改修後の性能


 ……バミューダ・トライアングルってね……

 まさかこのレプリカの世界、ブリタニカにもあるとはね……


 伝説に語られるレンズ雲――バミューダトライアングル上空に現れたレンズ雲のようなもので、飛行機が飲み込まれ、なおも飛行を続けるとトンネル状の雲に導かれ、その先は真っ白、磁石も狂う――ですか……


 神様のご指名で、この世界を何とかしなければならなくなったけど……

 まぁ、改修したタテ号なら、何があっても大丈夫でしょう……


 全自動操縦装置のプログラム、もう少し手を入れておきましょうか……


「中尉、そういえば改修後のタテ号の性能試験、していないのではありませんか?」

「エンジンは全部水素エンジンですよね、ガソリンエンジンは、積んでないのですか?」


「夜間の砂漠上空を飛行するなどのために、小型のガソリンで動く、非常発電装置がついているのよ」

「ガソリンもね、異空間倉庫の収納ボックス――拙作、惑星エラム 幻のカタカムナ 第一部 パクス・ブリタニカ編 第九章  軍事組織 ネヴァン飛行隊 を参照されたい――10個分をガソリン専用にあてているのよ、満タンで一万リットルあるわよ」


「その上に、太陽光発電装置からの余剰電力を蓄電するバッテリーも搭載しているの」

「アリアンロッド様はアルミニウムイオン電池といってられたけど、私には何のことか分らないわ」


「アリアンロッド様がおっしゃるのですから、高性能なのでしょう」

「改修前は三百メートルぐらいを常用高度としていましたので、成層圏近くまで上昇すると、寒くて寒くて……でも今は大電力なので、空調がよく効くのですね」


「速度も向上したのよ、タテ号は知っての通り、電動モーターがプロペラを回すのだけど、この電動モーターが軽量小型の高出力になったのよ」


 改修されたタテ号は、今では時速170キロで巡航可能なのです。

 最大速度も時速10キロほど増速され、180キロとなっています。 


 いまタテ号は、一万メートルの高度で飛んでいます。

 全自動操縦装置が、高度に合わせてヘリウムガスの容量を調整、改修された与圧キャビンと、電力関係装置、居住性は格段に向上しています。


 最新の全自動離発着装置や小型の広域監視装置、小型の夜間の暗視装置も積まれ、ホ1、つまり試製二十粍旋回機関砲を二丁、『粘着型空間転移振動破壊弾』の発射装置を一基など武装も強化、評判の悪いトイレも飛行中も使用可能になっています。


 機内で水が湧かせるように、電気湯沸かし器が装備され、収納ボックスに積まれた、機内食の缶詰も湯煎できるようになつています。

 とにかくあらゆるところに、細かく手が入っています。


 タテ号は改修計画の一番船として、真っ先に改修されたのです。


 のんびりとした飛行が続き、タテ号は何事もなくバミューダを経由、ナッソーの発着場にたどり着いたのです。


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