セパレイティスト・クラブは『ハレム』です
「そう、アリアンロッド様は『良いハレムを作って』と、おっしゃったのね」
テロワーニュと同じ、夫人待遇側女のチョーカーをつけたジョージアナが聞いてきた。
ジョージアナはその行政手腕を認められたようで、執政官代理兼務となっています。
アリアンロッドの指示による破格の待遇です。
「そうなの、あの後の余韻に浸っていて朦朧としていたけど、確かにおっしゃったわ」
「ねぇ、良いハレムってどんなハレムと思う?」
「それは……アリアンロッド様に心を込めてご奉仕する女たちの集まり……」
「いや、少し違う……かもしれない……」
ジョージアナが、
「私はアリアンロッド様が、『ご満足出来る心と体を持つ女をそろえる集団』と、考えるのだけど」
「勿論お側近くに仕えるのだから、寵妃になれるほど優秀でなければね」
「頭脳明晰、容姿端麗、アリアンロッド様好みに仕立てあげ、一途にご奉仕する、奴隷女が前提ね」
と、テロワーニュが続けた。
「その通りね、そのような『良いハレム』にすれば、サリー様がおっしゃったように、セパレイティスト・クラブの昇格問題はクリアになると確信するわ!」
「そうよ、ブリタニカの女は、どの世界の女たちよりもアリアンロッド様に尽くす女になるべきよ!」
このように考えた二人のシャペロンは、行動に移すことにしたようだ。
まずセパレイティスト・クラブの、各支部の責任者を集めた会議の中で、この二人の方針を伝えた。
「と、云う訳でセパレイティスト・クラブを『良いハレム』にするために、優秀な寵妃を増やします」
「このためにまず『ナニー』という資格を、ホステスとガヴァネスの間に設けます」
ジョージアナが宣言したあと、テロワーニュが続けました。
「優秀な寵妃とは、『頭脳明晰、容姿端麗、アリアンロッド様好みに仕立てあげ、一途にご奉仕する、奴隷女』ということです」
「これは今までと変わりはありませんが、アリアンロッド様好み、一途にご奉仕する奴隷女』として、セパレイティスト・クラブ内で認められる者をナニーとします」
「ナニーはいわゆる采女待遇清女、采女待遇清女は寵妃見習いの範疇です」
「セパレイティスト・クラブは現在『ハウス』ですが、女官を実質的に購入していますので『ハレム』、これを徹底いたします」
ウェイトレスは末女扱い、ホステスは清女扱い、セパレイティスト・クラブは、ナニーから上を寵妃見習いと規定したのです。
ネットワーク内での定義としては、『ハレム』所属の全てのウイッチ(女官)は奴隷として購入されます。
『ハウス』所属の一般ウイッチ(女官)は事務員で、侍女になると購入されることになります。
『ハウス』と『ハレム』とは同列ではありますが、『ハウス』の内部に『ハレム』が含まれるから同列なのです。
セパレイティスト・クラブは、いままでその定義が曖昧でしたが、明確に『ハレム』を設定、表明したわけです。
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