貢献するしかないのよ


 ジョージアナさんに引率されてアリアンロッドの前に出ると、

 ヒルデガルド・クラムはドキっとしました。

 胸が高鳴り、顔が赤くなるのが自分でも分ります。

 

「ヒルデガルド・クラムとキンスキー・リヒテンシュタインです、本日はお目通りいただき、ありがとうございます」

 ジョージアナさんが紹介してくれました。


「一つ確認しておきますが、どのような覚悟でここにいるのですか?」

 アリアンロッドが聞いてきました。

「アウグスタ様の女奴隷、夜に侍るものです」

 ヒルデガルド・クラムさんが、きっぱりと言いました。


 お断りするなんて云っていたのは、どこの話しなのでしょうね。

 やはりね、というような顔をしているジョージアナさんです。


「そちらの方は?」

 キンスキー・リヒテンシュタインは、もっと大胆でした。

「私は全てを捧げます、この身も心もどのようにでもお使いください」

 とまで云ったのです。


 すこしため息をしたアリアンロッドでした。

 ジョージアナさんが、

「では私はこの辺で、二人とも後はアリアンロッド様に任せなさい」

 そんな言葉を残してさっさと退室してしまったのです。


 この後ですね……アリアンロッドさん、二人を一挙に抱きましたね。

 ちょっとストレスがたまっていたのではありませんかね……

 目出度く格子さんが二人誕生したわけです。


「おめでとう、二人とも女になりましたね、セパレイティスト・クラブは歓迎します、これからコンパニオン、格子です」

 テロワーニュさんが祝福の言葉をくれました。


「アリアンロッド様の夜に侍るというものは良いものでしょう?」

「でも格子ですからね、夜伽の順はまだなのよ、早く側女になってね」

「側女昇格にはどうすれば良いのでしょうか?」


「貢献するしかないのよ、ソフィア・ペロフスカヤを知っているでしょう?」


「ヴェルダン防衛戦での活躍はすごかったのよ」

「それで誰もが側女昇格は仕方ないと思ったのよ」

「彼女は惑星世界管理局勤務、エリートなのよ」


「貢献ですか……」

 ヒルデガルド・クラムが言葉を濁すと、ジョージアナが、

「よい知恵を教えてあげるわ、何のかんのといってもアリアンロッド様は好色、貴女たちも夜に侍った以上、分るでしょう?」


「お好きなものを目の前に差し出せばね、セパレイティスト・クラブ神聖ローマコロニーは貴女たち二人だけ」

「この間ベネルクスコロニーを新設したけど、オーギュスティーヌさんの夜の努力の賜で、あそこの女達は評判がよいのよ」


「小さいコロニーですが、ベルギーはバウハウト城を提供してきたわ」

「神聖ローマコロニーはやっと二人の格子が誕生しただけ、このコロニーを立派に育て、評判を高めれば側女昇格も夢ではないわよ」


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