被虐に涙する美貌の女性……


 ……ジョージアナが羨ましい……私も久しいわ……


 テロワーニュはフランスの娼婦たちに聞き取り調査を……

 いろいろあります、SMを筆頭にアブノーマルのオンパレード……

 でもある娼婦の一言が、テロワーニュの心に残ったようです。


「情事は所詮遊び、娯楽なのよ、でも続けると遊びが遊びでなくなるのよ、抜けられなくなる」

「でも男にとっては、所詮どこまでも遊びなのよ、そして悲しいことに、直ぐに飽きてしまうのが男なのよ」


 ……プレイではだめということね……

 でも、考えうることはやりつくされている……

 だから激しい情事になる……

 でも一つだけ残っている……


 テロワーニュはある考えに行き着いたようです。

 マルキ・ド・サドの小説を参考にしたのです。

 そして実行し見事に成功……アリアンロッドは食いついたのです。

 

 マルキ・ド・サドの三部作


 『ジュスティーヌあるいは美徳の不幸』

 『ジュリエット物語あるいは悪徳の栄え』

 『新ジュスティーヌ』


 自らをジュスティーヌになぞらえて、サドの世界感、被虐に涙する美貌の女性……

 プレイでありプレイでない、心底虐げられ、涙しなければアリアンロッド様は振り向かない……


 しかしどこまでもプレイが前提、相手にピアスなどを強制する事さえ嫌がるアリアンロッド様……

 いたぶられ辱められる自らを想像すると、テロワーニュは全身に何かが込みあがってしまう。


 『ソドム百二十日あるいは淫蕩学校』は許容されない……でもジュスティーヌの世界なら……


 アリアンロッド様に……


 テロワーニュはテロワーニュの考えで、ジュスティーヌになりきり、考えうる限りの淫靡なことを実行した。

 そう、プレイでありプレイでないが、最後の一線は越えない行為……


 ……そうよ、私の幸せは快楽に狂う事、アリアンロッド様に弄(もてあそ)ばれ、恥ずかしい事をさせられる娼婦以下の女……

 テロワーニュは、アリアンロッドの奴隷を実感し、幸せに酔いしれた……


「アリアンロッド様……テロワーニュは幸せです……」

 テロワーニュは心の底から思っていた。


 その後も息も絶え絶えになったテロワーニュに、

「テロワーニュ、私の奴隷になったのだから、その印にこれをつけなさい」

 と言いながら、アリアンロッドはチョーカーをつけてくれた。


「テロワーニュ、夫人待遇側女に任ずる」

「これからブリタニカのサブシャペロンとして、ジョージアナと二人でセパレイティスト・クラブを立派に切り盛りしてください、良いハレムを作ってください」


 こういうとアリアンロッドはベッドから起き上がった。

 テロワーニュは神々しいアリアンロッドの裸体を、あこがれるように、眺めるばかりだった。


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