スカウトのコツ


「アリアンロッド様に一度でもお会いすれば、女は魅入られる、そして夜に侍れば、忘れられなくなる」

「アリアンロッド様との逢瀬は、必ずめぐってくるけど、女たちの数は多い」


「で、考えられたのが、夜毎のことを共有しよう、さすればめぐる夜毎の順は早くなる……」


「私の位は『格子』、後ひとつ位があがらなくては、夜毎の順はめぐってこない」

「有望な人材をスカウトし、その功績により位を一つ上げたい、そして夜毎の順を共有できる方を、増やしたい……」


「軽蔑してくれても結構よ、貴女がそう考えるなら、夜毎の順の共有は無理、この話、無かったことにするわ」

 

「……少しお教え願いたいのですが……」

「答えられるなら、何でも聞いて」


「お話を受けるとして、私のメリットはあるのでしょうか?」


「美しくなれる、そして全ての悪しきことから守られる、寿命しか命を取れない」

「私のように、ブレスレットやチョーカーを授かれば、不老にもなれる、いつまでも若く美しいままとなる」

「そしてさらに位が上がれば、一つの世界を任されるようになる」


 考え込んでいるアルジー・ドンカスターです。


「ではどうだろう、とりあえずはウェイトレスとなってみては? 」

「ウェイトレスならレイルロードに乗れる」

「私についてくるなら、ネットワークの本拠地まで連れて行ってあげる」


「上手く行けば、アリアンロッド様にお目にかかれるかもしれない」

「やはり嫌というなら、退官すればいい、ウェイトレスなら自由です、どうですか?」


 この話に、アルジーは乗ったのです。


 で、二日後にマーガレットはレイルロードに乗るために、デイ・スコッチ・エクスプレスに。

 側にはアルジー・ドンカスターとアシュレイ・スマイス、そしてメイブ・リンドバーグが付き従っていました。


 四人はニライカナイの入り口、スペースコロニー1で、うろうろしているヴィーナスさん、つまりアリアンロッドを見つけたのです。


「あら、マーガレットさん、珍しいところで会うわね、後ろの三人は誰?」

 

 ……


「そう、新しい女官さんと、任官課程の生徒さんですか」

 

 ……


「いいですよ、そこのニライカナイカフェで食事でもしますか?」

「ブリタニカのように、美味しい紅茶は無理ですがね」

「スペースコロニー1のニライカナイカフェは、リングでも無料ですから」


 スペースコロニー1のニライカナイカフェだけは、リングをかざせば、入り口でカップとカラトリーを貸し出してくれるのです。

 ただし洗って返す訳ですけれど。


 近代程度のブリタニカの娘たち、壮大な規模のニライカナイに唖然としていますが、気さくなヴィーナスさんに、恋心という物が芽生えたようです。


 ……スカウトのコツね……簡単よ、なんとしてもアリアンロッド様に引き合わせればいいのよ……

 そういえば誰かがいっていたわね、アリアンロッド様の前に出ると、女の下着はずり落ちるって……まったく罪な方ね……

 三人ともね……確実に望むでしょうね……私も早く寵妃になりたいわね……


 事実、アルジー・ドンカスターは、望んで公妾になったようです。


 FIN


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