予告
第二部 予告
落陽が朱に染める街道を駿馬が走る。彼を背に乗せ、
供回りはなく、
あの日、彼は炎上する野営地から逃げ出した。その夜は寝付きが悪く、外の空気を吸おうとして
それは本当に不意の出来事だった。
全てはあの男の
敵地の縦断、死中に見出した活路、彼の無謀とも言える
しかし、幾ら
「いつかまた…とは言いましたが、こんな形であなたとお逢いしたくはなかった」
彼は顔を手で覆いながら自嘲するが、その言に反して心の奥底には
この決死の逃避行が、後にヌーナ大陸の命運を大きく左右することになるとは、そのときは彼自身にも知る由もなかった。
ハナラカシア王国ツキノア騎士団、ディアテスシャー帝国領を侵犯、リンシ要塞及び周辺の村落を襲撃、帝国軍辺境警備隊により鎮圧
国王ヒコイツセ、三将軍メイラ、モリヤ、オイワ並びにクラウディアナを伴い、
オイワ将軍、シュンプ平野に於いて、国王ヒコイツセを
ツキノア公子オユミ、謀反の嫌疑、帝国領を逃北
皇帝ドミティアヌス、三国同盟を論拠に
皇太子ネルウァ、国家反逆罪の容疑で帝都カンヨウに幽閉、後、旧第一師団エフェソス副長スキピオらにより脱獄
帝国軍、ツキノア領都ヘグリを攻略、続、王都オハリダへ向けて進軍
ホーリーデイ公女サンデリカ、王下三分の計を奏上、王女をシチウタ領、王妃をノミネア領、王弟をコトミナ領へ退避
王都オハリダ陥落、ノミネア公子ノイテ、ホーリーデイ公配ミオミら戦死
皇帝ドミティアヌス、ネビケスト皇国の復国を宣言、自らを神皇と改号、ヌーナ大陸全土の武力統一を布告
帝国軍第三師団ペルガモン、シチウタ領都ソガリへ進軍、王女の身柄を要求
シチウタ公女『海賊女帝』イルカ、西方大陸ロディニア伝来の兵器をチヌ湾に展開、艦砲一斉射撃によりペルガモンを粉砕
ノミネア公子オヒト、
神皇ドミティアヌス、第六師団フィラデルフィアをバラトリプル教国へ派兵
ホーリーデイ公子レイネリア、翡翠の瞳の少女の手を引き、霊峰タカチホを下山
滅亡の危機に瀕する祖国を救うため、最果ての地より一大反抗作戦の幕が上がる。これが後世に渡り、
「各々が死力を尽くし、最大の戦果を上げれば、三国…いえ、世界を救うことが出来るのです。これほど分の良い賭けもないでしょう」
「
「如何なる
「開門せよ、余が皇帝である!」
「これより先はヌーナの正統なる地姫…この妾が承ろう!」
「もう私は何も要らない、何も望まない。ただ一振りの剣として、貴様を斬り捨てるだけだ」
「主君のために死ねる戦場に立てる。それがどれほど幸福なことか」
「お姉様の帰る場所を守る。それが妹の役目というものでございましょう」
「もう一度だけ彼女に会う。そのためならば、僕は何にでもなれたのだろう」
「そこで見ていなさい。あなたたちの信じた天人地姫が…如何ほどのものであるのかを!」
これは
失ったものは限りなく、
さあ、ここに
天人地姫の威光を世に示さんがために―
そして、共に在りし日々に応えんがために――
第二部
第六章
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