第4話 城塞都市

 城塞都市ラドリア 人口が十万ちょっともある中規模都市だ。

 その様相は、煉瓦の建物に包まれた中世風の都市。

 

 そして、十万人都市だからこそ必ずあるモノがある。それは…。


「また来てねーーールディリちゃんーーー」

と、足が蛸の海洋生物種族ダゴンのかわいい女の子からホッペにキスを貰うハーフリングとされる小人の種族の青年ルディリは、満足な顔で店を後にした。


 そう、この世界は、人間以外の多種多様な異種族が混在する世界なのだ。

 まあ、当然…魔法のような力も存在している。


 ハーフリングの青年ルディリは、先程、ダゴンのかわいい女の子と体と体の混じり合わす遊びをして楽しんで来た所だ。


 ルディリは、小人の種族なのに…ダゴンの下半身にある圧倒的な蛸足に絡め取られて、男女の交わりを行うのが、ものすごく好きなのだ。

 ダゴンとハーフリングでは、体格差で蛸足の簀巻きにされるのに、ルディリはそれが良いのだ。

 何より、ダゴンの女の子にとってハーフリングは…超好みらしい。

 小さくてかわいらしい体をその大きく力強い蛸足で絡めて弄ぶのが、ものすごく気持ちいいらしい。ダゴン族の女の子にとって…。


 だから、とにかく、ダゴン族の女の子はサービスしてくれる。ハーフリングに。

 その行き過ぎたサービスの所為で、ハーフリングのお客はダゴン族のお店を敬遠するが、ルディリは例外のようだ。


 ルディリがいる場所、そこは色町だ。夜の男女が一晩の愛を交わす歓楽街。

 そして、その歓楽街を上空から見上げると、歓楽街全体、そういうエッチな事をしてくれるリリスガールがいる町の地面には、歓楽街を包み込む超巨大な魔方陣がある。

 この町全体を包む魔方陣は、性病は愚か、あらゆる細菌、ウィルス疾患を防御する効果を発揮して、更に、そういうエッチな事をしても全く妊娠しないという特別な効果も付属してある。

 まあ、具体的に言うと…。

 エッチな事をして体から溢れるお汁の全てを殺菌、抗ウィルス効果がある液体に変貌させ、更に…飲み込み易いように、無味でありつつ微妙に甘みを付加させるという、まさにエッチを楽しんでくださいと言わんばかりの効果になるのだ。

 まあ、そもそも、エッチなお汁は、タンパク質の体液なので、魔法の力を借りて組成を変化させているのだ。


 ルディリは夢見心地な気分で、リリスガールの歓楽街を後にした。

 そして、小腹が空いたので懐中時計を取り出して時間を確認する。

 まだ、午後の九時なので、行きつけの食堂は開いている。

 そこへ行って小腹を満たそう。

 ルディリは、行きつけの獅子食亭に向かい、席に着くと、そこで働いている双子の翼人族の看板娘のケニーちゃんに

「ケニーちゃん。ボボリアのステーキとサラダにお酒を」


 赤色の翼をはためかせ翼人族の十代後半の娘のメイドのケニーが来て

「はーーい、待ってね」

 カウンターへ注文の報告へ行く。


 ルディリは、待ち時間の間、懐からとある一枚の紙を取り出し

「どうして、ダゴン族の子がダメなのかなぁ…」

と、取り出した紙を見つめる。


 それはここより遙か遠くから来た、各種族のリリスガールの評価が書かれた紙だ。

 こういう評価の情報誌が最近、多くなって来ている。

 色んな種族がいるから色んな評価があるのは仕方ないが…同じハーフリングなのにダゴンの女の子がダメなのが分からない。


 ルディリは思い出す。

 あの包まれる柔らかくてすべすべした蛸足達、何より包み込むように全身を持ってくれて、決して負担も掛けないバランスを維持しつつ、ダゴンの女の子は、ルディリの大事な棒を優しく体内に入れてマッサージしてくれる。

 思い出しただけで、また…自分のマイサンが元気になってくる。

 ルディリは、ダゴン族のリリスガールに、はまってしまった。

 金貨や銀貨が入った袋を取り出し、お金を数える。

 もう一回…とはいかなかった…。

 袋の中には銀貨や銅貨しかない。


 リリスガールとやるには金貨が必要だ。

 この当たりのルールで金貨でしか扱えない。


 だいたいの金銭感覚として、日本でいうなら銅貨が一枚十円、大銅貨は百円、銀貨は大銅貨十枚なので千円、金貨は銀貨十枚で一枚なので一万円。

 だいたいのリリスガールの平均値段が、一時間で金貨5枚、表示金額は小銅貨から始まるので6000Gといった所だ。


 だが、しかし…リリスガールへの支払いは金貨でないといけない。それを破れば、今後…一切、色町に入れなくなる。

 ようするにそれだけリリスガールは体を張っているので、当然という意識だ。


 ルディリは「ちきしょう…」とテーブルに伏した。


 そこへハーフドラゴンの男ドリンと、エルフの男レリス、妖怪系の鬼人族の男ムラマサが来た。

 ドリンが

「どうしたんだ? ルディリ…」


 ルディリが

「お金が足りない…」


 ドリンにレリスとムラマサは、呆れた顔をする。ルディリが最近、ダゴン系のリリスガールに、はまっているのを知っているからだ。


 レリスが

「まあ、たまには…その…なんだ。休みも必要だぞ」


 ムラマサが

「そうだぞ。それに借金して行っても苦しいだけだぞ」


 そこへケニーが注文した食事を持って来て苛立ち気味に

「ああ…本当に不潔…」

と、常連に気兼ねない言葉を贈った。


 ドリンがルディリの前に空いている席に座って

「だったら…ダゴン族の女の子を捕まえれば良いじゃないか?」


 ルディリは少し俯き気味に

「オレの稼ぎを知っているだろう。英雄級の冒険者じゃあない。その辺にいる一般冒険者さ」


 ムラマサが

「それだったら、お前が新しい装備や道具を買う為に貯めていたお金まで切り崩していたら、本末転倒だぞ」


 ルディリは身持ちを崩す程にダゴンのリリスガールに、はまっていた。


 ケニーが

「そんなスケベだから、バカな事をするのよ」

と、キツい言葉を残して次の注文に行った。


「うう…だって…」とルディリが涙する。

 外見が十歳の子供で獣人の耳をしているので余計にかわいいので放っておけなくなり、三人が


 ドリンが

「なぁ…一回、金貨一枚半から二枚の仕事があるんだわ…」


 ルディリが顔を上げる。

「どんな仕事?」


 一回というなら二回や三回もあるのだ。


 ムラマサが

「このラドリアに貴重な鉱物を届ける仕事でな。ミスリルからダマスカスといった魔法鉱物を運ぶ馬車部隊の護衛なんだわ」


 レリスが

「一回じゃあ無く、何回かあるみたいで、護衛を募集していたんだよ。オレ達は、紹介でその護衛をした事があるんだよ」


 ドリスが

「貴重な鉱物達だから、怪しい連中はダメだって紹介による信用の仕事なんだわ。一緒にやるか?」


 ルディリの目が輝き「やる!」と即決した。



 翌日、ルディリは隣の鉱山からこのラドリア町まで、魔導鉱物を運搬する馬車達の護衛の任務を請け負った。

 貴重な魔導鉱物ゆえに途中で、山賊が発生する。

 だが、多くの腕利きの紹介があり信頼のある冒険者達の部隊に囲まれて、魔導鉱物を乗せた馬車達は出発する。

 午前中にルディリは、鉱山に来て、昼から夕方に掛けて移動。

 夕方前にはラドリア町に到着する。

 何十人と武装した冒険者護衛を連れるので、そうそうに賊の襲撃はない。

 だが、今回は…。


 とある斥候がルディリ達の護衛する馬車達を監視していた。


 そして、そのルディリ達が通る森の中、1982号305番がゲートを通過して到着した。

 1982号305番は、装備している装甲のVR画面からデータを取り出し、近くの集落を探した。

 この世界については、ある程度、観測から得られている。

 中世風の建物が多く、多種族が共存、物理法則と別の法則が共存している。

 SF装甲ロボットのような自身は、明らかに、この世界の感覚から浮いている。

 なので、なるべく近くの集落へ行き、ステルスモードで姿を隠し、村人の誰か数名にナノマシンを注射して、脳内の言語を取得するのが先決だ。


「さて…」

と、1982号305番は、レーダー波を飛ばした瞬間、森の中に隠れている大多数を捕らえた。

 そして、それが森の中へ入ろうとする馬車の集団を囲んでいるのも察知した。

「何? どういう事だ?」

 1982号305番は気になって、ステルスモードで透明になり風景に溶けた。

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