第三章 4-4
「もう、準備は済んだようじゃな」
初めて邸宅にやって来たときと変わりなく、馬車が停められた正門に現れたレイネリアの姿を認めて、サナリエルは
それは、明確な意思表示であった。必要な施しは甘んじて受けるが、それ以上は決して求めないという、些か都合の良すぎる
当然のことながら、自分がプラナを消滅させる力を会得し、タルペイアのゲッシュが解かれたことも承知済みだろう。或いはゲッシュが消滅すると、主人に伝わるような仕組みがあるのかも知れない。
タルペイアは修練所に寝かせてきた。プラナを失って衰弱しているが、先の事件の時よりかは幾分とましだろう。もはや少女を縛るものは、目前にしかないと確信している。
「心配せずとも約束は違えぬ。あやつの罪状の一切を抹消し、ここを出るときには相応の支援もしよう」
皇女は心外とでも言うように、両手を広げて大袈裟に
しかし、不思議と憤りはなかった。未だ
そこには自分と皇女しかいなかった。
黙したまま皇女の瞳を見詰めた。そこには深淵なる闇が潜んでいる。その正体はまだ分からない。しかし、いつか必ず、雌雄を決する時が来ることを予感させた。
「
再び皇女は
しかし、やられっ放しというのも癪である。せっかく遠慮は要らないと言われたのだから、少しはやり返さないと気が済まない。彼女は仄かに笑みを浮かべながら、万感の想いを込めてその心情を
「ありがとう、サニー」
時に、口は意思に反して
やがて、皇女の指示により、
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