第3話 やり方ぐらい教えてって言ったら教えてくれました
ど、どういう事?
もしかして、草むしりで上がったのか? これか? これなのか!
僕は、カードを凝視しながら草をむしった!
何度か草をむしると、熟練度が一つ上がる。やっぱりそうだ!
「やったぁ!! 上がり方がわかった! 採取、採取だったんだ!」
僕は、これほど一生懸命に草むしりをした事がないというぐらい、きれいにむしった!
ふう。お庭はきれいになった。そして、熟練度も50に!!
昨日わかれば国家職カードになったのに! いや今からでも遅くはない!
お願いしに行ってみよう。向こうだって錬金術師がほしいから税金無料とかにしているんだろうし!
僕は、期待して街行きの馬車に乗り込んだ。
□
「熟練度の上げ方がわかっただと?」
「はい! もう一度検討をお願いします!」
熱意が通じたのか、特別にチャンスをくれた。と言っても錬金術をしてできるかどうかだ。
その前に、もう一度鑑定をされた。
熟練度が増えただけで、特に何も変わりがない様だ。
で、結果も何も変わらず!!
ごりごりごりと薬草の調合をしたけど、粉にはならなかった。
錬金術は、熟練度が『1』あれば僕がやった調合は普通出来るらしい。勿論、採取でも錬金術は上がるので、試してくれたんだけど……はぁ。
「無駄足だったか……」
涙が出そうだ。錬金術師になれると思っていた。チャンスをくれたからやったぁ! と思ったのに、結果は残酷だ。
このスキルは、一体どんなスキルなんだ?
うーん。スキル錬金って言うぐらいだからスキルを作るのかな? でも普通は、一人に一つのスキル。
ダブルスキルと言って二つのスキルを持つ者もいるらしいけど、それだってこんなスキルだったら意味がないよな。
「スキル錬金が出来るならやり方ぐらいわかるようにしてほしいよね」
錬金術師は、熟練度が上がると作成出来るモノのリストが見える様になるらしい。本人以外には見えないが、それを作成すれば熟練度がぐーんと上がったりする。そうすると、作れるモノがまた増えて……うん?
僕は、目を凝らした。何となく、目の前に文字が見える。
「作成条件……? レベル1『採取』ランクE以上のモノを一つ採取する? え? もしかして、やり方わかるようにって言ったからなのか? え? えぇ!!」
街中で僕は叫んでしまった。
そして、走る! 恥ずかしくてじゃなくて、採取をする為だ。森の中にあると聞いた事があるけど……僕が知っているのは、ライラ草ぐらいだ。あれは確かGランクで最低ランクだ。
うーん。草みたいのをひたすら引っこ抜くか?
いや、本を買おう!
ここは街だ。そういう本ぐらい売っているだろう!
結局街へと戻った。
「とりあえずここで聞いてみるかな……」
採取と言えば、冒険者。冒険者商会だ。
やっぱり売り物もあった。傷薬なども売っていると聞いた事があったのだ。本はないかな。
あ、初心者の心得だって。こういうのに載ってるかな?
Eランクの物が載っていればいいんだから。
パラパラとめくり中を確認する。
冒険者は、二種類に分かれる。モンスターを退治を専門とする者と、採取を専門にする者……。
「ごっほん。立ち読み禁止ね!」
「あ……」
ジドーっとお店の当番の人に見られてしまった。
「あの、これに薬草の事とか載ってますか?」
「まあ、多少はね」
「ランクは?」
「ランク? まあ代表的なものならAぐらいまで載ってるかな? 採取リストには、ここら辺でとれるのが載っているよ。買うかい?」
「買います!」
僕は、代金を払って本をゲットした!
そして、歩きながら採取リストを確認する。
Eランクも近くにある。ちょっとした丘に咲くラビット草。一角兎が好きな草らしい。
なるほど。見た目じゃなくて好まれて食べられているからついた名か。
一番近いし、これにしよう!
僕は、何も考えないで、のこのこと丘に向かった。本当におバカ!
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