第9話 王子との挨拶

 眩しい光の中から、王、続いて王妃

第一王子、第二王子の順に降りてくる。


王が玉座に着くと


「今日は、皆のもの、良く集まってくれた。

大いに、楽しんでいって欲しい。

この喜びの日に皆と過ごせる事に感謝する」


次に第一王子ルーファスの挨拶だ。


あいつか、マリーが好きだったのは。

確かに、超絶イケメン。

16才であの色気って、末恐ろしいわ。

身長も高いし、金髪にブルーアイ。

それに足、長っ!!! 

あんた、いったい、何等身さ。って感じ。


まぁ、だいたいは予想してたけどねー。

マリー、メンクイすぎだろ。

あれにチャレンジするとは、なんとも無謀な。


「本日は、私の誕生日に、集まって頂き

この日を、決して忘れないでしょう。

心から、感謝致します」


令嬢達から

「きゃ~、素敵、カッコいい」

「やっぱり、婚約者選ぶんじゃない?

だって意味深ですものね」

なんて声が聞こえる。


はいはい。皆さん頑張って下さいな。

それよりも、暗いうちにメインを

がっつり食べなきゃ!

ジューシーなお肉さん、待っててよ。


お肉を何枚も取ろうとした瞬間、

会場に光が戻る。


眩しっ! 

顔を上げると王子と目が合った気がした。

「ちょっ、ねーさん、がっつきすぎ。

皆が見てるよ! 」

「それよりも、お肉は置いて、

挨拶しにいかないと! 」


王子の所に、もうすでに

長蛇の列が出来ている。


挨拶より、お肉の方が大切なんですけども。


強制的にロイから列に並ばさせられ、

待つこと1時間。

今時のラーメン屋より並ぶわ。

段々、イライラしてきた......


「ねーさん、もうすぐだから。

今日は父の代理の挨拶たから」

「そうよね」

我慢しなきゃね。


そしてやっと、番が回ってきた。


「本日はお招き頂き、ありがとうございます。お誕生日おめでとうございます。

父の代理で参りました」

ロイが挨拶する。

「あぁ」

次にマリーが

「お誕生日おめでとうございます」

「あぁ」

........................。

こっち、見もしないよ。


イライラしてたこともあり

マリーの表情が変わる。

ブチっ。

何かが、切れる音がした。


「王子か、何か知らないけど、あんた

口付いてるの?

疲れているのは、こっちも一緒よ。

国をしょってく、王子なら人の目を見て

話しなさいっ!

どんな人にも、礼を敬うのは

人としての義務よっ!」

·························。

会場が静まり変える。


やっ、やってしまった。

悪役令嬢として、誰かに殺される前に

これで、きっと死罪ね。


王子の側近、ライルが

「無礼者っ! 王子になんたる言いぐさ。

この者をひっとらえろ!」


「もっ、申し訳ありません!」

ロイが勢いよく謝る。


「もういい。私も悪かった」

王子がライルを手で制する。


「本当に、申し訳ありませんっ!

「ねーさんも、謝って!」

「嫌よ、私悪い事言ってないわ」


「なっ、なっ」

ライルが今にも剣を抜きそうだ。


ロイが無理やり、手を引いて、

「ねーさん、帰るよ! 失礼致しますっ! 」

逃げるように会場を後にした。


「なんとも、無礼な者でしたが、

このまま、放置してもよろしいのですか? 」


クックック。


「王子、どうされましたか? 」

「あの、者の名前は、なんと言う? 」

「たしか、

マリー・ウィリアム・マシューズかと」

王子がニヤっと笑った。


その頃、マリーは、ロイに手を引かれながら、

私のお肉が~。

なんて、思っているので、あった。

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