良いハレム計画


 セパレイティスト・クラブは、現在ニライカナイメスウィッジ所属の『ハウス』となっていますが、『ハレム』へ変更申請するとともに、コロニー・オフィス制を採用することになりました。


 このあたりは、事務局は規定にふれなければ簡単に認めます。


「取りあえず現行の支部はコロニーとし、コロニーには必ずレディス・スクールを設置する」

「レディス・スクール卒業生はウェイトレス任官、レディス・カレッジはウイッチ(女官)任官課程校として卒業生はホステス任官させる」


「各国政府の推薦、または各支部の推薦があればホステス任官を認める」


「レディス・カレッジは、ウェイトレスと同等と認められる一般女性も入学も認める」

「当面マーブル・ヒルとセーラムの二校体制とし、『優秀な寵妃』を育成する」

「いま考えているのはこのあたりまで、さらによりよき案を皆様と話し合いたいのです」

 

 『ハレム』となったセパレイティスト・クラブは、いわゆる八年制高等女学校によるウイッチ(女官)任官課程は設立できません。


 この任官制度は『ハウス』にのみ認められるもので、『ハレム』の任官教育は、『ハレム』内の私学校という形になります。


 ブリタニカのレディス・カレッジはハレム内の私学校に該当しますが、レディス・スクールはハレム内ではありません。

 あくまでもこの惑星の支配体制、ブラックウィドゥ・スチーム・モービル社の人材養成校、その為、レディス・スクールをセパレイティスト・クラブに正式に移管したのです。


 『ハレム』内の一般ウイッチ(女官)の教育機関として、半日働き、半日教育、二年制としたのです。


 『良いハレム』のために、色々な意見が飛び交いました。


「公妾の身としては、複雑な気持ちもありますが、できれば早急に寵妃を増やした方がいい」

「先ほどの学校改革案を進めながら、優秀な人材をスカウトすべきではないでしょうか」


「セパレイティスト・クラブ内での支部、つまりコロニー増設は自由なのですか?」

「たとえばセパレイティスト・クラブ・イタリアコロニーとか、スペインコロニーなどは、私たちの自由となります」


「ではコロニーを増やし、こまめに優秀な人材に声をかけるべきではありませんか?」

「概ね賛成ですが、コロニーを増やすには、それなりに時間と資金が必要となります」


「そこで各支部はコロニーとなるとの事ですから、その下のルーム単位を導入、優秀な女性をまず現地採用として取り込み、そののちカレッジなりスクールなりに入学、または推薦しホステス任官させる」


「出身地のウェイトレスを、スカウト担当として、コロニーに一人つけてはいかがですか?」

「もしすぐにでもホステスに推薦できる方がおられれば、皆で推薦いたしましょう」


 この案で意見は集約したようです。


 セパレイティスト・クラブは『良いハレム』となるために、猛然と行動を起こしたのです。

 サブシャペロン、テロワーニュは、この人材スカウトの陣頭指揮を執ることになりました。


 チーフシャペロンのジョージアナは教育担当、海千山千の各国政府の殿方と交渉するためです。


 適材適所、威力を発揮したようで、セパレイティスト・クラブのウイッチ(女官)は、『アリアンロッド様に心を込めてご奉仕する女たち』、このようにネットワークで認識されるまでに、それほど時間はかからなかったようです。


 とくにテロワーニュによる人材スカウトが、威力を発揮したといわれているようです。


 『良いハレム』計画は順調に推移、念願のセパレイティスト・クラブのホーム昇格は、手が届くまでになったのです。


 ただし、ここの女たちのお色気攻勢は並々ならぬもので、事務局あたりでは要注意となったのですが……


 FIN


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る