第11話 帰りの馬車にて

 ロイに手を引かれ、逃げるように

会場から出ると、急いで馬車に乗り込む。


「ねーさん、なんて事してくれるの!! 」

物凄く怒っている。

「あの場で、処刑されても

おかしくなかったよ! 」

ロイが頭を抱えている。

「言ってしまった事は、もうしょうがないわ

それに、間違った事は言っていないもの」

「お父様に、何て言えば.......」

ロイの顔が赤くなったり、

青くなったりしている。


「自分の言った事には、自分で責任を持つわ。

そんなの当たり前の事でしょ?

なんとか、なるわよっ! 」

明日は明日の風が吹くってね!

「..............ダメだ。

何言ってもムダな気がしてきた」

ロイが肩を落としている。


馬車が屋敷に到着した。

「マリー、ロイ、お帰りなさい!」 

「お帰りなさいなさいませ」

母とリリアンが迎えてくれた。

「ちょっと、帰ってくるの早いんじゃなくて?」

「そっそうですか?あまり長居しても、

大変ですので、少し早めに切り上げました」

ロイがうろたえながら、返事をした。


「それよりも、マリー、ルーファス王子とは

どうだったの?」

「えぇ、まぁ色々な意味でも

印象はつけたかと思いますわ」

「まぁ、流石、私のマリーね! 」

少し天然な母で非常に助かる。


「お母様、今日はもう疲れましたので

お話しは、また明日にでも」

「そうね、そうよね、マリーもロイも

お疲れ様でした。ゆっくり休んでちょうだい」


部屋に戻るロイの後ろ姿が、

疲れたサラリーマンのように見えたのは

言うまでもない。


ロイ、ごめんね。

曲がった事が大嫌いなの~。我慢できないの~!

こんな、おねーちゃんで、ごめんね~!


部屋に戻り、リリアンに着替えを

させてもらい、ソファーでくつろぐ。


ふ~。今日は色々、あったわ。

それにしても、あのイケメン王子、

ほんと、嫌なやつ! 

どうしたら、あそこまでひねくれるかね。

もしかしたら、本当に、

侮辱罪とかなんとかで、しょっぴかれるかも。

なんてね。

自分で言ってて鳥肌が立つ。

まー、なんかあっても、なんとかなるでしょ。

楽観的思考が炸裂する。


何より、本日の一番残念な事は、

お肉食べ損ねた事だわ。


あんにゃろ~、あのイケメン王子のせいだ。

食べ物の恨みは恐ろしいんだからっ!


もう、寝よ。寝よ。

嫌な事があった日は、寝るに限る。


ベッドに入り、目を閉じた。

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