第6話 真実

「とにかく、武志は本当に楓ちゃんだけだから。男が好きとかもちろんないし(笑)武志とちょっと話してみなよ。楓ちゃんだって、今までの男と武志は違うと思ってたりしないの?」


 今までの彼氏と武志は違う。そんなの言われなくてもわかってる。違う。わかってきてる。武志は友達だったんだから。でも別れそうになる気がする。これ、どうしてなんだろう。何を合わないと思ってるんだろう。私が変なのかな。


「涼子、ごめん。私帰る。先生に伝えてほしい。あたた、、、お腹が、、、いたたたた」


「何それ(笑)気を付けて帰ってね。武志くんに早く電話したげて!」


 私は校門を走り抜け、慌てて武志に電話した。出ない。出ない、出ない。武志、出て!今話さないとよくない気がする!出て!お願い!!


 20回くらい掛けてしまった。


「楓、しつこい!」


 ようやく、武志が電話に出た。


「高岡くんから聞いた。武志、私のことずっと探してたの?ずっと好きだったの?」


「…!?高岡のやつ。余計なこと…」


「私、わたしは体育祭で初めて武志のこと見つけたの。そのあと地下鉄で見かけて、ずっと声掛けたかったのに、でも半年くらい声掛けられなくて。あの日やっと声を掛けられたの。体育祭の時、かっこいいって思っちゃって…」


「何それ、聞いたことない。じゃあさ、男をコロコロ変える楓さんはどうしてすぐ俺と付き合ってくれなかったの?もうこんな意地悪な聞き方になってしまうけどー」


「わからないよ。でもわたし、彼氏とはすぐ別れるもんだって心のどこかにあって。別れたら普通に話せなくなるだろうし、そうなるくらいならずっと友達がいいと思ったの。友達ならずっと一緒にいられるから」


「何だよそれ」


「わかんない。わたし、もしかしたら武志が大好きすぎたのかも…」


「楓…。いまどこ?会いたい。直接話したい」


「改札横のカフェにいるよ」


「?俺も」


 お互い同時に立ち上がった。そんなに広くない店内で、私たちは目が合った。


「武志、直接だと恥ずかしくて言えないから、今電話で聞いてほしい。私と会うときは友達を連れてこないで欲しい。二人で会いたいから。後、私をずっと好きでいて欲しい」


「楓…」


 電話を切って、武志はこちらを向いて叫んだ。


「俺は一生楓だけが大好きだー!」


 モーニングタイムの終わりかけのカフェに武志の絶叫が響いた。だから、声が大きいんだってば…。

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