第四章 8-4
「御身の拝謁を賜り、イクシュヴァーク家の当主として、また一介の教徒として、
ダシャラタとラーマが
この時点で、少なくとも天人地姫としての魔法の才はないことは明らかであった。もしもミストリアと立場が逆であったならば、入室した時点で
それにしても、
「
少女が透き通った美声でラーマたちに告げる。確かにシータから聞いていたとおり、見目麗しい整った顔立ちをしており、また最高位の者にのみ許される衣裳とも相まって、ある種の神秘性を感じなくもない。
現にあれほど化けの皮を剥いでやると息巻いていたラーマも、今ではすっかり雰囲気に呑まれてしまったのか、借りてきた猫のように
しかし、彼女には視えて…いや、知覚されていた。この姿は幻術によるものだ。ミストリアに視線を向けると、やはり同様に頷きを返し、言外に肯定の意を示している。
このまま
それに仮に暴いたところで、ここにはダイバ老師と偽者、僧官たちを除けば、自分たち四人しかいない。表に出て声高に不正を叫んだところで、圧倒的多数の偽証によって塗り潰されてしまうだろう。暴くのであればなるべく多くの、
「御身は明日の
ダイバ老師の威厳に満ちた言葉に、ダシャラタもラーマも声を震わせながら感謝の口上を述べる。よもや懐柔されてはいないだろうが、確かに陶酔させられそうになるのも無理はない。
彼女は当初、ダイバ老師は非常に欲深く、天人地姫を利用して座長を狙う姑息な人物だと考えていた。大筋ではそれも間違ってはいないだろう。しかし、老師の外見からは私欲に塗れた者に特有の低俗さが感じられない。むしろ、相応の貫禄に徳めいたものすらも
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