第10話 ルーファス王子について。王子視点
~ルーファス王子の16才の誕生日会にて~
自分にとって、最もわずらわしい
一日が始まろうとしてる。
「ルーファス王子、いい加減、
そろそろ誰かを選びなさい」
母であり、王妃のアンナから言われる。
「母上、私はまだ学びたい事が
沢山あるのです。婚約など早すぎます」
ハッキリ言って結婚などするつもりは
全く無い。
小さい頃から、第一王子として、
厳しく教育されてきた。
交流の場も、
色々な所に出席させられていた。
「ルーファス王子。お日がらも良く~
うちの娘が、ルーファス王子に
ご挨拶をしたいと~」
始まった。
いつもの事で慣れたもんだが。
「ルーファス王子、はじめまして。」
私可愛いでしょ。と言わんばかりの上目遣い。
どこの令嬢も頭が悪いのかと思うくらい
皆、一緒の態度。
「あぁ、分かった。もう下がっていいよ」
そう言うと、だいたい、令嬢達は
涙目になりながら、去っていく。
そして、ルーファス王子には、感情が無いとか
極意非道だとか、そんな噂ささえ流れていた。
こちらだって、ありがた迷惑だ。
打算的に近寄ってきては、頭の悪い娘を
こぞって挨拶に寄越す。
自分で何の努力もせずに
権力を手に入れる為に、王子と結婚させようと
必死になる者達。
それを分かっていない、頭の悪い令嬢。
もう、うんざりだ。
「ルーファス、今日の誕生日会では
少なくとも、1人は良いと思う令嬢を決めるのですよ。分かりましたか」
「分かりました。善処致します。」
適当に誰か決めて、形だけの
婚約でもしておけばいい。
いつの間にかなんでも、
諦めるのが早い性格になっていた。
誕生日会が始まり、スピーチが終る。
明かりが戻り、会場に目を向けると
何やら、一人の令嬢が、襲いかかるよな
勢いで皿に肉を盛り始めている。
これは、目の錯覚か。
向こうもこちらを見たようで、目が合った。
しかし、すぐに又肉を盛りはじめる。
もしかして、王子に興味が無い?
「ルーファス王子、皆様がお待ちです」
ライルから声がかかる。
自分の席を見ると、
挨拶の長蛇の列が出来ている。
仕方無く、席につく。
永遠に続くかのように、
お世辞と自慢話しと、令嬢達のアピール。
段々と、顔を見るのもうんざりしてくる。
「父の代理で来ました」
自分と年の変わらない、男女が挨拶し始める。
長い時間拘束されていたこともあり
顔を見るのも、おっくうになっていた。
「おめでとうございます」
「あぁ」
早く去って欲しいから、挨拶も適当になる。
これでもうこちらには、近寄らないだろう。
少し間が空き
「王子か、何か知らないけど、あんた
口付いてるの?
疲れているのは、こっちも一緒よ。
国をしょってく、王子なら人の目を見て
話しなさいっ!
どんな人にも、礼を敬うのは
人としての義務よっ!」
なにっ?
令嬢に目を向ける。
先程の肉に襲いかかっていた令嬢ではないか。
頭に稲妻が落ちた感覚がした。
初めて、何かにワクワクするような感覚。
自分がこんな感情になる事があるのかと驚く。
激怒するライルを制し、
名前を確認する。
マリー・ウィリアム・マシューズ、か。
面白い者を見つけた。
逃げるように去って行く、
後ろ姿を見つめるのであった。
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