第19話 ランクが上がったら

 「おはようございます。今日からまた宜しくお願いします」


 「おはようって、お前、今日も犬連れて来たのかよ!」


 「うん!」


 「うん! じゃねぇ。危ないから連れてくるな!」


 「ユイジュさん酷い! チェトは、襲わないよ!」


 「そっちじゃなくて、そのチェトが襲われるって言っているんだ」


 「僕が命がけで守ります!」


 僕が力んで言うと、ダダルさんはわかってくれた。


 「いいんじゃないか? どうせ見回りだ。行ってこい」


 「……はぁ。明日は連れてくるなよ!」


 「え~~!!」


 「え~じゃないだろう。お前何しに来てるんだ」


 「見回りです!」


 「Eランクになったら見回り以外行くんだろう?」


 「行きたい!」


 「じゃEランクになったら置いてこいよ」


 「うーん。たぶん?」


 「たぶん? じゃない!」


 こうしてFランクの間は、チェトを連れて来ていいと言うお墨付きをもらった。



 「とうとうEランクかぁ」


 さっき終わった見回りで、10ポイント貯まった。

 これからが勝負だ。ユイジュさんを説得しなくてはいけない!

 これもチェトの為、連れて行ってくれるように交渉だ。


 「よし! 頑張るぞ!」


 「あぁ、気合入れているところあれなんだが、ロマドはラビット草を採って来た事があるからこのまま更新な。おめっとさん。カードかざして更新しな」


 「え? うん? あぁ。そうだった」


 本来は試験があるんだった。忘れていた。でもそれはパスした事になるのか。

 それじゃそういう事で。

 僕は素直に更新した。


《――――――――――――――――――――》

 名前:ロマド・エリザール

 年齢:15歳

 スキル:採取

 ランク:E

 ポイント:10(採取:1/討伐:9)

 備考:魔力保持者

《――――――――――――――――――――》


 うーん。おかしくないかこれ。よく見ると討伐のポイントの方が多いじゃないかぁ~。そう言えば、採取はあの木登りのしか受けてない。しかもあれ、Eランクの依頼だった。


 ――『ランクアップ』の条件が整いました。『ランクアップ』を作成しますか?


 「え?」


 スキルきた~!


 「はい!」


 ――『ランクアップ』のスキルを取得しました。


 「やったぁ!! ランクアップきたぁ~!」


 僕は、嬉しくなってぴょんぴょん飛び跳ねて喜んだ。


 「ランクアップ出来たって……。Eランクでそんなに喜んでいるやつ初めて見た……」


 呆れた様にユイジュさんが、僕を見ていた。

 しまった! つい。でもバレてないみたいだ。


 「あははは。うんうん。犬ころと一緒に頑張ったもんな」


 「はい! これからも一緒に頑張ります!」


 「Eからは、置いて来いっていっただろう!」


 「大丈夫です! 危なくなったら僕が抱っこしています!」


 「おい……」


 「あははは。ユイジュの負け。いいだろう。どうせ、ロマドも見てるだけなんだし」


 「もうダダルさんが甘やかすから! いいか! 俺は犬まで責任取れないからな!」


 「はい! ありがとうございます! やったぁ! チェト、明日からも一緒に来れるからね!」


 『では肉を! 狩り解禁だな』


 「肉? うん。買って帰れるといいね」


 『おっといけない。二人がロマドを見てるぞ』


 「え? あ……」


 生暖かい目で見ないで下さい。本当に会話してるんですから……。


 「重症だな。はぁ……」


 「重症って……」


 まあいいや。今日は帰ったらスキルをチェックだぁ!!

 戦闘系があるといいなぁ。


 「まったく。幸せな奴」


 にまにましていたらユイジュさんの零した心の声が聞こえた。

 うん。幸せです!

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