第8話 夜会のはじまり
「マシューズ家、
マリー様、ロイ様、ご入場~」
淑女らしく、スカートを少し持ち上げ、
挨拶する。
顔を上げた瞬間、大きな広間に、沢山の人。
色とりどりのドレスを来た令嬢達、紳士達が
ひしめき合っている。
す、凄い人。熱気ムンムンって感じね。
これが、舞踏会ってやつね。
なんかキラキラというより、
ギラギラしてるわ。
「お姉様、久しぶりの夜会はどうですか?
今日は、王子の誕生日会だけあって
特に女性達が気合い入ってますよね」
今日王子が婚約者見つけるんだったっけ?
どんな偉い身分なんだよって感じ。
(いまんとこ、王子の中で1番候補ですから。)
「お姉様、聞いていますか?」
「あっうん、うん。聞いてるよ」
「とりあえず、飲み物でも取ってきますから、
ここで待っていて下さいね」
広間の隅の方を確保した。
よーし、これで隅も確保したし、
料理でも堪能しますか。
今日のメインイベントは、なんといっても、
王家直送の豪華食べ放題ビュッフェ。
高級ホテルより凄いんじゃない?
日本ではよく美香とホテルのビュッフェ
食べに行ったもんね。
「まり、まだ食べるの?
私もうお腹パンパンだよ。
そんなに細いのに、どこに入って
いくの。胃がブラックホールじゃないの?」
「美香、勝負はこれからよっ!
払った金額よりは食べないと!」
貧乏根性丸出し。いや、もとより
根性が図太いのである。
料理の並んでいるテーブルに
近かずこうとすると
「マリー様、お久しぶりでございます」
ギラギラした女性達が近付いてきた。
あんた、誰?と言う訳にもいかず
記憶を辿るが、全く誰だか分からない。
「お久しぶりです。お元気でしたか。
おほほほ」適当に、挨拶する。
それにしてもこの人達、凄い悪趣味なドレス。
真紫のゴテゴテドレスに、グリグリ縦ロール。
化粧も厚いし、香水被ったみたいに
香りキツイんですけど。
食べる前から、勘弁して欲しいわ。
「マリー様、見かけない間に、
変わられてしまって誰だか、
わからなかったですわ。
もしかして、お友達のいないマリー様は
てっきり、1人で来られたのかと。
ねぇ皆さん」
クスッ。
おいおいおい、来た早々、いきなり
先制攻撃ですかっ!
ケンカ売られてるんだよね。これっ。
火事とケンカは江戸の華。つってねぇ
売られたケンカは買いましょう!ってさ。
「ちょっと、そこのお嬢さん達、
なめてもらっちゃー困りますよ」
と、言おうとした瞬間、
「お姉様、飲み物持ってきましたよ」
ロイが遠くから何か察知したようで
急いで戻ってきた。
「皆様、お久しぶりでございます。
チャールズ様はお元気ですか?」
ニコッリ。
本物の悪役令嬢達が、顔を赤らめる。
「まぁ、ロイ様も大きくなられて」
何が、まぁ、ロイ様だよ。
「皆様、私達はまだ、挨拶もありますので
今度、お茶会でも開きましたら
是非遊びにいらして下さい」
ロイがとびっきりスマイルで応対している。
令嬢達はメロメロである。
「ほら、いくよ。ねーさん」
手を引かれる。
「それでは皆様、ご機嫌よ~う。
おほほほほほほほほ」
高笑いしてやったわ。
「ねーさん、敵多いんだから、
気をつけなきゃダメだよ」
そんな事言ったってさ、マリーが悪いんだよ。
「なんか、言い返そうとしてなかった?」
「まーねー。
あの令嬢達が嫌味言ってきたんだよ」
「何言ってるの。大事になったら父さんに
泥を塗る事になるんだからねっ! 」
ロイが大人に見えてきた。
それよりも、さっきからロイが私の事、
ねーさんって。徐々に2人の壁が
無くなってきてるのを感じ、嬉しくなる。
「何、ニヤニヤしてるの?
僕、心配してるんだからね」
「はーい。ごめんなさい」
「それより、何か食べる?」
待ってました~。
さっきは邪魔が入ったからな。
今度こそ。リベンジ!
華麗に颯爽と、食べ物の並んでいる
テーブルに近くずく。
パぁ~!キラキラ!
まりの目が輝く。
なんとも豪華な料理!!!
見た事もない、料理の品々が並んでいる。
これは、選べない。
端から攻めていきますか。
まずは前菜、綺麗な色のムース達。
パクっ。
おいすぅ~い。
口に入れた途端にとろけて
無くなってしまった。
何個でも食べれるわ~。
夢中になっていると
「ねーさん、ちょっと食べ過ぎじゃない?
淑女はそんなに食べないから。
そんなに食べる人だっけ?」
はっとなり、周りを見渡すと
料理を食べている人はあまりいない。
いけない、いけない、淑女たるもの。
冷静に食べなきゃね?
決して食べないという選択は
しないのであった。
急に会場が暗くなり、ラッパが鳴り響く。
中央の階段にスッポットライトが当たり、
「ウォルター・リー・ハードマン王の
ご入場~」
花が舞う。
キラキラと輝く階段から
王家の人達が姿を現した。
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