第17話 目指せAランク

 「ふんふんふふん♪ かゆいところはない?」


 帰って来た僕達は、枝投げして遊んだ後のシャンプータイム。


 『特段ないが、きもちよいのでもう少し堪能したい』


 「うん。じゃ、今日は長めにもしゃもしゃするね」


 『ありがたい』


 「話せるっていいね。何でも言ってね」


 『リンリン草もどきを食べたい』


 「それはダメ」


 『何でも言えと言った』


 「言ったけどダメ。危なくないってわかったらね」


 『どうやって?』


 「うーん」


 鑑定出来たらいいんだけど……。あ、そうだ!


 「鑑定覚えるまで待って!」


 『鑑定? ……鑑定なら我も。臭いで嗅ぎ分けられる!』


 「そっか。犬って嗅覚するどいもんね! すごいなぁ。ねえ、明日も一緒に行こうね」


 『お供する』


 「うん! ありがとう」


 ――『従える』の条件が整いました。『従える』を作成しますか?


 え? そういうつもりはなかったんだけどな~。


 「はい」


 『終わりか?』


 ――『従える』のスキルを取得しました。


 「え? まだする?」


 『いや疲れたならもうよい』


 「疲れないよ。楽しい」


 『そうか。ではもう少し』


 「うん」


 あぁ、意思の疎通ができるっていい。



 そして次の日もチェトと一緒に見回りをして終えた。


 「ご苦労さん。はい報酬」


 「ありがとう」


 僕は直接もらっている。って、預ける程のお金にならない。


 「お前、犬と一緒に見回ってるのか?」


 「あ、ユイジュさんおかえりなさい」


 振り向くとユイジュさんが、大きな袋を持って戻って来ていた。


 「お帰り」


 「ただいま。はいこれ」


 カウンターにユイジュさんは、袋を置いた。


 「何それ? お土産?」


 「そんなわけあるか。見てみるか?」


 「うん」


 ユイジュさんが袋を開けてくれたので、中を覗き込んだ。赤黒く変色した何かが入っていた。


 「うわぁ。何これ?」


 「モンスターの角や牙だ」


 「なんでそんなものを?」


 はぁっとユイジュさんがため息をついた。なんか久しぶりに聞いた気がする。


 「あのな。討伐した証拠とあと買い取ってもらう為だ」


 「え? 買い取ってくれるの?」


 「お前は! 薬やいろんな物の材料、あと加工品になる。って本にも書いてあるだろうが」


 あ、本当だ。詳しくは、別売り買取リストで確認してくださいだって。


 「買取リストか。買った方がいいのかな?」


 「お前には必要ないだろう。討伐に行くのか?」


 「うん? かもしれない」


 「……狩るのはお前じゃないだろう!」


 「そうだけどさ」


 チェトが狩るって言っていたけど、ここに持って来るのは僕だし。そうか、倒した証拠も必要なのか。


 「ねえ、前にさ、僕を追いかけていた一角獣を倒した時って依頼受けてないよね? 討伐は、依頼がなくても引き取ってくれるの?」


 「依頼じゃないからポイントは入らないが、材料になるアイテムは引き取っている。ただし、大量発生や倒さないと危険な場所にいたモンスターを討伐した場合は、確認が取れればポイント追加ができる」


 「まあ採取よりは、実入りはいいな。危険だけどな。けどお前には無理だからやろうとするなよ!」


 「う。はい……」


 やろうと思っちゃいました。でもスキルを作成出来れば、そっちもやった方がお金になるね。チェトにお肉も食べさせてあげられる。


 「よし! 頑張るぞ」


 「何がよしだ。せっかく採取のスキルがあるんだからそっちで頑張れよ。知識もあれば自然とランクも上がっていくだろう。個人的に依頼が来るようになる。一緒に組むパーティーを選べる側になるぞ」


 「え? 選べる側?」


 「俺達も依頼を出せるんだ。採取に行くときの護衛の冒険者の募集。ランクが高ければ、複数の冒険者が名乗り出てくれるはずだ」


 「へえ。ところで高ランクって何ランクから? Cとか?」


 「普通はAランクだろう」


 A!? 僕まだ最低のFランクなんですけど……。

 でもいい事を知った。目指せAランク!

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