第113話◇この世界に人間が必要な理由
「これは俺の考えなんだが、
皆が注目、俺を見る。中にはけっこう驚いているのもいる。
シュトール王子が口を開く。
「聞かせてもらおうか」
「あぁ、俺も最初は
「知っている。だが、それについてはセラ……、
「ちょっと聞いて欲しい。他の皆は知らないことだろうが、それがここ、星渡る船の中に皆を呼んだ理由でもある。ノスフィールゼロ、いいか?」
「ハイ。これは
全員が頷いたのを見て、ノスフィールゼロは語り始める。
テクノロジスを信奉する彼らの持つ、俺達では想像することも難しい卓越した技術。
それを侵略欲のある別の種族に利用された。
暗黒期よりも前、6千年前にその種族がアルムスオンに現れ、この地に侵略を行ったこと。それを
「このアルムスオンでは祖先のテクノロジスは動作不良をおこしますスノ。
そのときに
他の種族との共生が難しいと考えて引きこもっていた異種族喰いの種族、
「
新しい情報が次々と出るから、皆疲れて無いかな、と。
ここで少し休憩挟むのもアリか?
振り向くとソミファーラがノスフィールゼロにひしっとしがみついている。
立ち上がったレスティル=サハがセプーテンとトリオナインを、その巨大胸に埋めるように抱いている。
何やってんだろ。
ソミファーラは青い蝶の羽根をパタパタさせる。
「故郷より遠く離れ、奴隷として種族の誇りを汚され、それでもその子孫がその叡知で私達を助けてくれる。
「ありがとうございまスノ。どうか
「
なんだか盛り上がってる。
レスティル=サハもセプーテンとトリオナインをギュムーと抱いて、
「一旦、ちょっと休憩にするか?」
俺が提案するとシュトール王子が、
「いや、続けてくれ。6千年前の侵略戦争と、それが今にどう繋がるのか興味がある」
「繋がる、というか
話でしか聞いたことの無い、遠い遠い星の向こうにいる別の種族。
「
俺が言うと皆が星渡る船の艦橋内部を見渡す。理解不能の技術、俺達では到達不可能な技術の塊。
ノスフィールゼロが言う。
「デスガ、星間距離など鑑みて
「ノスフィールゼロはそう言うけどな、1度過去に有ったということには警戒してしまう」
シノスハーティルが怖々と、
「こんなのが大量にやってきたら、どうにもならない気がするのですが?」
「そこでさっきのノスフィールゼロの話を思い出して欲しい。
シュトール王子が、うむ、と。
「他の種族と出会わない単一種族の世界、か。それなら確かに戦いとは無縁となるのか」
「俺達はアルムスオンしか知らないから、多種多様な種族がいるのが当たり前で想像しにくいけどな。ただ、俺達も
レスティル=サハが首を傾げる。
「どういうことだ?」
「俺達は
ソミファーラが、
「我らとしては当たり前のことで、改めてどうかと問われると。そうですね、
「そうだ。つまり
必要が無ければしなくなる。交流が無ければ寂しいが、触れなければ余計な軋轢からいさかいも無い。
「
敵がいなければ守るために団結することも、どうするかと考える必要も無い。
シュトール王子は頷く。
「そう言われると、確かに
ディレンドン王女は、
「ドワーフも
レスティル=サハは、
「エルフ同盟も同じだ。
ソミファーラは、
「私達
「ソミファーラの不満も解る。俺も
俺達がこうして強くなったのは、これは
ディストレックが腕を組む。
「あー、まぁ、確かに。
「
「だけど、
「ディストレック、
力で負けるからって禁忌の上位悪魔の召喚を、戦争で実験しようとする奴らだ。
そして、力で敵わず、悪魔の召喚も使いこなせ無かった。この後の
最初はカンだった。安易に滅ぼして無くしてから、存在の重要性に気がついても遅い。
考えてみて
その結果に出てきた、俺たちに
皆を見回して言う。
「
だが
だから何でもする。何でもできる」
沈黙する一同を見回して、言葉を続ける。
「奴らは力で勝てなければ違う手で来るだろう。嘘をつく、騙す、盗む、拐う、奪う、掠める、裏切る、いずれも
奴等は生きるためには何でも必死にする。同族を売買し、ときには共食いのような行いも仕方無いとやってしまう。このアルムスオンで、神の加護を失う恐れも無く、平気で非道も外道も行い、禁忌を犯すことのできる、最も邪悪な種族。それが
だがその邪悪さこそが、俺達には無い発想を産み出す。俺達はしないようなこと、できないようなこと、それを思い付きしてしまう
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