第44話◇シュドバイル主役回◇それでは報告会を始めます、後編
◇◇
なんだか微妙な空気になってしまったけど、どうすればいいのかしら?
ノクラーソンに声をかけようとしても、言葉が出てこない。
そうなると
私が困ってるとカゲンが立ち上がって話してくれる。
「ノクラーソンについては監視として
「ノクラーソンはうちの大事な
当のノクラーソンが気にするなと、
「心配はいらんよ、ロスシング。縛られてもいないし飯は踊る子馬亭で食わせてもらっている。しかし、ただ飯食らいとも呼ばれたくは無いから、預かり所の財宝鑑定などさせてはもらえないだろうか? 力仕事はさしてできんからな」
「鑑定ではマルーンの街で1番のノクラーソンにやってもらえるなら有り難い。ついでに
「引き受けよう」
カゲンとノクラーソンが握手をする。
そんなことを考えてたらヤーゲンが、
「
と、注意された。探索者達がざわざわとして、
「確かにノクラーソンは
「性格は
「徴税所の奴等もノクラーソン以外はクズばっかりだし」
「ノクラーソンは査定に厳しいけど、嘘はつかないし賄賂とか要求しないしね」
「だから
「私、新米探索者がノクラーソンに助けてもらった話、聞いたことある」
「私は治癒術でノクラーソンに命を助けてもらったぞ」
「本当か? やるなぁ、あのカイゼル髭」
「まったく
「でも他の
探索者達がわいわいがやがや。ノクラーソンは、なんだか照れている? そっぽ向いてるけど耳が赤いような。
「私はノクラーソンがこの里で自由にすることには反対だ」
猫娘衆で裸になるのを嫌がる恥ずかしがりやさんの
「ノクラーソンは
ほんとに
「私は個人的には
カームの言いぐさに、さすがにちょっと心配になってノクラーソンに近づいて表情をうかがう。大丈夫?
「シュドバイル、心配してくれるのは有り難いが、
寂しそうに言うノクラーソンがなんだか可哀想になって、ついノクラーソンの手を握って胸に抱く。他の
「ちょっとー、シュドバイル。それ逆効果だから。ノクラーソンの敵が増えるから」
グランシアに言われて振り向くと、探索者の男性を中心にノクラーソンに殺意の視線が飛んで来てる。あら?
ノクラーソンも私のおっぱいに手をあてて顔が真っ赤になってる。あらー?
えーと、私が仕切らないといけないのよね。
「私たち
ひとりだけ監禁とか可哀想だと思うもの。灰剣狼の貫禄のあるお髭の
「
グランシアが続けて、
「そうだね。それに地上は
「ドリンがそんなこと言ってたの?」
私がグランシアに聞いてみると、グランシアはうんと頷いて、
「私もカームと同じことドリンに聞いてみたことがあるんだよ。そのときにドリンが『まだ具体的に説明できるほどまとまっていなくて、ほとんどカンだけど。
ドリンが? どういうことなんだろう?
探索者、
「そのドリンの話には興味があるが、今はそのドリンがここにいない。それに
カームは不満そうだけど、わかったと言って座り直す。
そうね、他にもいろいろあるから。
「えーと、では次にトイレについてですが」
「トイレ班長、
「壁に囲まれたトイレには馴れないけれど、天井が透けてて空が見えるのはこれまでどおりで今のところ問題無いわ」
探索者の方は、銀と黒の縞模様の髪が素敵な猫娘衆の
「空が見えるトイレは落ち着かないけれど、
「そうか。探索者拠点の建物の方にもトイレ作っていって、今ある簡易型は撤去していくので。もう空飛ぶ種族が覗き魔呼ばわりされないぞ。あと、トイレについては
「
「で、今後はトイレ及び水回り関連はボランギに担当してもらうので」
「えー、
「今は服着てるけど全裸会会長グランシアだ。なに?」
「全裸会の活動を北の方の林でしてくれないか? 探索者拠点からは
「真っ
「山羊の放牧に山羊の乳の加工所、武器と鎧の加工する建物作りたいんだよ。ちょっと場所譲ってくんね?」
「仕方ないね。じゃ全裸会は今後は
「次に防衛関係ですが」
「猫娘衆、
「魔術指導員、灰剣狼の
進行役ってそんなに気負うことも無いわね。しっかりした方ばかりで探索者って頼れるわ。私たち
「これで一通り終わったのかしら? 皆さんなにかありませんか?」
カゲンが手を上げる。
「はい、カゲン」
「現在、対
「その秘密兵器って?」
「触るな凸凹発案で詳しくは話せない。だがこの先に必要となる、ということだ」
「
ドリンからは
「紫のおじいちゃんからは何かありますか?」
目を細めて私達を見ていた
「んー? こんなにいろんな種族が仲良くやってるの見てるのは、おもしろいのー。そうじゃのー。酒の作り方については昔の作り方を教えたわけじゃが、うまくできたら味見させてほしいのー。で、シノスハーティル。族長なんじゃから、最後の締めくらいは族長がやったらいいんじゃないかのー」
「え? あ、はい」
紫のおじいちゃんに呼ばれてシノスハーティルが立ち上がる。銀の杖を一振りしてキリッとして。族長、がんばって。
「皆さんこれからも密に連絡をとり協力していきましょう。トンネル工事はくれぐれもケガなど気をつけてください」
うん、シノスハーティルもちゃんと落ち着いて見える。目隠しがあると視線がキョロキョロしてるのがバレなくていいわね。
「それでは報告会を終わりましゅ」
最後に噛んじゃったわね。
「……おわりましゅ」
ちょっとミュクレイル。
「おわりましゅ」
「おわりましゅ、かー」
パリオーもグランシアも容赦無いわね。
「いや、さすが
「癒されるなぁ」
「シノちゃん可愛いのう」
「おわりましゅ、だってー」
「よし、穴堀りがんばるか」
「こっちは地下迷宮いくぜ」
「金粒と銀粒集めてくりゃいいんだろ?」
「楽勝、任せい」
「ね、族長って天然? それとも計算?」
「狙ってたらあんなに赤くはならないんじゃない? ほら首まで真っ赤」
みんな容赦無いわねー。でも視線の魅了無しでこんなに人気あるというのは、シノスハーティルの人徳よね。うん。
私がしっかりもののお姉さん神官で、シノスハーティルが天然癒し系族長で、ミュクレイルが物怖じしない突撃少女で、住み分けができているとかパリオーが言ってたけど、どういう意味なのかしら?
「ふぇ、シュドバイルぅぅぅ」
「あぁ、よしよし。泣かない泣かない」
目隠しって便利ねー。涙も隠せる。
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