。

政治家の問題ではありません。

お役所の都合に、高齢者と障害者が振り回されているだけのことです。

それでも、健康保険制度を存続させて、健全に運営してもらうには、やらねばならない改悪だったのでしょう。

もう少し。療養型病棟への入院条件を緩和するとか。民間の特別養護老人ホームを許可する等の部分的改正でもしてくれればかなりの老々介護が減るとは思いますが。

今の国会は、与党の追い落とししか念頭にない野党と、必死でごまかすことしか念頭にない与党の攻防だけでしかありませんので、そりゃ、選挙に行かない人が増えることも、理解できます。

だいたい、投票所がバリアフリーになっていないのは、どういうことでしょう。

高齢者でも、しっかり歩ける方しか投票できません。

障害者には、不可能です。

議員さんって、どこを見て、偉そうに福祉の充実なんて力説しているんですかね。

最近、ようやく、厚労省による新薬や効能効果の追加の承認が、少し速くなったような気がしてます。

神経難病用のお薬だけかもしれませんが。

ただ、厚労省のお役人さん、メーカーの言う通りしか承認できていないことに気づいてませんよね。

たとえば、ロボットスーツ。

リハビリに使用すると、立ち上がり歩く感覚を思い出すとされていますが、病院でリハビリする時だけでは、在宅に戻るとすぐに立てなくなることをお分かりではありませんね。

神経難病の多くは、進行性です。

進行を止めるか、治癒に向かうかしない限り、思い出すことに意味があるとは思えません。

たしかに、発症から期間がない早期の患者さんには、進行を遅らせる程度のことはあるのかもしれませんが。

かと言って、ロボットスーツが在宅使用できるほどに進化しているかと考えると、まだまだ不可能です。

装着して就寝できません。

充電が難しい。

バッテリーの長時間使用ができない。

自助具の代替えになるほどにならないと、魅力がありません。

でも、リハビリ器具として健康保険の対象になっています。

まだまだ高額で、リハビリ用に準備できるほどの患者数はいません。

したがって、リハビリ病院ですら、なかなか見かけません。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る