第6話 冒険者カードを手に入れました

 「じゃ、そこに座って」


 僕は、カウンターの中に連れて行かれて、ダダルさんに言われて座った。


 「で、年齢は?」


 「15です」


 「俺とタメかよ」


 ユイジュさんって僕と同じ歳だったんだ。二つぐらい上かと思った。


 「下かと思った……」


 向こうもそう思っていたみたい。


 「ほい。これに手を乗せて」


 「な、なんですか、これ?」


 なんか平たい石板のようなモノで、真ん中がちょっと盛り上がっている。


 「魔力測定器。魔力持ちか見る装置だ」


 「え? そんなのあるんですか? っていうか、僕に魔力あっても魔法は使えませんよね?」


 「確かにな。でも魔法系の者は、自分の魔力が無くなったら他の人からもらって使ったりするんだ。だから魔力があれば、魔法持ちと一緒にパーティ組めたりするぞ?」


 「え!! わー。あるといいなぁ」


 「そうそうないからな! 俺もないし」


 僕は、装置の上に手を乗せた。手の平が盛り上がった出っ張りに当たる。


 「よしいいぞ」


 「おぉ!! って大丈夫か?」


 なぜかクラクラしてきた……。

 ふらついた上半身をユイジュさんは、支えてくれた。


 「おめでとう。魔力持ちだ」


 「え! 本当? やったぁ……あ……」


 「マジか!」


 「魔力切れだな。すまないな。この装置、魔力を吸収して魔力があるか計るんだ。魔力はあるようだけど、少しの様だな。まあ、魔力も体力と同じで、あれば増えるらしい。本来は、使うと増えるが魔法を持ってない者は、今みたいに魔力を吸われて増えて行く……お薦めはしないけどな。かなり少ないようだし」


 「あははは。お前らしいな」


 えーん。あるのに使えないみたいな感じなのか~。でも増やす方法はあるみたいだし、魔法持ちと旅っていう凄い事も出来そうだ!


 「お待たせ。五分ぐらい動かないでね」


 って、突然女性が現れた!

 え? 動かないでって僕は今度何されるの?

 まだぐらつくけど頑張った。


 彼女は、『絵師』のスキル持ちだった。僕の似顔絵を描いてくれた。冒険者カードには、僕そっくりの似顔絵が……。

 赤みががかった銀の髪。よく童顔だと言われる幼顔。髪より赤みが強い瞳。口元にあるほくろまで忠実に!


 「すごいです! 僕、そっくり!」


 「感想はそこかよ!」


 冒険者カードを手にし感動している僕に、すかさずユイジュさんは突っ込んだ。


《――――――――――――――――――――》

 名前:ロマド・エリザール

 年齢:15歳

 スキル:採取

 ランク:F

 ポイント:0(採取:0/討伐:0)

 備考:魔力保持者

《――――――――――――――――――――》


 「そうだ。彼は少し危なっかしいからユイジュ、お前面倒みてやれよ」


 「えー! 俺が?」


 「お前が連れて来たんだろうが」


 「ユイジュさん、宜しくお願いします!」


 「……はぁ。本買ったんならまずはそれを読めよ!」


 「はい! 先輩!」


 「先輩言うな! 名前で呼べ!」


 「はーい! えへへ」


 「で、登録料だが300テマな」


 「え!?」


 登録料なんて取るの? 僕は慌てて財布の中を見た。100テマコインが一枚。

 帰りの馬車に乗れればいいやと思っていたから……どうしよう。


 「あの……100テマしかありません」


 僕がコインをつまんで見せると、二人は驚いた。


 「はぁ!? お前、村から来たんだろう? 街に来るのにそれだけって!」


 「だって、馬車に乗って帰れれば大丈夫かなって、本を買っちゃって」


 「いや、本は、100テマもしないだろう?」


 ユイジュさんに言われた通り、150テマしかなかったです! 最初から足りてませんでした。わーん、どうしよう。


 「いや、もう驚かないよ。いや、驚いたけど。仕方がない特例だ。それを買い取ってやる」


 「え? これ?」


 ラビット草だ。忘れていたよ、この草の存在!


 「500テマだから差し引いて200テマな」


 「わー。増えた!」


 「増えてねぇ!!」


 またユイジュさんに突っ込まれた。

 僕的には、150テマから300テマに増えて倍なんだけどなぁ~。

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