第10話 二人なら将来が見える
「楓ちゃん、お帰り」
「ただいま。お母さん、私、プロポーズされた…」
「何言ってるんだ!楓。騙されるな。金目当てだ。早く山岡を連れてこ…」
「初めまして。山岡武志です。挨拶が遅れてしまいすみません」
「この野郎、女の金を当てにして最低な男だな!!恥ずかしくないのか!!」
「お父さん、違うの。私が勝手に言ってただけなの。武志は奨学金で大学行くことになったの。私なんかより、何百倍も頭いいんだからね」
「じゃあ、お前、プロポーズは」
「あの、僕が大学を卒業して働いて、楓さんを絶対に幸せに出来る自信がついたら結婚させて下さい!お願いします」
「そ、な、おまえ、今じゃないのか。びっくりさせやがって…」
「素敵な彼氏じゃない。ねえ、お父さん。さ、山岡くん上がってお茶でも飲んで行って。暑かったでしょう」
「武志、早く上がって上がって~」
「楓さん。改めてこれからも宜しくお願いします」
「ちょっと、恥ずかしいよ。親の前で」
「俺、本気だから。今日はこれで帰ります!勉強したいので。失礼します!」
「ちょっと、武志!!?」
その次の春、武志は無事第一志望校に合格した。しばらくは寮生活になる。働きながらお給料が発生する大学だから、武志のお母さんは本当に喜んでくれたらしい。
うちの親は、武志の将来が見えたらしく、逃げられないよう繋ぎ止めろとうるさい(笑)
私は…まさかの浪人生となってしまった。子役時代に貯めたお金で予備校に通いながら、武志を少し離れた場所から応援している!
離れていても大丈夫。私たちは大丈夫。
「楓~!」
「武志っ!」
ずっと、ずっと一緒にいようね!
好きすぎて 廿日 @5hatsuka
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