第2話 友達

 ゲーセンは思った以上に盛り上がってしまった(笑)武志の友人は本当にいいヤツでかなり面白い。私が大好きなポッキーを二箱もゲットしてくれたし。

 なぜ武志より先に出会えなかったのか。武志じゃなく、友人二名のどちらか(笑)と先に付き合いたかった。

 よく考えたら、武志は私と二人きりでは遊んだことがないのだ。いつも誰か男友達を連れてくる。別れを告げるタイミングを奪われているようだ。


「ねぇ、武志。明日の放課後さ…」


「悪い!明日は高岡たちと約束してて。会えなくてごめんなー。会いたいよなあ。わかるよ、楓。俺もだよー」


「あ、いや、そう言うことじゃ…」


「やー、武志たち、ラブラブ過ぎるって」

「見てらんねー」


 友人たちはニヤニヤしながら冷やかしてくる。すごいカップルっぽい扱い。私と武志は本当にそんなんじゃない。カップルらしいこと、何一つしたことないんだから。


「やめろよー。バカ。恥ずかしいだろ。なー、楓?」


「う、うん…」


 早く別れたい。武志と私はやっぱり合わなかった。


 地下鉄の改札を通ると、私と武志は同じ方面で友人二人とはバラバラになる。自然と武志は手を繋いで来た。ああ、言うなら今だ。別れたい!今だ、理由なんて必要ない! なのに今日に限って、(どうでも良い)知り合いと会ってしまった。


「楓ちゃん!久しぶりー!」


 キラキラした顔と声で駆け寄ってきた橋岡はしおかゆきなは、中学のクラスメイトだ。背が低くてたゆんたゆんの巨乳。男子の注目の的だった。


「はじめまして!橋岡ゆきなですー。中学のクラスメイトだったんですー。楓ちゃんの彼氏さんですかぁ?」


「あ、あ、ああ。うん。そうだよ。彼氏です」


 !?

 何だろ。不自然。

いま、直ぐに私の彼氏だって認めなかったよね?なに、ゆきなが巨乳だから?守ってあげたい系女子だから?何か、彼氏って言い辛かったですかぁああ!?


「やっぱ彼氏さんですよね~。いいなあ、ゆきなってば、今彼氏いなくて寂しいんです~」


 ほー。へらへらしながら武志に話しかけるな!乳でかチビ!!


「そ、そうなんだ、ゆきなちゃんかわいいから、すぐ彼氏出来るよ。な?楓?」


「うん。出来る出来る(棒読み無表情)」


 ゆきなは昔から男子に媚びる様な話し方をするタイプだった。まんまとひっかかる男がアホだと思っていたけど、武志、お前もか!


「わたし、用事思い出したから戻るわ。ごめん、また明日!ゆきな元気でね。またね」


 なんだろう、何故かイライラしてしまった。別れたい彼氏が他の女にちょっと靡いたからって、全然どうってことないのに。

 生理前だからかな。イライラする。



 その晩、私はかなり悶々としていた。


「ヤキモチ焼いたみたいじゃん」


 声に出してハッとした。ヤキモチなんて焼いたことない。何を思ったんだろう。バカらしい。これって、別れる理由になるかな?


 ー武志が他の女の子にデレデレしたので、嫌になりましたー


 何を言ってるんだ。逆に喜ばせてしまいそうだ(笑)あー、何かがおかしい。


 机に突っ伏したまま、武志と出会った頃のことや、付き合うことになった日のことを思い出していた。


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