第7話 膨らむ夢
「ユイジュも報酬な。400テマ。また宜しく」
「あの一角獣を退治したお金ですか?」
「まあ、な」
「え~!! 採取するより安いの?」
「そんなわけあるか! 手数料を差し引かれたんだよ。あと肉も貰える」
「肉?」
「一角獣の肉は食べられるの。俺、解体苦手だからいつも頼んでいるんだよ」
「……モンスターを食べるの? 凄いね!!」
「はぁ……。冒険して歩くなら食べられるようにならないと、やっていけないぞ」
それって、現地で収穫って事だろうか? まあ一角兎なら食べられそうだけど。
うーん。だったら料理のスキルもほしいな。
「あ! そうだった!」
「どうした?」
覚えたスキルがあったから作成条件を見ようと思っていたんだったけど……スキルが作成出来る事は言わない方がいいよね? もう鑑定される事もないんだし。
僕は、冒険者になって世界を旅するって決めたんだ!
「えーと……」
どうしようかな。あ、そうだ。
「テマ預かり所に行って、スキルカードの登録もしようと思っていたんだった」
テマ預かり所は、大金などを預ける場所だ。商いとかする場合、大金が動く。持って歩くと危ないので、テマ預かり所で相手にテマを送ったり貰ったりできるシステムだ。
スキルカードを手にしたら必ず作らないといけない。なぜならそこから税金が引かれるからだ。だから、その分のお金は預けておかないといけない。
「まだしてなかったのかよ! 連れて行ってやる。ついでに冒険者カードも同じ登録番号に登録しろよ」
「え? 登録?」
「冒険者カードをそれと紐づけると、冒険者商会で貰うお金とかテマ預かり所に直接預けてくれたり、買い物もそこから引いてくれたりするサービスがあるんだ。ちゃんとノルマをこなしていれば、手数料はかからない」
「え? でもさっき、そのまま貰ってなかった?」
「全部入れちゃったらテマ預かり所に取りに行かないといけないからな。使う予定がある時は、一部を貰う事も出来るんだよ」
「へえ。じゃそうするかな。買い物が便利そう」
「言っておくけど、冒険者カードでそれが出来るのは、冒険者商会だけだからな!」
「え~~!」
「じゃなかったらそのままお金で貰わないだろうが!」
「あ、そっか」
はぁ……。とユイジュさんはまたもやため息。
そんなこんなで、無事登録完了!
本来は、税金分の1,000テマを入れておくのだろうけど、手持ちがないので、十分の一の100テマだけ預けておいた。
「お前、そんなんで来月から税金払えるのかよ。まあ、俺らよりは少ないだろうけどさ」
「そっか!!」
ユイジュさんは、特別スキルカードだ。
魔法系や武術系など、有効なスキルは特別スキルカードになる。
スキルで仕事が出来るからだ。その分、税金も高い。って、いくらかは知らないけどね。
「大変だね~」
「他人事だな。まあそうかもしれないが、お前の相手をしていると、稼げなさそうなんだけど!」
「そういえばユイジュさんって、この街に住んでいるの?」
「あぁ。宿に素泊まりしている。一日150テマだ」
「え。宿に泊まってるの?」
「大抵の奴はそうだよ。一々村から出て来ないといけないだろう?」
「たしかに……」
往復四時間。馬車代は、往復200テマ。素泊まりの方が安いけど、食事は出ないよね? だったら僕は家から通おう。
「ねえ、ユイジュさんも家来る? 僕は家から通おうと思う」
「結構だ! 大体、そんな考えだと冒険者は無理だ! 面倒を見るって約束したから暫くは色々教えてやるけど、俺は君と組む気はないからな!」
「ううう。ユイジュさん、冷たい」
「甘えるな! 少なくとも組みたい相手だと思って貰える努力はしろよ!」
「あ、そっか! わかった。頑張る!」
「本当にわかってるのかよ……」
そうだよね。色々教えてもらってこなせば、対等になれるかも。そしたら一緒に旅が出来る。そこで魔法持ちと一緒に夢の様な冒険!
「とりあず明日は、門の所で待ち合わせな。昼一で。あと本を読んでおけよ。わかったか?」
「はい! 宜しくお願いします!」
僕は、明日から冒険者として活動する事になった!
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