第2話 一般スキルカード
家に戻ると、ほどなくして言っていた通り、錬金術の材料と機材が届いた。
凄い! 機材なんて初めて見た!
「まあ、本当に届いたわ」
母親が目を輝かせている。
錬金術師にならないと見れないものだ。
「ロマド、ちょっとやってみなさい」
「あ、うん」
説明書を手にやってみる。
すり鉢に薬草を入れて、ごりごりごりごり……。これだけでも調合という錬金術らしい。
スキルを持っている人は、これで不思議と粉になると書いてあるけど僕の場合は、ただ草の汁が出て来るだけなんだけど……。
これって出来てないって事だよね?
でも一応、熟練度メーターで熟練度を計ってみる。やっぱりゼロだ。
「はぁ……。次はっと、水を入れて火をつけて……」
こうやって錬金術を僕は体験していった。だがどれもうまくいかない。勿論、メーターもゼロ。
これ熟練度が上がらなかったらどういう扱いになるの?
錬金なのに何もないのと同じ!?
僕は夜通し実験を繰り返した。
□
「どうでしたかな?」
次の日の午後、鑑定師が訪ねて来た。
「……ぜ、ゼロのままです」
しょんぼりして僕が言うと、そうかと鑑定師は一言いっただけだった。
錬金術の材料と機材は撤収されて一般スキルカードを手渡され、僕はマイナースキルとしての扱いになってしまった。
このスキルカードは特殊なカードで、熟練度が表示されるものだ。スキルによっては、この熟練度で更なる資格を得れる。
例えば、マイナースキルでも料理なら熟練度1000以上で、お店を開く資格を得られる。
武術系や魔法系なら冒険者という職業につける。モンスター退治や特別な採取などを請け負う仕事だ。功績によってランク分けされているらしい。
この冒険者は、一般スキルカード所持者でもなれるらしいけど、余程じゃないとならない。
「残念だったわね。でも私よりはいいでしょう? 私なんて『水汲み』よ」
そうこの世界には、意味がわからないスキルはごまんとある。でも普通は、熟練度を上げられる。
僕に熟練度を上げられる日が、来るのだろうか?
□
「はぁ……。結局僕は、この村で過ごすのか……」
僕には夢があった。錬金術とか言わないから魔法か武術系のスキルで、冒険者になって世界中に行ってみたい。
母親には、ムリムリと笑われたけど、本当に無理だった。
「ロマドくん、悪いねぇ。腰を痛くしちゃってさ」
「大丈夫ですよ。お駄賃も貰えるし。草むしりなら毎年やってますから」
次の日には、お隣のお家の庭の草むしり。アンドお花の手入れ。
こうやって小遣い稼ぎをしつつ、仕事を探さなくてはいけない。
スキルを手にした者は一人前として、働きに出る事が出来る。というか、働かなくてはいけない。
村ではこれぐらいしかやる事がないから、やっぱり街に行ってスキル斡旋所に行ってみるかな……。
スキル斡旋所とは、スキルにあった仕事を探してくれるところだ。まあ使えないスキルは、スキルがなくても出来る仕事を紹介してくれる。勿論そんなのは、賃金が安い。
でも収入を得ないといけない。
「来月からスキル課税を払わないと行けないからなぁ……」
この国で生きて行くのには、スキルカード別に税が課せられる。税金が一番安いのは、一般スキルカードだ。どんな職に就こうが、金額は変わらない。
そして、国家職カード所持者は、税金が課せられない。ただし、国が運営する会社で働いている者に限る。鑑定師や錬金術師などがこれにあたる。
なので『スキル錬金』が錬金術にならないのならカスだ!
名前だけなんてなぁ~。
錬金術師になれれば、税金も払わなくていいし、給料はずっと一定らしいけど、一生苦労しないだけのお金は貰えるらしいし、年齢制限もない。
はあ……熟練度どうして上がらないんだろう?
え!
「ええ!!」
ふと見たスキルカードに、熟練度が『10』と記載されていた!
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